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再帰呼び出しの処理時間の見積もり

前回の授業の復習と練習問題

前回の授業では、for ループによる繰り返し処理のプログラムについて、処理時間を T(N) の一般式で表現することを説明し、それを用いたオーダー記法について説明を行った。理解を確認するための練習問題を以下に示す。

練習問題

  1. ある処理のデータ数Nに対する処理時間が、であった場合、オーダー記法で書くとどうなるか?
  2. の処理時間を要するアルゴリズムを、オーダー記法で書くとどうなるか?また、このような処理時間となるアルゴリズムの例を答えよ。
  3. の処理時間を要するアルゴリズムを、オーダー記法で書くとどうなるか?
    (ヒント: ロピタルの定理)
  • 1は、N→∞において、N2 ≪ 2Nなので、O(2N) 。厳密に回答するなら、練習問題3と同様の証明を行うべき。
  • 2は、O(1)。誤答の例:O(0)と書いちゃうと、T(N)=Tα×0=0になってしまう。事例は、電話番号を、巨大配列の”電話番号”番目の場所に記憶するといった方法。(これはハッシュ法で改めて講義予定)
  • 3の解説

再帰呼び出しの基本

次に、再帰呼び出しを含むような処理の処理時間見積もりについて解説をおこなう。そのまえに、再帰呼出しと簡単な処理の例を説明する。

再帰関数は、自分自身の処理の中に「問題を小さくした」自分自身の呼び出しを含む関数。プログラムには問題が最小となった時の処理があることで、再帰の繰り返しが止まる。

// 階乗 (末尾再帰)
int fact( int x ) {
   if ( x <= 1 )
      return 1 ;
   else
      return x * fact( x-1 ) ;
}
// ピラミッド体積 (末尾再帰)
int pyra( int x ) {
   if ( x <= 1 )
      return 1 ;
   else
      return x*x + pyra( x-1 ) ;
}
// フィボナッチ数列 (非末尾再帰)
int fib( int x ) {
   if ( x <= 2 )
      return 1 ;
   else
      return fib( x-1 ) + fib( x-2 ) ;
}

階乗 fact(N) を求める処理は、以下の様に再帰が進む。

また、フィボナッチ数列 fib(N) を求める処理は以下の様に再帰が進む。

再帰呼び出しの処理時間

次に、この再帰処理の処理時間を説明する。 最初のfact(),pyra()については、 x=1の時は、関数呼び出し,x<=1,return といった一定の処理時間を要し、T(1)=Ta で表せる。 x>1の時は、関数呼び出し,x<=1,*,x-1,returnの処理(Tb)に加え、x-1の値で再帰を実行する処理時間T(N-1)がかかる。 このことから、 T(N)=Tb=T(N-1)で表せる。

} 再帰方程式

このような、式の定義自体を再帰を使って表した式は再帰方程式と呼ばれる。これを以下のような代入の繰り返しによって解けば、一般式  が得られる。

T(1)=Ta
T(2)=Tb+T(1)=Tb+Ta
T(3)=Tb+T(2)=2×Tb+Ta
:
T(N)=Tb+T(N-1)=Tb + (N-2)×Tb+Ta

一般的に、再帰呼び出しプログラムは(考え方に慣れれば)分かりやすくプログラムが書けるが、プログラムを実行する時には、局所変数や関数の戻り先を覚える必要があり、深い再帰ではメモリ使用量が多くなる
ただし、fact() や pyra() のような関数は、プログラムの末端で再帰が行われている。(fib()は、再帰の一方が末尾ではない)
このような再帰は、末尾再帰(tail recursion) と呼ばれ、関数呼び出しの return を、再帰処理の先頭への goto 文に書き換えるといった最適化が可能である。言い換えるならば、末尾再帰の処理は繰り返し処理に書き換えが可能である。このため、末尾再帰の処理をループにすれば再帰のメモリ使用量の問題を克服できる。

再帰を含む一般的なプログラム例

ここまでのfact()やpyra()のような処理の再帰方程式は、再帰の度にNの値が1減るものばかりであった。もう少し一般的な再帰呼び出しのプログラムを、再帰方程式で表現し、処理時間を分析してみよう。
以下のプログラムを実行したらどんな値になるであろうか?それを踏まえ、処理時間はどのように表現できるであろうか?

int array[ 8 ] = {
  3 , 6 , 9 , 1 , 8 , 2 , 4 , 5 ,
} ;

int sum( int a[] , int L , int R ) { // 非末尾再帰
    if ( R - L == 1 ) {
        return a[ L ] ;
    } else {
        int M = (L + R) / 2 ;
        return sum( a , L , M ) + sum( a , M , R ) ;
    }
}
int main() {
    printf( "%d¥n" , sum( array , 0 , 8 ) ) ;
    return 0 ;
}

このプログラムでは、配列の合計を計算しているが、引数の L,R は、合計範囲の 左端(左端のデータのある場所)・右端(右端のデータのある場所+1)を表している。そして、再帰のたびに2つに分割して解いている。

このような、処理を(この例では半分に)分割し、分割したそれぞれを再帰で計算し、その処理結果を組み合わせて最終的な結果を求めるような処理方法を、分割統治法と呼ぶ。

このプログラムでは、対象となるデータ件数(R-L)をNとおいた場合、実行される命令からsum()の処理時間Ts(N)は次の再帰方程式で表せる。

   ← Tβ + (L〜M)の処理時間 + (M〜R)の処理時間

これを代入の繰り返しで解いていくと、

ということで、このプログラムの処理時間は、 で表せる。

JavaScriptによるフロントエンドプログラミング

前回の講義では、インターネットの仕組みを復習し、そこで使われるプログラミング言語などを紹介した。
今回の授業では、インターネットのブラウザ側(フロントエンド)で使われるプログラム言語である JavaScript の基本について整理しなおし、簡単な穴埋め問題による演習を行う。

