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情報制御基礎」カテゴリーアーカイブ

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コンピュータとN進数

3年の情報制御基礎の授業の一回目。この授業では、情報系以外の学生も受講することから、基礎的な共通的な話題を中心に説明を行う。参考:2020年度の講義資料

情報制御基礎のシラバス

情報制御基礎では、ここに上げたシラバスに沿って授業を行う。

基本的に、センサーから読み取ったデータを使って動く制御系システムを作る場合の基礎知識ということで、アナログ量・デジタル量の話から、移動平均やデータ差分といった数値処理や、そこで求まった値を制御に用いるための基礎的な話を行う。

コンピュータと組み込み系

最近では、コンピュータといっても様々な所で使われている。

  1. 科学技術計算用の大型コンピュータ(最近なら富岳が有名)や
  2. インターネットの処理を行うサーバ群
    (必要に応じてサービスとして提供されるものはクラウドコンピューティングと呼ぶ)、
  3. デスクトップパソコン、
  4. タブレットPCやスマートフォンのような端末、
  5. 電化製品の中に収まるようなワンチップコンピュータなどがある。

(1) サーバ:ブレードサーバ

(5) ワンチップコンピュータ:PIC

身近で使われている情報制御という点では、(5)のような小型のコンピュータも多く、こういったものは組み込み型コンピュータとも呼ばれる。しかし、こういったコンピュータは、小さく機能も限られているので、

  • 組み込み系では、扱える数値が整数で 8bit や 16bit といった精度しかなかったり、
  • 実数を伴う複雑な計算をするには、処理時間がかかったりする

ため、注意が必要である。

この情報制御基礎の授業では、組み込み系のコンピュータでも数値を正しく扱うための知識や、こういった小さいコンピュータで制御を行うことを踏まえた知識を中心に説明を行う。

2進数と10進数

コンピュータの中では、電圧が高い/低いといった状態で0と1の2通りの状態を表し、その 0/1 を組み合わせて、大きな数字を表す(2進数)。

練習として、2進数を10進数で表したり、10進数を2進数に直してみよう。

N進数を10進数に変換

N進数で “abcde” があったとする。(2進数で”10101)2“とか、10進数で”12345)10“とか)

この値は、以下のような式で表せる。

(例1)

(例2)

10進数をN進数に変換

N進数のは、前式を変形すると、以下のような式で表せることから、

値をNで割った余りを求めると、N進数の最下位桁eを取り出せる。

このため、10進数で与えられた35を2進数に変換するのであれば、35を2で次々と割った余りを、下の桁から書きならべれば2進数100011)2が得られる。

実数の場合

途中に小数点を含むN進数のab.cde)Nであれば、以下の値を意味する。

ここで、小数点以下だけを取り出した、0.cde)Nを考えると、

の値に、Nをかけると、次のように変形できる。

この式を見ると、小数部にNをかけると、整数部分に小数点以下1桁目が取り出せる

このため、10進数で与えられた、0.625を2進数に変換するのであれば、0.625に次々と2をかけて、その整数部を上の桁から書きならべれば、2進数0.101)2が得られる。

ただし、10進数で0.1という値で、上記の計算を行うと、延々と繰り返しが発生する。つまり、無限小数になるので注意せよ。

2の補数と負の数

コンピュータの中で引き算を行う場合には、2の補数がよく使われる。2の補数とは、2進数の0と1を入替えた結果(1の補数)に、1を加えた数である。

元の数に2の補数を加えると(2進数が8bitの数であれば)、どのような数でも1,0000,0000という値になる。この先頭の9bit目が必ずはみ出し、この値を覚えないのであれば、元の数+2の補数=0とみなすことができる。このことから、2の補数= (-元の数) であり、負の数を扱うのに都合が良い。

練習問題

(1) 自分の誕生日で、整数部を誕生日の日、小数点以下を誕生日の月とした値について、2進数に変換せよ。(例えば、2月7日の場合は、”7.02″という小数点を含む10進数とする。)

変換の際には、上の説明の中にあるような計算手順を示すこと。また、その2進数を10進数に直し、元の値と同じか確認すること。(ただし、結果の2進数が無限小数になる場合最大7桁まで求めれば良い。同じ値か確認する際には無限少数の場合は近い値になるか確認すること)

(2) 自分の誕生日の日と、自分の学籍番号の下2桁の値を加えた値について、8bitの2進数で表わせ。(2月7日生まれの出席番号13番なら7+13=21)

その後、8bitの2進数として、2の補数を求めよ。また、元の数と2の補数を加えた値についても検証すること。

レポートの提出先は、こちらのリンクを参照(この中にレポート書式のひな型を置いてあります)

授業アンケート結果

年度末恒例の授業アンケートの結果。
コロナ禍の遠隔授業などもあったけど、どの科目も80ポイントは維持できました。



sizeof(long int)

