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プログラム言語(C言語)の基礎

学際科目の情報制御基礎において、学科間でプログラミングの初歩の理解差があるので、簡単なC言語プログラミングの基礎の説明。

Hello World

“Hello World”と表示するだけのC言語プログラムは以下のようになる。

// コメントの書き方1              // "//"で始まる行は、プログラムの説明(コメント)
/* コメントの書き方2 */           // "/*"から"*/"で囲まれる範囲もコメント
#include <stdio.h>             // #で始まる行はプリプロセッサ行
                               // stdio.h には、入出力関数の説明が書いてある
int main() {                   // 一連の処理の塊を関数と呼ぶ。
                               // C言語では main() 関数を最初に実行する。
   printf( "Hello World\n" ) ; // printf() は、以下の物を表示する関数。
                               // "\n"は、文字を出力して改行するための特殊文字
   return 0 ;                  // main() 関数が、正常終了したことを意味する
}                              // 0 を返り値として返す。

#include <…>“のプリプロセッサ行は、最初のうちは解りにくいので、「これを書かないとダメ…」と思っていればいい。

#include <stdio.h> は、別ファイル(ヘッダファイル) stdio.h に記載されているプログラムリストを読み込む機能。
stdio.h には、printf() や scanf() などの基本的な関数や定数などの情報が記載されている。

C言語の基本的な命令(文)は、”;”で終わる。(単文)
複数の処理をまとめる場合には、”{“から”}”の中に、複数の文を書き並べる。(複文)

関数とは、複数の処理をひとまとめにした、処理の「かたまり」と思えばいい。

関数の型 関数名( 仮引数 ... ) {
   処理1 ... ;
   処理2 ... ;
}

printf() の 文字列中の”\n”(あるいは”¥n”)は、改行を意味する。
「\:バックスラッシュ」は、日本語環境では「¥:円記号」で入力・表示することが多い。

Paiza.io で動かしてみよう

C言語を本格的に使いたいなら、Microsoft Visual Studio などをインストールして使う方が便利だが、情報制御基礎で説明する程度のプログラムなら、Paiza.io が便利。ブラウザの画面で簡単にプログラムの動作を確認することができる。https://paiza.io/jaにアクセスして、上述の Hello World を動かしてみよう。

変数と代入

#include <stdio.h>
#include <math.h>            // 数学関数を使う 平方根 sqrt() を使っている
int main() {
   // 変数の宣言
   int    i ;                // 符号付き32bit変数 i の宣言
   int    a = 123 , j ;      // a を 123 で初期化 , j も整数型
   float  x ;                // 単精度実数の x を宣言
   double y = 1.234 , z ;    // 倍精度実数の y を宣言し 1.234 で初期化,
                             // z も倍精度実数
   // 変数への代入
   i = 1 ;                   // i に 1 を代入
   i = 12 + 2 * a ;          // 12+2*a を代入 a は123なので、
                             //   iには、258 が入る。
   x = sqrt( 2.0 ) ;         // x に 2.0 の平方根(1.4142)を代入
   z = y * 2.0 + x * 3.0 ;   // y*2+x*3をzに代入

   // 変数の内容の表示
   printf( "%d\n" , i ) ;    // 整数型(%d)で、    i の値を表示
   printf( "%f\n" , x ) ;    // 単精度実数(%f) で、x の値を表示
   printf( "%lf\n" , z ) ;   // 倍精度実数(%lf)で、z の値を表示

   printf( "iの値は%d,xの値は%lfです。\n" , i , x ) ;

   return 0 ;                // 正常終了 0 を返す
}

変数(計算結果を格納する入れ物)を使う場合は、変数を宣言する。
変数名には、何が入っているのか理解しやすいように、名前をつければいい。(英字で始まり、英数字が続くもの,_が入ってもいい)

変数に値を記憶する時は、”変数名=式 ;”の様に書くと、代入演算子”=” の右辺を計算し、その計算結果が左辺の変数に保存される。

変数の内容を表示する時には、printf() の文字列の中に、%d,%f,%lf などの表示したい式の型に応じたものを書いておく。%d=int型 , %f=float型 , %lf=double型
式の値が、その %.. の部分に書き込まれて、出力される。