JavaScriptによるフロントエンドプログラミング

複素数クラスのプログラム例への質問

授業で扱った複素数クラスのプログラムについて、以下のようなプログラムだと、a.add( b ) を実行すると、a の値が書き換わる。このため、次に a.mul( b ) を実行すると、(3+j5) * (2+j3) を実行する。もっと直感的な結果になるように、a の値が書き換わらないようにできないのか? といった趣旨の質問があった。

class Complex {
private:
    double re , im ;
public:
    Complex( double r , double i ) : re( r ) , im( i ) {}
    void print() { printf( "%f+j%f\n" , re , im ) ; }
    void add( Complex z ) {
        re = re + z.re ;
        im = im + z.im ;
    }
    void mul( Complex z ) {
        double r = re * z.re - im * z.im ;
        double i = re * z.im + im * z.re ;
        re = r ;
        im = i ;
    }
} ;
int main() {
    Complex a( 1 , 2 ) , b( 2 , 3 ) ;
    a.add( b ) ;  // a = a + b ;
    a.print() ;   // 3 + j5
    a.mul( b ) ;  // a = a * b ; ← aの値はすでに3+j5に変わった後
    a.print() ;   // (6-15) + j(10+9) = -9+j19
}

a の値が書き換わらないようにしたいのなら、以下のようなコードになるだろう。

対象オブジェクトを変化させない書き方

class Complex {
     :
    Complex add( Complex z ) {
        return Complex( re + z.re , im + z.im ) ;
    }
    Complex mul( Complex z ) {
        return Complex( re * z.re - im * z.im ,    // Complex オブジェクトを作って
                        re * z.im + im * z.re ) ;  //   返り値として返す。
    }
} ;
int main() {
    Complex a( 1 , 2 ) , b( 2 , 3 ) ;
    a.add( b ).print() ;  // 3+j5
    a.mul( b ).print() ;  // (2-6)+j(3+4) = -4+j7
}

ただ、このコードは、add() や mul() が Complex オブジェクトを作って返り値を返すが、その新しいオブジェクトはどのように呼び出し側に返されるのか?誰が廃棄するの? といった点で、単純なC言語の知識だけでは動作を理解しづらいことから、最初のコードにて説明を行った。でも、後者の方が計算結果のイメージは直感的だし、return コンストラクタ(…) の書き方に慣れてしまえば、プログラムも読みやすい!!

const メソッドとオブジェクトの参照渡し

前者のプログラムは、add() により 対象オブジェクトに副作用が発生する。後者は対象オブジェクトは変化しない。メソッドを呼び出す際にも、対象オブジェクトに副作用が発生しないことを明示したconstメソッドとして定義することで、オブジェクトを間違って破壊することから守ることもできる。

また、add() , mul() の引数は void add( Complex z ) {…} のような書き方では値渡しが行われる。つまり、メソッド呼び出し時点で実引数を仮引数にコピーする処理が発生する。このため、処理効率を考えるとポインタ渡し(参照渡し)の方がムダなコピーが発生しない。

一方で、参照渡しを行うと、ポインタを経由して引数に副作用を及ぼすことも可能となるため、参照渡しに const 宣言をつけることで、引数によるオブジェクト破壊を防ぐことができる。

class Complex {
private:
    double re , im ;
public:
    Complex( double r , double i ) : re( r ) , im( i ) {}
    void print() const {                   // 表示だけで副作用は発生しない
        printf( "%f+j%f\n" , re , im ) ;
    }
    Complex add( const Complex & z ) const {  // 対象オブジェクトは変化しない
        //       ~~~~~        ~~~    ~~~~~
        //       zに副作用なし 参照渡  constメソッド
        return Complex( re + z.re , im + z.im ) ;
    }
    Complex mul( const Complex & z ) const {
        return Complex( re * z.re - im * z.im ,
                        re * z.im + im * z.re ) ;
    }
} ;
int main() {
    Complex a( 1 , 2 ) , b( 2 , 3 ) ;
    a.add( b ).print() ;  // 3+j5
    a.mul( b ).print() ;  // (2-6)+j(3+4) = -4+j7
}

オブジェクト指向の基本プログラム

C++のクラスで表現

前回の講義での、構造体のポインタ渡しをC++の基本的なクラスで記述した場合のプログラムを再掲する。

#include <stdio.h>
#include <string.h>

// この部分はクラス設計者が書く
class Person {
private: // クラス外からアクセスできない部分
   // データ構造を記述
   char name[10] ; // メンバーの宣言
   int  age ;
public: // クラス外から使える部分
   // データに対する処理を記述
   void set( char s[] , int a ) { // メソッドの宣言
      // pのように対象のオブジェクトを明記する必要はない。
      strcpy( name , s ) ;
      age = a ;
   }
   void print() {
      printf( "%s %d¥n" , name , age ) ;
   }
} ; // ← 注意ここのセミコロンを書き忘れないこと。

// この部分はクラス利用者が書く
int main() {
   Person saitoh ;
   saitoh.set( "saitoh" , 55 ) ;
   saitoh.print() ;

   // 文法エラーの例
   printf( "%d¥n" , saitoh.age ) ; // phoneはprivateなので参照できない。
   return 0 ;
}

この様にC++のプログラムに書き換えたが、内部の処理は元のC言語と同じであり、オブジェクトへの関数呼び出し saitoh.set(…) などが呼び出されても、set() は、オブジェクトのポインタを引数して持つ関数として、機械語が生成されるだけである。

用語の解説:C++のプログラムでは、データ構造とデータの処理を、並行しながら記述する。 データ構造に対する処理は、メソッド(method)と呼ばれる。 データ構造とメソッドを同時に記載したものは、クラス(class)と呼ぶ。 そのデータに対し具体的な値や記憶域が割り当てられたものオブジェクト(object)と呼ぶ。

C++では隠蔽化をさらに明確にするために、private:public: といったアクセス制限を指定できる。private: は、そのメソッドの中でしか使うことができない要素や関数であり、public: は、メソッド以外からでも参照したり呼出したりできる。オブジェクト指向でプログラムを書くとき、データ構造や関数の処理方法は、クラス内部の設計者しか触れないようにしておけば、その内部を改良することができる。しかし、クラスの利用者が勝手に内部データを触っていると、内部設計者が改良するとそのプログラムは動かないものになってしまう。

隠蔽化を的確に行うことで、クラスの利用者はクラスの内部構造を触ることができなくなる。一方でクラス設計者はクラスの外部への挙動が変化しないようにクラス内部を修正することに心がければ、クラス利用者への影響がないままクラスの内部を改良できる。このように利用者への影響を最小に、常にプログラムを修正することリファクタリングと呼ぶ。