C言語のプログラミングで、型によってどの程度の数を記憶できるのかを説明することが多い。

注意して欲しい点としては、int型(32bit) = -231〜0〜231-1のあと、64bit を扱う場合はどう宣言するか。

今までは、long int は 実装により 32bit かもしれないし、64bit かもしれないので、64bit を使いたい場合は「gcc なら long long int 型を使って…」と説明していた。

しかし、説明資料を作っていたら、long int=32bit と思っていたけど、64bitだった。

改めて、最近の状況を確認したら、

  • OSが “x86” なら long int = 32bit , long long int = 64bit
  • OSが “x86_64” なら long int = 64bit , long long int = 64bit

なのね。

size_t 型

ちなみに、C言語では、malloc( ) に渡すメモリサイズなどは、2GB(231)を超える場合も想定する必要がある。このため、int で不具合が出る場合/出ない場合でプログラムを書き換えることがないように、size_t 型が定義されている。
実際には、以下のような typedef が #include <stdio.h>などの中で宣言されている。

((32bit))
typedef int size_t ;
((64bit))
typedef long long int size_t ;

情報制御基礎2020全講義録

3年学際科目・情報制御基礎の2020年度の講義録の一覧

2020年度前期授業アンケート

情報構造論

情報構造論は通年科目なので、中間状況だけど、ひとまず80ポイント越え。1件だけ最低評価が並んでいるのが気がかり。不満のある人が積極的に質問してくれるといいのだが。

オブジェクト指向プログラミング

オブジェクト指向は、専攻科2年相手の前期科目。課題でやや不満が1件あるけど、難しかったのだろうか。設定が曖昧だったのだろうか。

情報制御基礎

情報制御基礎は、3年生の学際科目で全学科対象の授業。「テストの過去問題がWebに掲載してあり勉強しやすかった」といった趣旨の意見もあり、評価も高かった。

どの授業も、コロナによる遠隔授業であったが、例年 Web に掲載している講義資料をそのまま使い、Teams のWeb会議でMicrosoft Edge のペン書き機能を使いながら補足説明を書き込みしながら行なった。Web会議は録画しておき、オンデマンドで視聴できるようにしておいたので、コロナ遠隔授業といいながらも、授業の進め方は今まで通りにすすめたつもり。

差分とフィードバック制御

情報制御基礎の授業を通して、入力値を制御するため、コンピュータを使う場合の数値処理の基礎的な話として、信号の平滑化を説明してきたので、最後に差分について説明をする。また、実際には、入力値を制御に利用する一般的な構成のフィードバック制御について説明する。

変化の検出

例えば、以下のような若干のノイズが混ざった入力信号が与えられたとする。この波形で「大きな山が何ヶ所ありますか?」と聞かれたら、いくつと答えるべきであろうか?山の判断方法は色々あるが、4カ所という答えは、1つの見方であろう。では、この4カ所という判断はどうすればいいだろうか?

こういった山の数を数えるのであれば、一定値より高いか低いか…という判断方法もあるだろう。この絵であれば、15ステップ目、32ステップ目付近は、100を越えていることで、2つの山と判断できるだろう。

こういった予め決めておいた値より「上か?/下か?」で判断するときの基準値は、しきい値(閾値:threshold)と呼ぶ。

しかし、この閾値では、40ステップ目から50ステップ目も100を越えており、以下のようなプログラムを書いたら、40ステップ目~50ステップ目すべてをカウントしてしまう。

#define THRESHOLD 100
int x[ 100 ] = {
   // 波形のデータが入っているとする。
} ;

int count = 0 ;
for( int i = 0 ; i < 100 ; i++ ) {
   if ( x[i] >= THRESHOLD )
      count++ ;
}

また、65ステップ目の小さな山も1個とカウントしてしまう。

この問題を避けるために、閾値を130にすると、今度は最初の2つの山をカウントできない。どうすれば、山の数をうまくカウントできるのだろうか?

差分を求める

前述のような問題で山の数を数える方法を考えていたが、数学で山を見つける時には、何をするだろうか?

数学なら、山や谷の頂点を求めるのならば、微分して変化量が0となる場所を求めることで、極大値・極小値を求めるだろう。そこで、山を見つけるために入力値の変化量を求めてみよう。

表計算ソフトで差分を計算するのであれば、セルに図のような式を入力すればいいであろう。このようなデータ点で前の値との差差分と呼ぶ。数学であれば、微分に相当する。

このグラフを見ると、波形が大きく増加する部分で、差分が大きな正の値となる。さらに波形が大きく減少する部分で差分が負の大きな値となる。特にこのデータの場合、山と判断したい部分は差分が20以上の値の部分と定義することも考えられる。

#define TH_DIFF 20
int x[ 100 ] = {
   // 波形のデータが入っているとする。
} ;

int count = 0 ;
for( int i = 0 ; i < 100 ; i++ ) {
   if ( x[i] - x[i-1] >= TH_DIFF
        && x[i+1] - x[i] <= -TH_DIFF )
      count++ ;
}

しかし、このプログラムでは、山の数をうまくカウントしてくれない。うまく、山の数を数えるためには、差分の値を山と判断するための閾値(この場合は20)を調整することになるだろう。

