ハッシュ衝突対策と文字列のハッシュ関数
前回の授業で説明したハッシュ法は、データから簡単な計算(ハッシュ関数)で求まるハッシュ値をデータの記憶場所とする。しかし、異なるデータでも同じハッシュ値が求まった場合、どうすれば良いか?
ハッシュ法を簡単なイメージで説明すると、100個の椅子(ハッシュ表)が用意されていて、1クラスの学生が自分の電話番号の末尾2桁(ハッシュ関数)の場所(ハッシュ値)に座るようなもの。自分のイスに座ろうとしたら、同じハッシュ値の人が先に座っていたら、どこに座るべきだろうか?
オープンアドレス法
先の椅子取りゲームの例え話であれば、先に座っている人がいた場合、最も簡単な椅子に座る方法は、隣が空いているか確認して空いていたらそこに座ればいい。
これをプログラムにしてみると、以下のようになる。このハッシュ法は、求まったアドレスの場所にこだわらない方式でオープンアドレス法と呼ばれる。
// オープンアドレス法 // table[] は大域変数で0で初期化されているものとする。 // 配列に電話番号と名前を保存 void entry( int phone , name ) { int idx = hash_func( phone ) ; while( table[ idx ].phone != 0 ) idx = (idx + 1) % HASH_SIZE ; // ひとつ後ろの席 } // idx++ でないのは何故? table[ idx ].phone = phone ; strcpy( table[ idx ].name , name ) ; } // 電話番号から名前を調べる char* search( int phone ) { int idx = hash_func( phone ) ; while( table[ idx ].phone != 0 ) { if ( table[ idx ].phone == phone ) return table[ idx ].name ; idx = (idx + 1) % HASH_SIZE ; // ひとつ後ろの席 } // idx++ でないのは何故? return NULL ; // 見つからなかった }
注意:このプログラムは、ハッシュ表すべてにデータが埋まった場合、無限ループとなるので、実際にはもう少し改良が必要である。
この実装方法であれば、ハッシュ表にデータが少ない場合は、ハッシュ値を計算すれば終わり。よって、処理時間のオーダはO(1)となる。しかし、ハッシュ表がほぼ埋まっている状態だと、残りわずかな空き場所を探すようなもの。
チェイン法
前に述べたオープンアドレス法は、ハッシュ衝突が発生した場合、別のハッシュ値を求めそこに格納する。配列で実装した場合であれば、ハッシュ表のサイズ以上の データ件数を保存することはできない。
チェイン法は、同じハッシュ値のデータをグループ化して保存する方法。 同じハッシュ値のデータは、リスト構造とするのが一般的。ハッシュ値を求めたら、そのリスト構造の中からひとつづつ目的のデータを探す処理となる。
この処理にかかる時間は、データ件数が少なければ、O(1) となる。しかし、ハッシュ表のサイズよりかなり多いデータ件数が保存されているのであれば、ハッシュ表の先に平均「N/ハッシュ表サイズ」件のデータがリスト構造で並んでいることになるので、O(N) となってしまう。
#define SIZE 100 int hash_func( int ph ) { return ph % SIZE ; } struct PhoneNameList { int phone ; char name[ 20 ] ; struct PhoneNameList* next ; } ; struct PhoneNameList* hash[ SIZE ] ; // NULLで初期化 struct PhoneNameList* cons( int ph , char* nm , struct PhoneNameList* nx ) { struct PhoneNameList* ans ; ans = (struct PhoneNameList*)malloc( sizeof( struct PhoneNameList ) ) ; if ( ans != NULL ) { ans->phone = ph ; strcpy( ans->name , nm ) ; ans->next = nx ; } return ans ; } void entry( int phone , char* name ) { int idx = hash_func( phone ) ; hash[ idx ] = cons( phone , name , hash[ idx ] ) ; } char* search( int phone ) { int idx = hash_func( phone ) ; struct PhoneNameList* p ; for( p = hash[ idx ] ; p != NULL ; p = p->next ) { if ( p->phone == phone ) return p->name ; } return NULL ; }