クラス限定子

前述のプログラムでは、class 宣言の中に関数内部の処理を記述していた。しかし関数の記述が長い場合は、書ききれないこういう場合はクラス限定子を使って、メソッドの具体的な処理をクラス宣言の外に記載する。

class Person {
private:
   char name[10] ;
   int  age ;
public:
   // メソッドのプロトタイプ宣言
   void set( char s[] , int a) ;
   void print() ;
} ;

// メソッドの実体をクラス宣言の外に記載する。
void Person::set( char s[] , int a ) {  // Person::set() 
   strcpy( name , s ) ;
   age = a ;
}
void Person::print() {                  // Person::print()
   printf( "%s %d¥n" , name , age ) ;
}

inline 関数と開いたサブルーチン

オブジェクト指向では、きわめて簡単な処理な関数を使うことも多い。
例えば、上記のプログラム例で、クラス利用者に年齢を読み出すことは許しても書き込みをさせたくない場合、以下のような、inline 関数を定義する。(getterメソッド)
# 逆に、値の代入専用のメソッドは、setterメソッドと呼ぶ

class Person {
private:
   char name[10] ;
   int  age ;
public:
   // メソッドのプロトタイプ宣言
   inline int get_age() { return age ; } // getter
   inline void set_age( int a ) { age = a ; } // setter
} ;

ここで inline とは、開いた関数(開いたサブルーチン)を作る指定子である。通常、機械語を生成するとき中身を参照するだけの機械語と、get_age() を呼出したときに関数呼び出しを行う機械語が作られる(閉じたサブルーチン)が、age を参照するだけのために関数呼び出しの機械語はムダが多い。inline を指定すると、入り口出口のある関数は生成されず、get_age() の処理にふさわしい age を参照するだけの機械語が生成される。

# 質問:C言語で開いたサブルーチンを使うためにはどういった機能があるか?

コンストラクタとデストラクタ

プログラムを記述する際、データの初期化忘れや終了処理忘れで、プログラムの誤動作の原因になることが多い。

このための機能がコンストラクタ(構築子)とデストラクタ(破壊子)という。

コンストラクタは、返り値を記載しない関数でクラス名(仮引数…)の形式で宣言し、オブジェクトの宣言時に初期化を行う処理として呼び出される。デストラクタは、~クラス名() の形式で宣言し、オブジェクトが不要となる際に、自動的に呼び出し処理が埋め込まれる。

class Person {
private:
   // データ構造を記述
   char name[10] ;
   int  age ;
public:
   Person() { // (A) 引数なしのコンストラクタ
      name[0] = '
class Person {
private:
   // データ構造を記述
   char name[10] ;
   int  age ;
public:
   Person() { // (A) 引数なしのコンストラクタ
      name[0] = '\0' ;
      age = 0 ;
   }
   Person( char s[] , int a ) { // (B) 引数ありのコンストラクタ
      strcpy( name , s ) ;
      age = a ;
   }
   ~Person() { // デストラクタ
      print() ;
   }
   void print() {
      printf( "'%s' = %d¥n" , name , age ) ;
   }
} ;

int main() {
   Person saitoh( "saitoh" , 55 ) ; // オブジェクトsaitohを"saitoh"と55で初期化
   Person tomoko ;  // 引数なしのコンストラクタで初期化される。
   return 0 ;
   // main を抜ける時にオブジェクトsaitohは不要になるので、
   // デストラクタが自動的に呼び出され、'saitoh' = 55 が表示。
   // 同様に tomoko のデストラクタでは、'' = 0 を表示。
}
' ; age = 0 ; } Person( char s[] , int a ) { // (B) 引数ありのコンストラクタ strcpy( name , s ) ; age = a ; } ~Person() { // デストラクタ print() ; } void print() { printf( "'%s' = %d¥n" , name , age ) ; } } ; int main() { Person saitoh( "saitoh" , 55 ) ; // オブジェクトsaitohを"saitoh"と55で初期化 Person tomoko ; // 引数なしのコンストラクタで初期化される。 return 0 ; // main を抜ける時にオブジェクトsaitohは不要になるので、 // デストラクタが自動的に呼び出され、'saitoh' = 55 が表示。 // 同様に tomoko のデストラクタでは、'' = 0 を表示。 }

このクラスの中には、(A)引数無しのコンストラクタと、(B)引数ありのコンストラクタが出てくる。C++では、同じ名前の関数でも引数の数や型に応じて呼出す関数を適切に選んでくれる。(関数のオーバーロード)

デストラクタは、データが不要となった時に自動的に呼び出してくれる関数で、一般的にはC言語でのファイルの fopen() , fclose() のようなものを使う処理で、コンストラクタで fopen() , デストラクタで fclose() を呼出すように使うことが多いだろう。同じように、コンストラクタで malloc() を呼出し、デストラクタで free() を呼出すというのが定番の使い方だろう。

複素数クラスの例

隠蔽化と基本的なオブジェクト指向の練習課題として、複素数クラスをあげる。ここでは、複素数の加算・乗算を例に説明をするので、減算・除算などの処理を記述することで、クラスの扱いに慣れてもらう。

直交座標系の複素数クラス

#include <stdio.h>
#include <math.h>

// 直交座標系の複素数クラス
class Complex {
private:
   double re ; // 実部
   double im ; // 虚部
public:
   void print() {
      printf( "%lf + j%lf¥n" , re , im ) ;
   }
   Complex( double r , double i )  // コンストラクタで要素の
     : re( r ) , im( i ) {         //  初期化はこのように書いてもいい
   }                               // re = r ; im = i ; の意味
   Complex()      // デフォルトコンストラクタ
     : re( 0.0 ) , im( 0.0 ) {
   }

   void add( Complex z ) {
      // 加算は、直交座標系だと極めてシンプル
      re = re + z.re ;
      im = im + z.im ;
   }
   void mul( Complex z ) {
      // 乗算は、直交座標系だと、ちょっと煩雑
      double r = re * z.re - im * z.im ;
      double i = re * z.im + im * z.re ;
      re = r ;
      im = i ;
   }
   double get_re() {
      return re ;
   }
   double get_im() {
      return im ;
   }
   double get_abs() { // 絶対値
      return sqrt( re*re + im*im ) ;
   }
   double get_arg() { // 偏角
      return atan2( im , re ) ;
   }
} ; // ←何度も繰り返すけど、ここのセミコロン忘れないでね
int main() {
   // 複素数を作る
   Complex a( 1.0 , 2.0 ) ;
   Complex b( 2.0 , 3.0 ) ;