制御工学の概要

以下に、制御工学ではどのようなことを行うのか、概要を述べる。
ここで紹介する制御理論は、古典制御理論と呼ばれる。

制御工学では、入力値と、何らかの処理を施し出力値が得られるシステムで、どのように制御するかを考える。

例えば、電気ポットの温度制御をする場合、設定温度の値を入力値とし、何らかの処理を行い、出力となるヒーターの電流を制御し、最終的には温度が測定される。ヒーターは、設定温度と温度計の値の差に応じて電流量を変化させる。このように一般的な制御では、最終的な温度が入力に戻っている。このように目標値に近づけるために、目標値との差に応じて制御することをフィードバック制御という。


制御の仕方には様々な方法があるが、 がとある時間で0からYに変化した場合を考える。入力と出力で制御された波形の例を示す。

この波形では、黒のように入力値が変化した場合、それに追いつこうと出力が変化する。(1)理想的には、速やかに追いつく赤のように変化したい。しかし、(2)慎重に制御をする人なら、変化への制動が大きい過制動(青点線)となり、目標値に追いつくまでに時間がかかる。(3)一方、すこしでもずれたら直そうとする人なら、時間的には速い反応ができるかもしれないが、目標値を追い越したり、増えすぎ分を減らしすぎたりして脈動する過制御(赤点線)となるかもしれない。

PID制御

目標値、出力、ずれ(偏差)、制御量とした時、基本的なフィードバック制御として偏差の使い方によってP動作,I動作,D動作がある。参考 Wikipedia PID制御

比例制御(P制御)

偏差に比例した制御を行う方式(を比例ゲインと呼ぶ)

今年のコロナ騒動を例にとるならば、比例制御は、今日の感染者数y(t)と目標としたい感染者数x(t)の差に応じて、対策の強さu(t)を決めるようなもの。

積分制御(I制御)

偏差のある状態が長い時間続く場合、入力値の変化を大きくすることで目標値に近づけるための制御。(は積分ゲイン)

積分制御は、目標の感染者数x(t)を感染者数y(t)が超えた累積患者数に応じて、対策を決めるようなもの。

微分制御(D制御)

急激な出力値の変化が起こった場合、その変化の大きさに応じて妨げようとする制御。(は微分ゲイン)

微分制御は、目標数と感染者数の差が、前日よりどのぐらい増えたか(患者の増減の量:変化量)に応じて、対策を決めるようなもの。

PID制御

上記のI制御やD制御だけでは、安定させることが難しいので、これらを組み合わせたPID制御を行う。

この中で、の値は、制御が最も安定するように調整を行うものであり、数値シミュレーションや、ステップ応答を与えた時の時間的変化を測定して調整を行う。

様々な移動平均

波形処理をハードウェアで行うかソフトウェアで行うか

組込み用の小型コンピュータが普及する以前は、このような波形に対する処理を行う場合には、電子回路的に波形のフィルタリングを行っていた。しかし電子回路的な方法では、回路の特性が変化してうまく処理ができなくなった場合に、回路の組み換えが発生するかもしれない。ただし回路の変更は基板の作り直しが必要であったりすることから、コストがかかる

一方、A/D変換機能を内蔵した組込み用小型コンピュータも極めて安価になってきた。

こういったコンピュータの普及で、最近ではアナログ値をコンピュータに取り込んでデジタルの数値的な処理で余計な情報を取り除く。この方法であれば、プログラムを変更するだけなので、安価に変更が可能となる。ただし、アナログ値をA/D変換するのには時間がかかることから、周波数の高い信号には不向きである。

単純移動平均

前回説明を行った単純移動平均は、時刻tの平均を、その前後のデータで平均を求めた。この方式は、実際には与えられた波形のデータを全部記録した後に、単純移動平均をとる場合に有効である。

しかし、時々刻々変化する測定値の平均をその都度使うことを考えると、上記の方法は、未来の測定値を使っていることから、現実的ではない。

// 単純移動平均(未来の値も使う)
#define NS 3
int x[ SIZE ] ; // 入力値
int y[ SIZE ] ; // 出力値
for( int t = NS ; t < SIZE-NS ; t++ ) {
   int s = 0 ;
   for( int i = -NS ; i <= +NS ; i++ ) // 2*NS+1回の繰り返し
      s += x[t+i] ;
   y[t] = s / (2*NS + 1) ;
}

過去の値だけを使った移動平均

そこで、過去の値だけで移動平均をとることも考えられる。

この、単純移動平均と、過去の値だけを使う単純移動平均を、適当な測定値に対して適用した場合のグラフの変化を Excel によってシミュレーションした結果を以下に示す。

しかし、このグラフを見ると、波形後半の部分に注目するとよく分かるが、過去の値だけを使った移動平均では、測定値が立ち上がったのを追いかけて値が増えていく。これでは移動平均は時間的な遅れとなってしまう。