文字列のハッシュ値
ここまでで説明した事例は、電話番号をキーとするものであり、余りを求めるだけといったような簡単な計算で、ハッシュ値が求められた。しかし、一般的には文字列といったような名前から、ハッシュ値が欲しいことが普通だろう。
ハッシュ値は、簡単な計算で、見た目デタラメな値が求まればいい。 (ただしく言えば、ハッシュ値の出現確率が極力一様であること)。一見規則性が解らない値として、文字であれば文字コードが考えられる。複数の文字で、これらの文字コードを加えるなどの計算をすれば、 偏りの少ない値を取り出すことができる。
int hash_func( char s[] ) { int sum = 0 ; for( int i = 0 ; s[i] != '¥0' ; i++ ) { sum = sum + s[i] ; } return sum % SIZE ; }
文字列順で異なる値となるように
前述のハッシュ関数は、”ABC”さんと”CBA”さんでは、同じハッシュ値が求まってしまう。文字列順で異なる値が求まるように改良してみる。
int hash_func( char s[] ) { int sum = 0 ; for( int i = 0 ; s[i] != '¥0' ; i++ ) { sum = sum*2 + s[i] ; // sum = (sum * 小さい素数 + s[i]) % 大きい素数 ; } return sum % SIZE ; }
上記のプログラムの、sum = sum*2 + s[i] では、2倍していった数を最後に SIZE で割っているだけなので、文字が長い場合文字コードの値の違いが sum の中に残らない場合も考えられる。こういった場合には、以下のような方法も考えられる。大きな素数で割ることで、余りの中に、元の数の値の違いの影響が残る。これは、疑似乱数生成での剰余法(or 線形合同法)の考え方を取り入れた方法ともいえる。
#define PRIME_B 大きな素数 #define PRIME_A 小さな素数 int hash_func( char s[] ) { int sum = 0 ; for( int i = 0 ; s[i] != '¥0' ; i++ ) { sum = (sum * PRIME_A + s[i]) % PRIME_B ; } return sum % SIZE ; }
ポート番号とメールが届くまで
ポート番号
サーバとなるコンピュータでは、1台のコンピュータで様々なサービスを提供することから、サービスを区別する必要がある。このためにポート番号が使われる。1台毎のコンピュータに割り当てられたIPアドレスを電話番号に例えるなら、ポート番号は内線電話番号に例えることができる。
サーバと通信する場合、サービスを提供するプログラムに応じて標準的なポート番号が決められている。サーバに届いたパケットは、ポート番号に応じてサービスプログラムを起動する。以下の表によく使われるポート番号の一例をあげる。
ポート番号 | プロトコル | 概要 |
20 | ftp | ファイル転送(データ) |
21 | ftp | ファイル転送(命令) |
22 | ssh | リモート接続(暗号対策あり) |
23 | telnet | リモート接続(暗号化なし) |
25 | smtp | 電子メール送信 |
465 | smtps | 電子メール送信(暗号化) |
53 | DNS | ドメインネームサービス |
80 | http | Web |
443 | https | Web(暗号化) |
110 | pop3 | メールダウンロード |
995 | pop3s | メールダウンロード(暗号化) |
143 | imap | メール閲覧 |
993 | imaps | メール閲覧(暗号化) |
137,138,139 | netbios | Windows のファイル共有 |
通信パケットには、送信元IPアドレス、送信元ポート番号、送信先IPアドレス、送信先ポート番号の情報がある。
パソコンがサーバと通信する場合は、(1)自分のIPアドレスを送信元IPアドレス、(2)その時に使われていないポート番号をランダムに選び、送信元ポート番号とする。(3)通信相手のIPアドレスと、(4)通信先のサービスのポート番号をセットして、パケットを送付する。サーバは、サービスを要求してきたクライアントの送信先ポート番号をみて、対応するサーバのプログラムを起動する。プログラムの結果を送り返す時は、送信元と送信先のIPアドレス、ポート番号を入替えてパケットを送信する。
1024未満のポート番号(ウェルノウンポート番号)は、サービスを受けとるために用途が決められているので、通常の通信プログラムでは使われない。これ以外のポート番号は、通信の送信元のポート番号として使われ、エフェメラルポート番号と呼ばれる。