   // 複素数の計算
   a.print() ;
   a.add( b ) ;
   a.print() ;
   a.mul( b ) ;
   a.print() ;

   return 0 ;
}

練習課題

  • 上記の直交座標系の複素数のクラスのプログラムを入力し、動作を確認せよ。
  • このプログラムに減算や除算の処理を追加せよ。

この練習課題は、次週に予定している「曲座標系の複素数クラス」に変更となった場合のプログラムを加え、第1回のレポート課題となります。

令和5年度・高専プロコン福井大会・テーマ・ポスター募集

令和5年度の全国高専プログラミングコンテストは、福井高専が主管で開催されます。

そこで、R5高専プロコン・福井大会のテーマを公募します。(ポスターは1件の応募がありました)

テーマやポスターでは、ぜひとも福井県・鯖江市などをアピールするようなものを提案してください。テーマ募集については、アイデアがまだ出そろわないので学生・教職員どなたでも提案していただいて構いません。

皆さんから提案頂いた内容は、福井高専・高専プロコン準備委員会にて選考し、R5年度のテーマやポスターとして利用します。

なお、ポスターについては以下の点にご留意ください。

  • 著作権に留意して作成してください。
  • 採用された作品の著作権は福井高専・全国高専プロコンに帰属します。
  • 実際の大会ポスターにする段階で文字などを重ねる都合上、若干のレイアウト変更を加える場合があります。
  • 最終段階でA1サイズのポスターになることを想定し十分な解像度のデータにて作成してください。
  • 応募締め切り 令和4年6月24日(金)
    期間を延長令和4年7月22日(金) までとします。
  • procon2023fukui@fukui.kosen-ac.jp 宛てに、本文にてテーマ、添付ファイルでポスターを添付して送付してください。テーマだけ、ポスターだけの応募でも構いません。 
  • テーマ募集は、こちらのFormsにて回答をお願いします。

例:令和4年度群馬大会(2022)

R4年度の群馬高専主管のプロコンは、以下のようなテーマとポスターとなっています。

テーマ:「ここだんべ!、日本一熱き、ITの戦場!
ポスター(第33回群馬大会(2022)引用)

過去のポスターなど

2021秋田大会
集え!未来創造への限りなき想い
2020苫小牧大会
北の大地で拓け!ICTミライ
2019都城大会
IT革命起こすっちゃが
2018阿南大会
ITの未来はここにあるでないで!

 

Webページの生成とプログラム言語

前回の講義では、OSの仕組みとインターネット(Web)の仕組みについて、総括・復習をおこなった。

前回の理解確認の Forms では、間違った回答をした人もある程度いたので、もう一度回答しても良いものとします。ただし、2回目の回答がある場合は、点数を 2/3 にて集計します。

2回目の授業では、インターネットのWebページを作るために使われているHTMLやCSSやプログラム言語について解説を行う。

インターネットの仕組みとDNSの演習

Webページの生成とプログラム言語

理解確認

繰り返し処理と処理時間の見積もり

単純サーチの処理時間

ここで、プログラムの実行時間を細かく分析してみる。

// ((case-1))
// 単純サーチ O(N)
#define SIZE 1024
int a[ SIZE ] ; // 配列
int size ;      // 実際のデータ数(Nとする)
int key ;       // 探すデータ
for( int i = 0 ; i < size ; i++ )
   if ( a[i] == key )
      break ;

例えばこの 単純サーチをフローチャートで表せば、以下のように表せるだろう。フローチャートの各部の実行回数は、途中で見つかる場合があるので、最小の場合・最大の場合を考え平均をとってみる。また、その1つ1つの処理は、コンピュータで機械語で動くわけだから、処理時間を要する。この時間を ,,, とする。

この検索処理全体の時間 を考えると、平均時間とすれば、以下のように表せるだろう。

ここで例題

この単純サーチのプログラムを動かしてみたら、N=1000で、5μ秒かかったとする。では、N=10000であれば、何秒かかるだろうか?

感のいい学生であれば、直感的に 50μ秒 と答えるだろうが、では、Tβ,Tα は何秒だったのだろうか? 上記のT(N)=Tα+NTβ に当てはめると、N=1000,T(N)=5μ秒の条件では、連立方程式は解けない。

ここで一番のポイントは、データ処理では N が小さな値の場合(データ件数が少ない状態)はあまり考えない。N が巨大な値であれば、Tαは、1000Tβに比べれば微々たる値という点である。よって

で考えれば良い。これであれば、T(1000)=5μ秒=Tβ×1000 よって、Tβ=5n秒となる。この結果、T(10000)=Tβ×10000=50μ秒 となる。

2分探索法と処理時間

次に、単純サーチよりは、速く・プログラムとしては難しくなった方法として、2分探索法の処理時間を考える。

// ((case-2))
// 2分探索法
int L=0 , R=size ; // プログラムは複雑になった 
while( L != R ) {
   int M = (L + R) / 2 ;
   if ( a[M] == key )
      break ;
   else if ( a[M] < key )
      L = M + 1 ;
   else
      R = M ;
}

このプログラムでは、1回のループ毎に対象となるデータ件数は、となる。説明を簡単にするために1回毎にN/2件となると考えれば、M回ループ後は、件となる。データ件数が1件になれば、データは必ず見つかることから、以下の式が成り立つ。

    …両辺のlogをとる

2分探索は、繰り返し処理であるから、処理時間は、

ここで、本来なら log の底は2であるが、後の見積もりの例では、問題に応じて底変換の公式で係数が出てくるが、これはTβに含めて考えればいい。

単純なソート(選択法)の処理時間

次に、並べ替え処理の処理時間について考える。

単純な並べ替えアルゴリズムとしてはバブルソートなどもあるが、2重ループの内側のループ回数がデータによって変わるので、選択法で考える。

int a[ 1000 ] = { 対象となるデータ } ;
int size = N ;

for( int i = 0 ; i < size - 1 ; i++ ) {
    int tmp ;
    // i..size-1 の範囲で一番大きいデータの場所を探す
    int m = i ;
    for( int j = i + 1 ; j < size ; j++ ) {
        if ( a[j] > a[m] )
            m = j ;
    }
    // 一番大きいデータを先頭に移動
    tmp = a[i] ;
    a[i] = a[m] ;
    a[m] = tmp ;
}