// 未来の値を使わない単純移動平均
for( int t = NS ; t < SIZE ; t++ ) {
   int s = 0 ;
   for( int i = 0 ; i <= NS ; i++ ) // NS+1回の繰り返し
      s += x[t-i] ;
   y[t] = s / (NS+1) ;
}

加重移動平均

過去の値を使った移動平均では遅れが発生する。でも、平均を取る際に、「n回前の値」と「現在の値」を考えた時、「その瞬間の平均値」は「現在の値」の方が近い値のはず。であれば、平均を取る時に、「n回前の値は少なめ」「現在の値は多め」に比重をかけて加算する方法がある。

for( int t = 3 ; t < SIZE ; t++ ) {
   // 数個の移動平均だし、
   // ループを使わずに書いてみる。 
   int s = x[t]   * 3   // 現在の値は大きい重み
         + x[t-1] * 2   // 1つ前の値
         + x[t-2] * 1 ; // 2つ前の値(重みは最小)
   y[t] = s / (3+2+1) ;
}

この様に、過去に遡るにつれ、平均をとる比重を直線的に小さくしながら移動平均をとる方法は、加重移動平均と呼ばれる。以下にその変化をExcelでシミュレーションしたものを示す。

指数移動平均

ここまで説明してきた、単純移動平均や、加重移動平均は、平均をとる範囲の「過去の値」を記憶しておく必要がある。広い時間にわたる移動平均をとる場合は、それに応じてメモリも必要となる。これは、組み込み型の小型コンピュータであれば、メモリが足りず平均処理ができない場合もでてくる。

そこで、荷重移動平均の重みを、は、100%,は50%,は25%… というように、過去に遡るにつれ、半分にして平均をとる。

しかし、以降の項で、 を使うと以下のように書き換えることができる。

// 指数移動平均は、プログラムがシンプル
//  1つ前の平均y[t-1]を覚えるだけでいい。
for( int t = 1 ; t < SIZE ; t++ ) {
   y[t] = ( x[t] + y[t-1] ) / 2 ;
}

この方法であれば、直前の平均値を記録しておくだけで良い。このような移動平均を、指数移動平均と呼ぶ。

ここで示した指数移動平均は、過去を遡るにつれとなっているが、これをさらに一般化した指数移動平均は、以下の式で示される。前述の移動平均は、とみなすことができる。

#define ALPHA 0.5
for( int t = 1 ; t < SIZE ; t++ ) {
    y[t] = ALPHA * x[t] + (1.0 - ALPHA) * y[t-1] ;
}

以下のプログラムは、うまく動かない。理由を説明せよ。

#define RVA 4
for( int t = 1 ; t < SIZE ; t++ ) {
   // 以下はy[t]は全部ゼロになる。
   y[t] = 1/RVA * x[t] + (1.0 - 1/RVA) * y[t-1] ;

   // 以下は、整数型演算だけで、正しく動くだろう。
   // y[t] = ( x[t] + (RVA-1) * y[t-1] ) / RVA ;
}

理解度確認のための小レポート

上記の移動平均の理解のために、以下の資料(講義では印刷資料を配布)の表の中を、電卓などを使って計算せよ。
計算したら、その結果をグラフの中にプロットし、どういった波形となるか確認し、レポートとして提出すること。

移動平均の処理

前回の授業で説明したようなA/D変換した数値データを読み取った場合、どのようなことが発生するか考える。

例えば、以下に示すような測定値があったとする。

このデータの一部をグラフ化してみると、次のような波形であった。

この波形をみると、大きく見ればsinカーブだが、細かい点を見るとデータにブレがある。

誤差の原因

このような測定結果が得られた場合、本来コンピュータで処理したいデータは何であろうか?

原因は様々なものが考えられるが、

  1. 回路のノイズ対策が不十分で、外部の電気的な影響が混入。
    オシロスコープで周期を図ると、60Hz なら、交流電源だったり…
  2. D/A 変換を行う場合には、量子化誤差かもしれない。

例えば、最初の波形が、加速度センサーの値であったとして、船の上で揺れているために、大きな周期で加速度が変化しているかもしれない。一方で、船自体がエンジンによる揺れで加速度が変化しているかもしれない。

船の中で波の揺れと、エンジンの揺れが観測されている加速度センサーの情報で、船の揺れの大きさ・揺れの周期を知りたい場合、どうすればいいだろうか?