ファイアウォール
ネットワークのサービスの中には、組織外に見せたくないものも多い。また、インターネットでは、悪意のあるプログラマが通信して攻撃を加えてくるかもしれない。こういった場合には、ルータなどで、パケットの送信相手のポート番号や、送信元のIPアドレスをみて、パケットを廃棄する場合がある。こういう、ネットワークからの攻撃を防ぐ装置は、ファイアウォール(防火壁)と呼ばれる。
メールが届くまで
電子メールは、非常に迅速にメッセージを相手に届けることができ、そのメッセージを蓄積・加工・編集・転送できる。また、音声や画像といった情報も、複雑な文字情報に置き換えることで、転送できるようになっている。
メールは、利用者のコンピュータに直接届けられるわけではなく、多くの場合はメールを蓄積するメールサーバに送られる。利用者がメールを読む場合、メールサーバから自分の端末に蓄積されたメッセージを読み込み、メッセージを確認する。このメールのやり取りにおいて、メールを送る時、あるいはメールサーバ間でメールを中継するときには、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol) が用いられる。一方、メールサーバからメール
を読み出すときには、POP(Post Office Protocol) やIMAP(Internet Message Access Protocol) と呼ばれるプロトコルが用いられる。最近では、IMAPを使ったメールの読み書きをブラウザの中で実行できる WebMail が使われることが増えている。
メールが届くまでの流れは、aさんが”foo@bar.jp”に送る場合、
- aさんは、自分の組織のメールサーバに、SMTPでメールを送る。
- メールサーバは、メールアドレスのコンピュータ名部分”bar.jp”をDNSに問合せ、そのIPアドレスを調べ、そのコンピュータにSMTPでメールを送る。
- “bar.jp”のメールサーバは、メールアドレスのユーザ名部分を取り出し、各ユーザ毎にメールを保存する。
- “foo”さんは、自分宛のメールを確認するために、POPまたはIMAPで自分のメールサーバ”bar.jp”に接続し、ユーザ名,パスワードで認証して自分宛のメールを受け取る。
上記の手順2で、相手のメールサーバに直接送れない場合は、コンピュータ名のMXレコードをDNSに問合せを行い、そこで得られたメールサーバに中継を依頼する。
$ nslookup -query=MX fukui-nct.ac.jp. Non-authoritative answer: fukui-nct.ac.jp mail exchanger = 10 fukuinct-ac-jp01c.mail.protection.outlook.com.
POPは、一般的に、メールサーバから自分のメールをダウンロードして削除してしまうため、メールはダウンロードしたコンピュータにしか残らない。このため、様々なコンピュータでメールを読む人には不便となってきた。IMAPでは、メールを読んでも、サーバに残しておく方式であり、別のコンピュータを使う時にもサーバに残っているメールを読むことができる。
通常、SMTPでメールを送る際には、ユーザ認証が行われない。このため、ウィルスに感染したプログラムから迷惑メールを出すことに利用されることが多い。そこで、SMTP送信の前にPOP/IMAP接続しユーザ認証を行った時だけメールを送れる、POP before SMTP(or IMAP before SMTP)といった方式をとる場合もある。
理解度確認
- メールの送信から受信までの処理を、それに使われるプロトコルを交えて説明せよ。
ドメイン名とDNS
ドメイン名とDNS
インターネットでの通信では、IPプロトコルでコンピュータを指定するが、IPアドレスは無機質で覚えるのが大変であり、コンピュータに名前をつけて利用する。この際に、コンピュータの所属などが分かるようにしたものをドメイン名と呼ぶ。
例えば、電子情報工学科のドメイン名 www.ei.fukui-nct.ac.jp は、ピリオド部分で区切られ、以下のような意味を持つ。
- .jp – 国ドメイン(.uk イギリス,.ch 中国,アメリカは無し)
- .ac – 種別ドメイン(.co.jp,.com:会社,.ne.jp,net:ネットワーク系)
- fukui-nct – 組織ドメイン
- .ei. – サブドメイン(組織内が細分化されている場合)
- www. – ホスト名
このような省略されていない、対象となるコンピュータを指定するためのドメイン名は、FQDN(Fully Qualified Domain Name)と呼ばれる。
ただしアメリカでは、国ドメインを一般的に使わない。また最近では、世界的な企業では国ドメインが意味をなさないので、アメリカ以外でも .com や .net といった、トップレベルドメインが使われる。様々なサービスを展開している企業では、組織種別が意味をなさないため、toyota.jp といったものも増えてきた。