このプログラムの処理時間T(N)は…

… i=0の時
… i=1の時
:
         … i=N-1の時

        …(参考 数列の和の公式)

となる。

オーダー記法

ここまでのアルゴリズムをまとめると以下の表のようになる。ここで処理時間に大きく影響する部分は、最後の項の部分であり、特にその項の係数は、コンピュータの処理性能に影響を受けるが、アルゴリズムの優劣を考える場合は、それぞれ、 の部分の方が重要である。

単純サーチ
2分探索法
最大選択法

そこで、アルゴリズムの優劣を議論する場合は、この処理時間の見積もりに最も影響する項で、コンピュータの性能によって決まる係数を除いた部分を抽出した式で表現する。これをオーダー記法と言う。

単純サーチ オーダーNのアルゴリズム
2分探索法 オーダー log N のアルゴリズム
最大選択法 オーダー N2 のアルゴリズム

練習問題

  1. ある処理のデータ数Nに対する処理時間が、であった場合、オーダー記法で書くとどうなるか?
  2. コンピュータで2分探索法で、データ100件で10[μsec]かかったとする。
    データ10000件なら何[sec]かかるか?
    (ヒント: 底変換の公式)
  3. の処理時間を要するアルゴリズムを、オーダー記法で書くとどうなるか?また、このような処理時間となるアルゴリズムの例を答えよ。
  4. の処理時間を要するアルゴリズムを、オーダー記法で書くとどうなるか?
    (ヒント: ロピタルの定理)
  • 2と4の解説
  • 1は、N→∞において、N2 ≪ 2Nなので、O(2N) 。厳密に回答するなら、練習問題4と同様の説明を行う。
  • 3は、O(1)。誤答の例:O(0)と書いちゃうと、T(N)=Tα×0=0になってしまう。事例は、電話番号を、巨大配列の”電話番号”番目の場所に記憶するといった方法。(これはハッシュ法で改めて講義予定)

再帰呼び出しの予習

次の講義の基礎を確認という意味で、再帰呼出しと簡単な処理の例を説明する。

最初に定番の階乗(fact)

次に、フィボナッチ数列の場合

次の講義への導入問題

ここで示す導入問題をすべて答えるには、若干の予習が必要です。まずはどういう考え方をすれば解けるかな…を考えてみてください。

  • fact(N)の処理時間を、Tfact(N) = … のような式で表現し、処理時間をオーダ記法で答えよ。
  • 以下のプログラムの実行結果を答えよ。また、関数sum()の処理時間を対象となるデータ件数N=RLを用いて Tsum(N) = …のような式で表現せよ。
int a[] = { 1 , 5 , 8 , 9 , 2 , 3 , 4 , 7 } ;
int sum( int a[] , int L , int R ) {
   if ( R-L == 1 ) {
      return a[L] ;
   } else {
      int M = (L + R) / 2 ;
      return sum( a , L , M ) + sum( a , M , R ) ;
   }
}
int main() {
   printf( "%d¥n" , sum( a , 0 , 8 ) ) ;
   return 0 ;
}

創造工学演習・PHPとDB(予備実験)

インターネットを活用したプログラムを作成する場合、データを保存管理するためのデータベースと、データベースのデータを処理するためのプログラム言語が必要となってくる。今回の予備実験では、そのためにリレーショナルデータベースと、Webの動的なプログラム言語である PHP について説明する。

リレーショナル・データベース

データベースは、データを保存し、矛盾が発生しない様に管理してくれるシステムであり、インターネットで活用されている。

データを確実に保存し、矛盾なく扱うためには、本来複雑なプログラムが必要となる。この中で、データを表形式のテーブルを組み合わせて管理するシステムはリレーショナルデータベースと呼ばれる。リレーショナルデータベースでは、データの問い合わせなどの処理が簡単にできるように、SQL と呼ばれる言語を使って処理を行う。

大量のデータをインターネットの中で利用するためには、ネットワークを経由してデータの問い合わせが求められ、有名なデータベースシステムには、Oracle, MySQL などがある。今回の実験では、ネットワーク機能は持たないが簡単な手続きで使うことができる SQLite を使って説明する。

また、今回の予備実験では時間も限られることから、複数の表を組み合わせた SQL の処理については割愛する。

SQLの基本

リレーショナルデータベースでは、データの基本は表形式データであり、1つの表に相当するデータはテーブルと呼ぶ。

以下の様な名前・住所・年齢のデータがあったとすると、1人前のデータをレコードと呼び、name, addr, age といった属性はカラムと呼ぶ。

name addr age
t-saitoh 越前市 55 ←レコード
sakamoto 福井市 50
murata 福井市 35
↑カラム

データの型には、文字列型(char型,varchar型,text型)や、数値型(integer型,decimal型,real型)などがあり、create table 文にてカラムの型を定義する。

create table テーブルを作る

データベースの表を使う最初には、create table 文を実行する。C言語での struct 文をイメージすると解り易いかもしれないが、データはデータベースの中に永続的に保存されるので、システムを動かす最初に一度実行するだけで良い。

上記のような名前・住所・年齢のデータ構造であれば、次の様な create table 文を使う。

create table テーブル名 (
    カラム名1  型1 ,
    カラム名2  型2 
    ) ;
-- 例 --
create table PERSON (        -- テーブル名:PERSON
    name  varchar( 20 ) ,    -- 名前
    addr  varchar( 20 ) ,    -- 住所
    age   integer ,          -- 年齢
    primary key( name )      -- name はデータ検索のキーであり重複は許されない
    ) ;