移動平均

このデータを見ると、10個のデータまでの間で、波形が上下に変動している。船の揺れとエンジンの揺れが原因であれば、10個ぐらいのデータのゆらぎが、エンジンによる揺れと考えられる。では、この10個ぐらいの範囲で値が上下の影響を減らしたければ、どうすればいいか?一番簡単な方法は、前後10個のデータで平均を取ればいいだろう。増減する値を加えれば、プラスの部分とマイナスの部分の値が相殺されて0に近くはず。そこでは、Excel で前後データの平均をとってみよう。

Excelで前後11点の平均を求める式をセルに入れる

青線:元波形データ(B列)、赤線:前後11点の平均(C列)

このように、データの前後の決められた範囲の平均を平均する処理は、移動平均(単純移動平均)と呼ぶ。

時間tにおけるデータをとした場合、前後5点の移動平均は、以下のような式で表せるだろう。

移動平均のプログラム

Excel で計算と同じ処理をプログラムで行うと以下のようになるだろう。

// moving-average.c
#include <stdio.h>

#define WIDTH 5
double data[ 1000 ] ; // 元データ
double ans[ 1000 ] ;  // 平均後のデータ

int main() {
   int t , i , size ;
   // 最初に全部のデータを読み込む
   for( size = 0 ; size < 1000 ; size++ ) {
      int num ;
      // コンマ区切りのデータを読む
      // 2つのデータが読み込めない時は入力を終了
      if ( scanf( "%d,%lf" , &num , &data[size] ) != 2 )
         break ;
   }
   // 移動平均を求める
   for( t = WIDTH ; t < size - WIDTH ; t++ ) {
      // t番目のデータの前後WIDTH個の合計
      double sum = 0 ;
      for( i = -WIDTH ; i <= WIDTH ; i++ )
         sum += data[ t + i ] ;
      ans[ t ] = sum / (2*WIDTH + 1) ;
   }
   // 計算後のデータをコンマ区切りで出力
   for( t = 0 ; t < size ; t++ ) {
      printf( "%d, %10.6lf, %10.6lf\n" , t , data[ t ] , ans[ t ] ) ;
   }
   return 0 ;
}

このプログラムを動かすと、データ番号とデータ値をコンマ区切りで与えること。

入力リダイレクトと出力リダイレクト

上記のプログラムでは、キーボードからデータを入力しなくてはいけない。これでは入力が大変なので、保存したファイルを使ってプログラムにデータを与える。

上記のプログラムを、パソコンの Z:¥課題¥moving-average.c に保存したとする。このプログラムを「コンパイル&実行」すれば、Z:¥課題¥moving-average.exe という実行プログラムが作られ、プログラムが起動する。このままでは、キーボードからデータを入力する必要がある。

(1) ファイルから入力した値を使って処理を行うのであれば、コマンドを起動。

タスクバー左側の検索バーに、cmd.exe と入力すれば、命令入力画面が表示される。

(2) コマンド画面で、以下のように入力し、moving-average.exe があるか確認する。

  C:¥WINDOWS¥System32> Z:   青は表示される部分、赤が入力
  Z:¥> cd Z:¥課題
  Z:¥課題¥> dir *.exe
  06/21/2019 12:30PM  12345 moving-average.exe

(3) 最初のデータの記録されたCSVファイルを Z:¥課題 に保存する。

(4) コマンド画面で、以下のようにプログラム名の後ろに “< ファイル名” をつけて起動すると、キーボード入力の代わりに、ファイルから読み込んでプログラムが動く。このような起動は、入力リダイレクトと呼ぶ。

 Z:¥課題¥> moving-average.exe < 2018-06-05-wave.csv
 xx, xxx.xxxx, xxx.xxxx ←結果が画面に表示される

(5) これでは、結果がよく分からないので、ファイルに保存し Excel でグラフ化する。コマンド画面で、以下のようにプログラム名の後ろに“> ファイル名” をつけて起動すると、結果を画面に出力する代わりに、ファイルに結果を保存してくれる。このような起動は、出力リダイレクトと呼ぶ。

 Z:¥課題¥> moving-average.exe < 2018-06-05-wave.csv > out.csv

出力された out.csv は、データがコンマ区切りなので、Excel でひらけば、結果を表として簡単に読み込める。後は、グラフ化したい範囲を、マウスでドラッグ(もしくはシフトキーを押しながらカーソル移動)し、[挿入]-[グラフ]-[散布図]-[折れ線グラフ] でグラフ化すればいい。

自宅学習の課題

表計算ソフトで、移動平均を計算させてみよう。  

  • 元波形
  • 前後5点で移動平均
  • 前後11点で移動平均
  • 前後51点で移動平均

をとるような表計算の式を書き込んで、その結果の波形がどんなグラフになるのか確認しておくこと。

D/A・A/D変換回路と誤差

小型コンピュータを使った制御では、外部回路に指定した電圧を出力(D/A変換)したり、外部の電圧を入力(A/D変換)したりすることが多い。以下にその為の回路と動作について説明する。

D/A変換回路

ラダー抵抗回路によるD/A変換の仕組みを引用

このような回路で、D0,D1,D2 は、デジタル値の0=0[V] , 1=5[V] であった場合、Output 部分の電圧は、(D0,D1,D2)の値が、(0,0,0),(0,0,1),…(1,1,1)と変化するにつれ、5/8[V]づつ増え、(1,1,1)で 5*(7/8)=4.4[V]に近づいていく。Output が出力によって電圧が変化しないように、アンプ回路を通す。