繰り返しの制御命令

最も基礎的な繰り返し命令として、for() 文を説明。

#include <stdio.h>
int main() {
   int i ;
   for( i = 1 ; i <= 10 ; i++ ) {     // iを1から10まで変化させる。
      printf( "%d %d\n" , i , i*i ) ; // i と iの二乗を表示
   }
   return 0 ;
}

for文の意味を説明するために、対応するフローチャートを示す。

先のプログラムをフローチャートで示し、その命令の実行順序と、その変数の変化を下図に示す。

練習問題1

簡単なプログラミングの練習として、前回講義の練習問題をC言語で書いてみよう。

  • 電気電子工学科,電子情報工学科の学生は、出席番号が奇数は処理C,偶数は処理Dについて回答せよ。
  • それ以外の学科の学生は、出席番号が奇数は処理A,偶数は処理Bの結果について回答せよ。
  • 自分が考えたプログラムは、前述の Paiza.io や、自分のパソコンのC言語環境で入力し、動作結果も確認せよ。

制御構文とフローチャート

構文の入れ子

文と複文

C言語の文法で、{,} は複数の処理を連続して実行し、複文とよばれる。複数ので文を構成する。

これに対して、a = 123 ; といったセミコロンで終わる「処理 ;」は単文といい、1つの式で文となる。

制御構文のif文は、「if ( 条件 ) 文」で文となる。このため条件が満たされたときに実行する文が単文であれば、{,} は不要である。条件が満たされない場合の処理も記述するときには、「if ( 条件 ) 文 else 文」を使う。

// if文
if ( 条件 ) {
   a = 123 ;
}
if ( 条件 )
   a = 123 ; // 単文なら中括弧は不要

// if-then-else
if ( x >= 60 ) {
   printf( "合格点\n" ) ;
} else {
   printf( "不合格点\n" ) ;
}

同じように、「while(条件) 文」、「for(A,B,C) 文」、「do 文 while(条件) ;」も、それぞれ文を構成する。
{,} の複文は、{ 文 文 文… } のように、一連の文を実行し、それを1つの文として扱うための機能である。

// while 文
i = 0 ;
while( i < 10 ) {
   printf( "%d\n" , i ) ;
   i++ ;
}

// for 文
for( i = 0 ; i < 10 ; i++ ) {
   printf( "%d\n" , i ) ;
}

// do-while 文
i = 0 ;
do {
   printf( "%d\n" , i ) ;
   i++ ;
} while( i < 10 ) ;

練習問題2

プログラムの制御構造の確認として、以下の3つ(No.1,No.2,No.3)の問題から、
M科,C科,B科の学生は((自分の出席番号+1) % 2)+1 の問題、E科,EI科の学生は、((自分の出席番号+1) % 3)+1について、プログラムのフローチャートを描き、その処理がどのように進むのか答えよ。

レポートには、以下の点を記載すること。

  • フローチャート
  • 実行順序と変数の変化がわかる内容
  • (できれば、実際にプログラムを動かし、正しいことを検証すること)
// No.1 ---------------------------------------------------------
#include <stdio.h>
int main() {
   int i , j ;
   for( i = 1 ; i <= 4 ; i++ ) {
      if ( i % 2 == 0 ) {  // i%2 は2で割った余り,i%2==0ならば偶数のとき
         for( j = 1 ; j <= 2 ; j++ )
            printf( "%d %d\n" , i , j ) ;
      }
   }
   return 0 ;
}
// No.2 ---------------------------------------------------------
#include <stdio.h>
int main() {
   int x = 10 , y = 7 , s = 0 ;
   while( x > 0 ) {
      if ( x % 2 != 0 )
         s = s + y ;
      y = y * 2 ;
      x = x / 2 ;  // 注意: xは整数型      
   }
   printf( "%d\n" , s ) ;
   return 0 ;
}

// No.3 ---------------------------------------------------------
#include <stdio.h>
int a[ 6 ] = { 2 , 3 , 5 , 8 , 13 , 21 } ; 
int main() {
   int left = 0 , right = 6 , mid ;
   int key = 13 ;
   while( right - left > 0 ) {
      mid = (left + right) / 2 ; // 整数型で計算
      printf( "%d\n" , a[ mid ] ) ;
      if ( a[ mid ] == key )
         break ;
      else if ( a[ mid ] > key )
         right = mid ;
      else
         left = mid + 1 ;
   }
   return 0 ;
}