これと同じ様な処理をC言語で書くのであれば、以下の様な構造体宣言と同じであろう。

struct PERSON {
    char name[ 20 ] ;    // 名前
    char addr[ 20 ] ;    // 住所
    int  age ;           // 年齢
} ;

drop table テーブルを消す

データベースは永続的に保存されるので、テーブル全体のデータが不要であれば、drop table 命令で、テーブル全体を消す。

drop table テーブル名 ;
-- 例 --
drop table PERSON ;

insert into レコードを追加

データベースに1レコードを保存するには、insert文を用いる。

insert into テーブル名 ( カラム名... ) values( 値... ) ;
-- 例 --
insert into PERSON ( name ,       addr ,    age )
            values ( 't-saitoh' , '越前市' , 55  ) ;
insert into PERSON ( name ,       addr ,    age )
            values ( 'sakamoto' , '福井市' , 50  ) ;
insert into PERSON ( name ,       addr ,    age )
            values ( 'murata' ,   '福井市' , 35  ) ;

delete レコードを消す

データベースのレコードを消すには、delete 文を用いる。条件を満たす複数のデータをまとめて消すことができる。

delete from テーブル名 where 条件 ;
-- 例 --
-- 40歳未満のデータを全て消す。 murata,福井市,35 が消える。
delete from PERSON
       where age < 40 ;

update レコードを更新

データベースのレコードを修正するには、update 文を用いる。条件を満たす複数のデータをまとめて修正することもできる。

update テーブル名 set カラム = 値 where 条件 ;
-- 例 --
-- 住所が越前市のレコードの年齢を 0 にする。
update PERSON set age = 0
       where addr == '越前市' ;

select データを探す

データベースの内容を参照するための命令が select 文。where を記載することで、特定の条件のデータだけを選択したり、特定のカラムだけを抽出することができる。

select カラム名 from テーブル名 where 条件 ;
-- 例 --
-- PERSON の全データを出力
select * from PERSON ;

-- PERSON の住所が福井市だけを選別し、名前と住所を抽出
select name,addr from PERSON
       where addr = '福井市' ;

-- PERSON の年齢の最高値を出力 (集約関数)
select max(age) from PERSON
       where addr = '福井市' ;

-- PERSON の年齢条件を満たす人数を数える (集約関数)
select count(name) from PERSON
       where age >= 50 ;

動的なプログラム言語とPHP

本来、Webサーバが作られた頃は、論文や研究用のデータを公開する物であったが、扱うデータが増えるにつれ、特定の論文や研究データの一覧を表示したり探したりという処理が求められた。こういった処理のためにWebページのアクセスを受けた時に処理を実行する CGI という機能があったが、これを発展させてできたプログラム言語が PHP である。

PHPでは、ページを表示するための HTML の中に <?php?> のといった開始タグ・終了タグの中に、ブラウザから送られてきたデータに合わせて、処理を行うPHPの命令を記述し、データを(一般的にはHTML形式で)表示することができる。基本文法は C 言語に似ているが、様々なデータを扱うために変数にはどのような型でも保存できるようになっている。

ブラウザからデータを送るためのform文

ブラウザで入力欄を作ったり選択肢を表示し、その結果を送るための HTML は、入力フォーム(form)と呼ぶ。

<form method="get" action="処理ページ" >

  <input type="text" name="変数名" />

  <input type="radio" name="変数名" value="値" />
  <input type="checkbox" name="変数名" value="値" />

  <textarea cols="横文字数" rows="行数"></textarea>

  <select name="変数名">
    <option value="値1">表示1</option>
    <option value="値2">表示2</option>
  </select>
  <input type="submit" value="実行ボタンに表示する内容" />
</form>

formでは、入力する項目に変数名の名前を付け、action=”” で示したページにデータを送る。

PHPのプログラムの基本

PHPのプログラムは、外見は一般的に HTML ファイルであり、途中で <?php のタグからは、?> までの範囲が、PHP で処理が行われる。PHP のプログラムで print が実行されると、その場所に print 内容が書かれているような HTML ファイルが生成され、ブラウザで表示される。

PHP の中で変数は、$ で始まり、型宣言は基本的に不要である。

文字データを連結する場合は、“.” 演算子を使う。ダブルクオテーション”…”で囲まれた文字列の中の $名前 の部分は、変数名として扱われ、変数名の内容に置き換えられる。

HTMLのform文の action 属性で示された php であれば、PHPの中で送られてきた値を $_GET[‘変数名’] (method=”get”の場合)、 $_POST[‘変数名’] (method=”post”の場合)、または $_REQUEST[‘変数名’] (method=”get” or “post”) で参照できる。

((( sample.php )))
<html>
   <head>
      <title>sample.php</title>
      <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8" />
   </head>
   <body>
      <form action="sample.php" method="POST">
         <input name="A" type="text" />     <!-- 変数 $A -->
         +
         <input name="B" type="text" />     <!-- 変数 $B -->
         =
         <?php 
            ini_set( 'error_reporting' , E_WARNING ) ;
            if ( $_REQUEST[ "A" ] != "" && $_REQUEST[ "B" ] != "" ) {
               print $_REQUEST[ "A" ] + $_REQUEST[ "B" ] ;
            } else {
               print "<INPUT TYPE=submit>" ;
            }
         ?>
      </form>
   </body>
</html>

PHPでデータベースを扱う

SQLのデータベースを、プログラム言語の中で扱う場合は、その記述も色々である。PHPでは以下の様にSQLを扱う。

((( survey-init.php )))
<html>
   <head>
      <title>survey_init.php</title>
      <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8" />
   </head>
   <body>
      <?php
         // デバッグ用にエラー警告を表示する
         ini_set( 'error_reporting' , E_WARNING ) ;
         // データベースに接続する
         $data_dir = "../public_data" ;
         $dbh = new PDO( "sqlite:$data_dir/sqlite.db" ) ;
         // データベースを初期化する
         $init_sql = "drop table if exists Survey ;"
                   . "create table Survey ("
                   . "  uid  varchar( 20 ) ,"
                   . "  item varchar( 10 )"
                   . ") ;"
                   . "insert into Survey ( uid , item ) values ( 't-saitoh' , '猫'        ) ;"
                   . "insert into Survey ( uid , item ) values ( 'tomoko' ,   'ケーキ'     ) ;"
                   . "insert into Survey ( uid , item ) values ( 'mitsuki' ,  'ボードゲーム' ) ;"
                   ;
         if ( $dbh->exec( $init_sql ) < 0 ) {
            print "Error: $init_sql" ;
         }
         // データベースの表形式を読み出し、表形式で出力する。
         print "<table border='1'>\n" ;
         print "<tr><td align='center'>uid</td><td align='center'>item</td></tr>\n" ;
         $select_sql = "select uid,item from Survey ;" ;
         foreach( $dbh->query( $select_sql ) as list( $uid , $item ) ) {
            print "<tr><td>$uid</td><td>$item</td></tr>\n" ;
         }
         print "<table>\n" ;

         // データベースの単一データを取り出す
         $count_sql = "select count(item) from Survey where item = 'ケーキ' ;" ;
         print $dbh->query( $count_sql )->fetchColumn() ;
      ?>
   </body>
</html>

PHPの主要なSQL関数(PDO)