DCモータをアナログ量で制御しないこと

このように、電圧をコンピュータから制御するようになると、ロボットで模型用の直流モータの回転速度をこれで制御したい…と考えるかもしれない。
しかし、直流モータは、ブラシとコイル(電磁石)を組み合わせたものだが、モーターが回転しだす瞬間でみれば、コイルは単なる導線である。このため、小さい電流でゆっくりモータを回転させようとすると、たとえ小さい電圧でも導線(抵抗はほぼ0[Ω])には大量の電流が流れ、モータをスイッチングする回路は焼き切れるかもしれない。




PWM変調

こういう場合には、PWM変調(Pulse Width Modulation) を行う。電圧の高さは一定で、高速回転させるときは長時間電圧をONにするが、低速回転させるときはONとOFFを繰り返し信号でONの時間を短くする。

このような波形であれば、低速度でも電流が流れる時間が短く、大量の電流消費は避けられ、モーターをまわす力も安定する。

A/D変換回路

D/A変換とは逆に、アナログ量をデジタル値に変換するには、どのようにするか?

このような場合には、A/D変換回路を用いる。一般的な回路では、以下のような逐次比較型A/D変換を用いる。

この回路では、変換開始と共に入力値をサンプル保持回路でアナログ量を保存する。
その後、Registerの中のデジタル値を、D/A 変換回路でアナログ量に変換した結果を、比較器(Comparator)でどちらが大きいか判断し、その結果に応じて2分探索法とかハイアンドローの方式のように、比較を繰り返しながらデジタル値を入力値に近づけていく。

ハイアンドロー(数あてゲーム)

数あてゲームで、デタラメな0〜127までの整数を決めて、ヒントを元にその数字を当てる。回答者は、数字を伝えると、決めた数よりHighかLowのヒントをもらえる。
最も速い回答方法は…

例えば決めた数が55だとすると

・初期状態    ???????  0..127
・64 - Low   0??????  0..63
・32 - High  01????? 32..63
・48 - High  011???? 48..63
・56 - Low   0110??? 48..55
・52 - High  01101?? 52..55
・54 - High  011011? 54..55
・55 - Bingo 0110111 55確定

どんな値でも、7回(27=127)までで当てることができる。

量子化と量子化誤差

アナログデータ(連続量)デジタルデータなどの離散的な値で近似的に表すことを、量子化という。

量子化誤差とは、信号をアナログからデジタルに変換する際に生じる誤差のことをいう。

アナログ信号からデジタル信号への変換を行う際、誤差は避けられない。アナログ信号は連続的で無限の正確さを伴うが、デジタル信号の正確さは量子化の解像度やアナログ-デジタル変換回路のビット数に依存する。

偶然誤差

アナログ信号がA/D変換回路に入るまでに、アナログ部品の電気的変動(ノイズ)が原因で値が変動することもある。ノイズが時間的に不規則に発生し、値が増えてしまったり減ってしまったり偶然に発生するものは偶然誤差という。偶然誤差を加えると相殺されてほぼ0になるのであれば、統計的な手法で誤差の影響を減らすことができる

数値と誤差

コンピュータで計算すると、計算結果はすべて正しいと勘違いをしている人も多い。ここで、改めて誤差について考える。
特に、A/D変換したような値であれば、値自体に誤差が含まれている。

こういった誤差が含まれる数字を扱う場合注意が必要である。例えば、12.3 と 12.300 では意味が異なる。測定値であやふやな桁を丸めたのであれば、前者は 12.25〜12.3499 の間の値であり有効数字3桁である。後者は、12.2995〜12.300499 の間の値であり、有効数字5桁である。このため、誤差が含まれる数字の加算・減算・乗算・除算では注意が必要である。

加減乗除算の場合

加減算であれば小数点の位置を揃え、誤差が含まれる桁は有効桁に含めてはいけない。

上記の計算では、0.4567の0.0567の部分は意味がないデータとなる。(情報落ち)

乗除算であれば、有効桁の少ない値と有効桁の多い値の計算では、有効桁の少ない方の誤差が計算結果に出てくるため、通常は、有効桁5桁と2桁の計算であれば、乗除算結果は少ない2桁で書くべきである。

桁落ち

有効桁が大きい結果でも、減算が含まれる場合は注意が必要である。

例えば、以下のような計算では、有効桁7桁どうしでも、計算結果の有効桁は3桁となる。

このような現象は、桁落ちと呼ばれる。

なぜデジタル信号を使うのか

コンピュータが信号処理でなぜ使われるのか?例えば、下の信号のように、電圧の低い/高いで0/1を表現したとする。

ノイズが混入しづらい

このデータ”01011100″を通信相手に送る場合、通信の途中でノイズ(図中の赤)のような信号が加わった場合、アナログ信号では、どれがノイズなのか判別することはできない。しかしデジタル信号であれば、真ん中青線より上/下か?で判別すれば、ノイズの影響は無視して、元どおりの”01011100″を取り出せる。この0か1かを判別するための区切り(図中青線)は、しきい値と呼ばれる。