$dbh = new PDO(…) ; データベースに接続するハンドラを取得。
$dbh->exec( “create…” ) ; データベースでSQLを実行。
$dbh->query( “select…” ) ; データベースに問い合わせ。「1レコードに対応した配列」が全データだけ繰り返す、2次元配列を返す。
$dbh->query( “…” )->fetchColumn() 結果が1つだけの問い合わせ。集約関数の結果を参照する場合に用いる。

練習問題(1)

  • 上記の survey-init.php の select 文の部分を編集し、色々なデータ検索を試してみよ。

入力フォームのデータをデータベースに書き込む

((( survey-vote.php )))
<?php
    // エラー警告を表示                                                                                                     
    ini_set( 'error_reporting' , E_WARNING ) ;

    // form から送られてきた変数を保存                                                                                      
    $uid  = $_REQUEST[ "uid" ] ;
    $item = $_REQUEST[ "item" ] ;

    // データベースに接続する                                                                                               
    $data_dir = "../public_data" ;
    $dbh = new PDO( "sqlite:$data_dir/sqlite.db" ) ;

    // データベースに項目を追加する                                                                                         
    if ( $uid != "" && $item != "" ) {
        $insert_sql = sprintf( "insert into Survey( uid , item ) values ( %s , %s ) ;" ,
                               $dbh->quote( $uid ) , $dbh->quote( $item ) ) ;
        $dbh->exec( $insert_sql ) ;

        // reload処理で追記しないためページを強制的に再表示させる                                                           
        header( "Location: survey-vote.php" ) ;
    }
?>
<html>
  <head>
    <title>survey_vote.php</title>
    <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8" />
  </head>
  <body>
    <form method="get" action="survey-vote.php">
       名前:   <input type="text" name="uid" />
       好きな物:<input type="text" name="item" />
       <input type="submit" value="投票" />
    </form>
    <?php
      // データベースの表形式を読み出し、表形式で出力する。                                                                   
      print "<table border='1'>\n" ;
      print "  <tr><td align='center'>uid</td><td align='center'>item</td></tr>\n" ;

      $select_sql = "select uid,item from Survey ;" ;
      foreach( $dbh->query( $select_sql ) as list( $t_uid , $t_item ) ) {
          print "  <tr><td>$t_uid</td><td>$t_item</td></tr>\n" ;
      }
      print "</table>\n" ;
    ?>
  </body>
</html>

練習問題(2)

  • 上記の survey-vote.php のプログラムを編集し色々な入力方法・出力方法を試してみよ。
    • 例えば、入力の item 選択に select や ラジオボタン フォームを使う。
    • 例えば、出力結果で、item の投票結果を、棒グラフで出力する。

構造体とオブジェクト指向

初回の講義では、欠席者もいたので前回の講義資料も扱いながら説明を行う。最初に、前回講義資料の値渡し・参照渡し・ポインタ渡しを復習してから、構造体の話につなげていく。

構造体

上記資料を元に説明。 最初に構造体が無かったら、名前・国語・算数・理科の1クラス分のデータをどう表現しますか?

// まずは基本の宣言
char name[ 50 ][ 20 ] ;
int  kokugo[ 50 ] ;
int  sansu[ 50 ] ;
int  rika[ 50 ] ;
// もしクラスが最初20人だったら、20→50に変更する際に、
// 文字列長の20も書きなおしちゃうかも。
// 50とか20とかマジックナンバーは使わないほうがいい。
#define SIZE 50
#define LEN 20
char name[ SIZE ][ LEN ] ;
int  kokugo[ SIZE ] ;
:
// 2クラス分のデータ(例えばEI科とE科)を保存したかったら?
// case-1(配列2倍にしちゃえ)
char name[ 100 ][ 20 ] ;  // どこからがEI科?
int  kokugo[ 100 ] ;
:

// case-2(2次元配列にしちゃえ)
char name[ 2 ][ 50 ][ 20 ] ; // 0,1どっちがEI科?
int  kokugo[ 2 ][ 50 ] ;
:

// case-3(目的に応じた名前の変数を作っちゃえ)
char ei_name[ 50 ][ 20 ] ; // EI科は一目瞭然
int  ei_kokugo[ 50 ] ;     // だけど変数名が違うから
:                      // 処理を2度書き
char ee_name[ 50 ][ 20 ] ;
int  ee_kokugo[ 50 ] ;
:

このような問題に対応するために構造体を用いる。

struct Person {  // Personが構造体名(タグ名)
   char name[ 20 ] ;
   int  kokugo ;
   int  sansu ;
   int  rika ;
} ;
struct Person saitoh ;
struct Person ei[ 50 ] , ee[ 40 ] ;
strcpy( saitoh.name , "t-saitoh" ) ;
saitoh.kokugo = 100 ;
ei[ 0 ].sansu = 80 ;
ee[ 1 ].rika = 75 ;

このように構造体を使うことで、複数のデータを1つのデータの塊として扱えるようになる。

構造体の参照渡し

構造体のデータを関数の呼び出しで記述する場合には、参照渡しを利用する。

struct Person {
   char name[ 20 ] ;
   int  age ;
} ;
void print( struct Person* p ) {
   printf( "%s %d¥n" , p->name , p->age ) ;
}
void main() {
   struct Person saitoh ;
   strcpy( saitoh.name , "t-saitoh" ) ;
   saitoh.age = 50 ;
   print( &saitoh ) ;  // ポインタによる参照渡し
}

このようなプログラムの書き方をすると、「データ saitoh に、print() せよ…」 といった処理を記述したようになる。 これを発展して、データ saitoh に、print という命令をするイメージにも見える。

この考え方を、そのままプログラムに反映させ、Personというデータは、 名前と年齢、データを表示するprintは…といったように、 データ構造と、そのデータ構造への処理をペアで記述すると分かりやすい。

オブジェクト指向の導入

構造体でオブジェクト指向もどき

例えば、名前と年齢の構造体で処理を記述する場合、 以下の様な記載を行うことで、データ設計者データ利用者で分けて 仕事ができることを説明。

// この部分はデータ構造の設計者が書く
// データ構造を記述
struct Person {
   char name[10] ;
   int  age ;
} ;
// データに対する処理を記述
void setPerson( struct Person* p , char s[] , int a ) {
   // ポインタの参照で表記
   strcpy( (*p).name , s ) ;
   (*p).age = a ;
}
void printPerson( struct Person* p ) {
   // アロー演算子で表記 "(*p).name" は "p->name" で書ける
   printf( "%s %d¥n" ,
           p->name , p->age ) ;
}
// この部分は、データ利用者が書く
int main() {
   // Personの中身を知らなくてもいいから配列を定義(データ隠蔽)
   struct Person saitoh ;
   setPerson( &saitoh , "saitoh" , 55 ) ;

   struct Person table[ 10 ] ; // 初期化は記述を省略
   for( int i = 0 ; i < 10 ; i++ ) {
      // 出力する...という雰囲気で書ける(手続き隠蔽)
      printPerson( &table[i] ) ;
   }
   return 0 ;
}

このプログラムの書き方では、mainの中を読むだけもで、 データ初期化とデータ出力を行うことはある程度理解できる。 この時、データ構造の中身を知らなくてもプログラムが理解でき、 データ実装者はプログラムを記述できる。これをデータ構造の隠蔽化という。 一方、setPerson()や、printPerson()という関数の中身についても、 初期化・出力の方法をどうするのか知らなくても、 関数名から動作は推測できプログラムも書ける。 これを手続きの隠蔽化という。

C++のクラスで表現

上記のプログラムをそのままC++に書き直すと以下のようになる。

#include <stdio.h>
#include <string.h>

// この部分はクラス設計者が書く
class Person {
private: // クラス外からアクセスできない部分
   // データ構造を記述
   char name[10] ; // メンバーの宣言
   int  age ;
public: // クラス外から使える部分
   // データに対する処理を記述
   void set( char s[] , int a ) { // メソッドの宣言
      // pのように対象のオブジェクトを明記する必要はない。
      strcpy( name , s ) ;
      age = a ;
   }
   void print() {
      printf( "%s %d¥n" , name , age ) ;
   }
} ; // ← 注意ここのセミコロンを書き忘れないこと。

// この部分はクラス利用者が書く
int main() {
   Person saitoh ;
   saitoh.set( "saitoh" , 55 ) ;
   saitoh.print() ;

   // 文法エラーの例
   printf( "%d¥n" , saitoh.age ) ; // age は private なので参照できない。
   return 0 ;
}

用語の解説:C++のプログラムでは、データ構造データの処理を、並行しながら記述する。 データ構造に対する処理は、メソッド(method)と呼ばれる。 データ構造とメソッドを同時に記載したものは、クラス(class)と呼ぶ。 そのclassに対し、具体的な値や記憶域が割り当てられたものをオブジェクト(object)と呼ぶ。

情報メディア工学・ガイダンス

情報メディア工学では、前期では情報を扱うためのOSの仕組みなどを、実践を交えながら演習を中心に行う。後期は5年の人工知能の授業につながる内容として、情報の中のデータをどう処理するのかを議論する。

OSの役割と仕組み

組込み系システム

組込み系のシステムで、OSが無い場合(例えば Arduino でデバイスを制御する場合)には、ユーザプログラムはデバイスを操作するライブラリやI/Oポートを直接制御しながら、ハードウェアを制御する。ユーザプログラムは、デバイスを操作するライブラリを含むため、異なるシステムでは機械語をそのまま使うことはできない。(共通化が不十分)

組込み系システムでは、ハードウェアを操作する命令をすべてユーザプログラムが面倒を見る必要があるため、システムが複雑化するとプログラム開発が大変になってくる。また、ユーザプログラムが間違った制御方法を取れば、ハードウェアを壊すような処理を実行してしまうかもしれない。(資源保護ができない)

オペレーティングシステム経由でハード操作

コンピュータのハードウェアの違いは OS がすべて包み隠し、OSが管理する。OSは 特権モード で動作し、ハードウェアを直接制御する。ユーザプログラムはユーザモードで動作し、OSの機能を呼び出すシステムコールを経由し、デバイス毎のデバイスドライバを経由して、ハードウェアを操作する。ユーザモードのプログラムは、ハードウェアを直接操作するような命令を実行しようとすると、OSが命令を強制停止させる。(資源保護)

ユーザプログラムには、ハードウェアを直接操作する機械語が含まれていないので、ユーザプログラムの機械語を同じOSが動く他のコンピュータにコピーして動かすことができる。(資源の扱いを共通化)

(例) helloworld のプログラムがコンソールに出力

簡単な例として、helloworld.c のような簡単なコンソール出力プログラムが動いて、画面に文字が表示されるのは以下の図のようにOSを経由して文字を表示している。

古いコンピュータで、プログラムが動作するだけならば、仕組みはすごく簡単にみえる。ユーザプログラムはすべて特権モードで動くOS(狭義のOSとかカーネルと呼ぶことが多い)を経由してハードウェアを操作する。

GUI が使えるグラフィカルな OS の場合

GUI が使えるグラフィカルなOSの場合、GUI の操作を支援するプログラム(ウィンドウマネージャ)などを利用しながら、ユーザはOSを操作する。コンピュータを操作する場合は、こういうウィンドウマネージャなどがないと不便であり、カーネルとユーザ支援のウィンドウマネージャなどをまとめて広義のOSと呼ぶ場合も多い。

ユーザプログラムは、GUIを操作するためのライブラリを経由し、さらにカーネルを経由してディスプレィに結果が表示される。

ユーザモードのプログラムの実行単位プロセスでは、処理を実行するためのメモリなどは他の処理と分離されており、他のプロセスのメモリ領域などを間違ってアクセスすると「メモリエラー」といった例外などが発生し、処理が強制的に停止させられる。このように、プロセスが他に悪影響を及ぼさないように、OS はメモリを管理する。(OSの保護機能)

(例) helloworld の結果を端末ソフトで表示

以下のように、コンソールアプリの実行結果を表示するような、cmd.exe は、helloworld.exe と OS を経由しながら連動して動いている。

helloworld.exe の出力は、OS を経由しながら cmd.exe に伝わり、cmd.exe はその表示内容に応じて、テキストの文字やフォントに合わせてグラフィカルな画面に文字を表示しようとする。グラフィカルな出力は GUI のライブラリを経由しながら OS に送られ、グラフィックドライバが画面に文字を表示する。

インターネットとプログラム

次に、インターネットの仕組みを踏まえ、インターネットで使われるプログラム言語やデータについて3~4週をかけて演習を中心にしながら、今まで習ってきたことを総括する。

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