ノイズを見つける・治す

また、”01011100″のデータを送る通信の途中で、しきい値を越えるようなノイズが混ざって、受信したとする。この場合、単純に受け取るだけであれば、”01010100″で間違った値を受け取っても判別できない。しかし、データを送る際にパリティビット(偶数パリティであれば全データの1の数が偶数になるように)1ビットのデータを加える。このデータを受け取った際に、ノイズで1ビット反転した場合、1の数が奇数(3個)なので、ノイズでビット反転が発生したことがわかる。これをパリティチェックと言う。

このように、デジタル信号を使えば、しきい値を越えない程度のノイズならノイズの影響を無視できるし、たとえ大きなノイズでデータに間違いがあっても、パリティチェックのような方法を使えば間違って伝わったことを判別できる。

パリティチェックは、元のデータに1bitの信号を追加することで誤り検出ができるが、2bit同時に変化してしまうと誤りを見つけられない。そこで、元データにさらに多くのbit情報を追加すると、1bitの間違いを元に戻すようにもできる。誤り検出・訂正

電子回路で制御するかコンピュータで制御するか

これ以外にも、デジタル信号にする理由がある。

アナログ回路(電子回路)で制御しようとすると、抵抗やコイルやコンデンサといった受動素子が必要となるが、その中でもコイルは小型化がしづらい部品で、制御回路全体の小型化が難しい。大量生産ができるような回路なら小型化ができるかもしれないが、多品種少量の生産物では小型化のための開発費用の元がとれない。しかし、大量生産された安価な小型コンピュータで制御すれば、制御回路全体の小型化も可能となる。

また、電子回路の特性を調整するには、抵抗などの部品をはんだ付けをしながら部品を交換することになるかもしれない。しかしながら、アナログ信号をデジタル信号にしてしまえば、ノイズを減らすための平均化処理などは計算で実現できるし、特性を変化させるための調整もプログラムの数値を変更するだけで可能となる。

実数の取り扱いと表計算ソフトの基本

実数型(float / double)

実数型は、単精度実数(float型)と、倍精度実数(double型)があり、それぞれ32bit,64bitでデータを扱う。

単精度型(float)では、符号1bit,指数部8bit,仮数部23bitで値を覚え、数値としては、以下の値を意味する。(精度が低いので普通のコンピュータではあまり使われることはない)

符号✕ 1.仮数部 ✕ 2指数部-127

倍精度型(double)では、符号1bit,指数部11bit,仮数部52bitで値を覚え、数値としては、以下の意味を持つ。

符号✕ 1.仮数部 ✕ 2指数部-1023

これらの実数で計算を行うときには、0.00000001011×210といった値の時に、仮数部に0が並んだ状態を覚えると、計算の精度が低くなるので、1.01100000000×22のように指数部の値を調整して小数点の位置を補正しながら行われる。このため、float型であれば、23bit=10進数7桁相当、double型なら52bit=10進数16桁相当の精度がある。

倍精度型を使えば、正しく計算できるようになるかもしれないが、実数型はただの加算でも仮数部の小数点の位置を合わせたりする処理が必要で、浮動小数点専用の計算機能を持っていないような、ワンチップコンピュータでは整数型にくらべると10倍以上遅い場合もある。

実数の注意点

C言語でプログラムを作成していて、簡単な数値計算のプログラムでも動かないと悩んだことはないだろうか?解らなくて友達のプログラムを真似したら動いたけど、なぜ自分のプログラムは動かなかったのか深く考えたことはあるだろうか?

単純な合計と平均

整数を入力し、最後に合計と平均を出力するプログラムを以下に示す。
しかし、C言語でこのプログラムを動かすと、10,10,20,-1 と入力すると、合計(sum)40,件数(cnt)3で、平均は13と表示され、13.33333 とはならない。

小数点以下も正しく表示するには、どうすればいいだろうか?
ただし、変数の型宣言を “double data,sum,cnt ;” に変更しないものとする。

// 入力値の合計と平均を求める。
#include <stdio.h>

int main() {
   int data ;
   int sum = 0 ;
   int cnt = 0 ;
   for(;;) {
      printf( "数字を入力せよ。-1で終了¥n" ) ;
      scanf( "%d" , &data ) ;
      if ( data < 0 )
         break ;
      cnt = cnt + 1 ;
      sum = sum + data ;
   }
   printf( "合計 %d¥n" , sum ) ;
   printf( "平均 %d¥n" , sum / cnt ) ;
}

C言語では、int型のsum / int型のcnt の計算は、int 型で計算を行う(小数点以下は切り捨てられる)。このため、割り算だけ実数で行いたい場合は、以下のように書かないといけない。

   printf( "平均 %lf¥n" , (double)sum / (double)cnt ) ;
   // (double)式 は、sum を一時的に実数型にするための型キャスト

まずは動く例

以下のプログラムは、見れば判るけど、th を 0度〜360度まで5度刻みで変化させながら、y = sin(th) の値を表示するプログラム。

// sin の値を出力
#include <stdio.h>
#include <math.h>

int main() {
    double th , y ;
    for( th = 0.0 ; th <= 360.0 ; th += 5.0 ) {
        y = sin( th / 180.0 * 3.1415926535 ) ;
        printf( "%lf %lf¥n" , th , y ) ;
    }
    return 0 ;
}

動かないプログラム

では、以下のプログラムはどうだろうか?

// case-1 ---- プログラムが止まらない
#define PI 3.1415926535
int main() {
    double th , y ;
    // 0〜πまで100分割でsinを求める
    for( th = 0.0 ; th != PI ; th += PI / 100.0 ) {
        y = sin( th ) ;
        printf( "%lf %lf¥n" , th , y ) ;
    }
    return 0 ;
}
// case-2 ---- y の値が全てゼロ
int main() {
    int    th ;
    double y ;
    for( th = 0 ; th <= 360 ; th += 5 ) {
        y = sin( th / 180 * 3.1415926535 ) ;
        printf( "%d %lf¥n" , th , y ) ;
    }
    return 0 ;
}

どちらも、何気なく読んでいると、動かない理由が判らないと思う。そして、元のプログラムと見比べながら、case-1 では、「!=」を「<=」に書き換えたり、case-2 では、「int th ;」を「double th ;」に書き換えたら動き出す。

では何が悪かったのか…
回答編


表計算ソフトの使い方

情報制御基礎では、プログラムで計算する所を、Excel のような表計算ソフトを用いて検証してもらったりする予定なので、Excel で計算式を使う方法を説明する。

セルの場所と簡単な式

簡単な、品名・単価・個数・価格の表を考える。以下の表のように、列の名前と、品名・単価・個数まで入力した後、単価と個数をかけた価格を求めるとする。

Excel では、表のには左から、A,B,C,D… , 表のには上から1,2,3,4,5 と番号が振られていて、特定の列・特定の行のデータを表す時には、列行を組み合わせ、A1に品名、B3に¥80、C5に4 が入っている。

例えば、D2 に、ノート単価120円、ノート個数3個をかけた値を入れたい場合は、D2の場所に、

=B2*C2

を書き込めば、その場所には360が表示される。

Excelでは、入力する文字列の先頭が”=”の場合は、残り部分は計算式として扱われる。

D3には、”=B3*C3″を入力すれば、160 が表示される。しかし、この様な式を何度も入力するのは面倒である。

この場合、セル・カーソルを、D2 に合わせ、[右ボタン]-[コピー]を行い、D3 で[右ボタン]-[貼り付けオプション]-[貼り付け]を行えば、”=B3*C3″が入力される。

ここで注意しないといけないのが、式を張り付ける場合には、貼り付け先のセルの場所が一つ下の行なので、行番号を表す2の部分が1つ下の行番号3に書き換えられて、貼り付けが行われる。(相対参照)

関数式

例えば、下左図のような、数字とその平方根の表を作る場合、A2 に 1、B2に =sqrt( A2 ) を入力、A3 に =A2+1 を入力したあと、B2の式をB3にコピー&ペーストし、A3,B3 を A4~A6にペーストすればいい。

B2に入力したような、sqrt( A2 ) のようなものは、関数式と呼ばれる。

また、A3,B3 といった複数の行・列をまとめた範囲を示す時は、A3:B3 といった表記方法であらわす。

絶対参照と相対参照

最初の例に戻って、単価と個数の積で今度は税率を加えて計算する例を考える。また、税率は後で変化するかもしれないので、B1 のセルに税率を記入しておく場合を考える。

この場合、D3 には、” =B3*C3*(1+B1) ” を入力すればいい。

ただ、このように式を入力すると、D3 の計算式を、D4,D5,D6 にコピーすると、セル D4 には =B4*C4*(1+B2) が入力されてしまい、B2 には単価という文字が記載されているため、正しい結果が求まらない。

こういった場合には、絶対参照を用いる。D3 に記入する式を

=B3*C3*(1+$B$2)

とし、この D3 の式を D4 にコピー&ペーストすると、列記号、行番号の前に$がついた部分の式は、貼り付け場所に応じて変化しない。

このような、$B$2 といったセルの参照は、絶対参照と呼ぶ。これに対し、B2 といったセル参照は、貼り付け場所に応じて書き換えられるので、相対参照と呼ぶ。

絶対参照と相対参照が混ざった、$B2, B$2 といった書き方もある。
式の入力時にF4ボタンを押す度に、B2$B$2B$2$B2B2 と変化する

$B2 は、式をコピーすると列部分はBのまま行部分は場所に合わせて変化する。

B$2 は、式をコピーすると列部分は場所に合わせて変化し、行部分は2のままとなる。

レポート課題(第4回)

Excel で、xを0〜180度まで変化させたときのsin(x),位相をyとした時のsin(x+y)の値の表を作り、グラフ機能で表示せよ。この時、計算式の入力をどのように行なったのか(相対参照や絶対参照をどのように使ったのか)説明を、グラフの下に入力欄を設け記入せよ。

そして出来上がった Excel のファイルを、指定されたフォルダに提出せよ。

 

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