以下に、主要な組織ドメイン・国ドメインをあげる。
|
|
DNSのしくみ
DNSは、Domain Name Service であり、コンピュータ名(ドメイン名)から、IPアドレスを調べるサービスで、ポート番号53,UDPを使っている。
インターネットに接続する際には、最も身近なDNSの情報が与えられ、ユーザがコンピュータ名を問い合わせると、身近なDNSがコンピュータのIPアドレスを返してくれる。この際に、検索結果はキャッシュとして一定期間保存される。身近なDNSがそのコンピュータ名を知らない場合は、上位のDNSに問い合わせを行い、DNSルートサーバもコンピュータ名をキャッシュしていない場合は、管理元の組織のDNSに問い合わせが行われる。

DNSと様々な情報
DNS では、様々な情報が取得できる。IPアドレス以外にも、メールを送ってもらうサーバのIPアドレス(MXレコード)なども取得できる。
DNSとセキュリティ
DNSは、コンピュータ名とIPアドレスを対応付けるものであり、これには正引き(コンピュータ名からIPアドレスを求める)と、逆引き(IPアドレスからコンピュータ名を求める)がある。セキュリティ対策が厳しい場所では、
- 正引きを使うことで、特定の組織のドメイン名を持つコンピュータからのアクセスを許可/禁止する。
- 正引きで、コンピュータ名が登録されている所からのみ許可する。
- IPアドレスから逆引きして求めたコンピュータ名をさらに正引きして同じIPアドレスが求まるかを確認
といった対策を行う。
- DNSのドメイン名は、当初は最初に申請した人に割り当てられる。このため、nintendo.com といったドメイン名を、関係ない人が取得するといったトラブルがあった。(サイバースクワッティング)
- DNSを用いたクラッキングでは、ウィルスに感染させたパソコンに偽物のIPアドレスを教えることで、偽装した別コンピュータに誘導し個人情報を盗む手口がある。(DNSポイズニング)
- 他にもウィルスに感染させた大量のパソコンから、同時にルートサーバに大量のDNSの問合せを送ることで、処理能力を低下させると、インターネット全体でDNS参照ができなくなる攻撃もある。(DNSルートサーバへの分散DoSアタック)
データベースの物理設計
最初にテストを返却した後、データベース物理設計の話を行う。来週はレポート課題作成日とすることから、課題を以下に示す。
データベース後半課題
データベース後半の課題は「卒業研究の対象をデータベースとして設計」とする。
情報系の卒研テーマであれば、処理対象のデータの中にはデータベースで管理するのがふさわしい対象について設計せよ。実験系の卒研テーマであれば、実験結果の表をデータベースで管理するとした場合の設計を行うこと。どちらでもない卒研で、卒研のテーマの中にデータベース化すべき対象が無い場合は、身の回りの帳票(例えばコンビニのレシートなど)をデータベース化することを検討すること。
レポートで記載する内容は、以下の通りとする。
- 卒業研究におけるデータベース化する対象の説明
- データベースをトップダウン設計する際の
- 実体と関連を抽出するまでの説明
- 正規化を行う経過の説明
- 上記を踏まえたトップダウン設計でのER図
- データベースをボトムアップ設計する際の
- 対象とする帳票に相当するデータの一例と説明
- レベル分けや正規化を行う経過の説明
- 上記を踏まえたボトムアップ設計でのER図
- 考察
- トップダウン設計とボトムアップ設計に違いがあれば、設計の見直しの過程の説明
- 両設計方法から分かったこと
データベースの物理設計
データベースの物理的設計は、データベースの格納法法や管理方法を決定する。この際には、ディスク容量の見積もりやメモリ量の見積もりが重要となる。
ディスク容量の見積もり
データベースでは、B木(以降で解説予定)などが用いられることが1つのB木のノード(データブロック)の構造をおおまかに示す。各データブロックには、そのブロックを管理するためのページ制御の情報と、実データへのポインタとなるスロット情報と、実データからなる。
実データは、すべてのデータが固定長であれば、そのデータ長とブロック毎のデータ数にページ制御の容量を加えれば良い。しかし、データ長は可変であることが多い。この場合は、データの更新でデータ長が長くなると、その後ろのデータをずらす処理が頻発すると、データ管理の効率が悪い。
そこで、実データの間には、データ長が増えた時の空き領域を設けておく。この比率がPCTFREEと呼ばれ、この領域が埋まった時にのみデータをずらす処理を行う。
また、データベースへのデータの削除を行う場合、データが1つ消える度にデータブロックの構成を変化させると効率が悪く、通常はデータ削除の目印をつけるだけとすることが多い。データ削除で空きがふえた時だけ、データブロックの構成を変えたり、データ追加の際にデータを追加する。この比率は、PCTUSEDと呼ばれる。
このため、ハードディスク容量の見積もりでは、PCTFREE,PCTUSEDを考慮する必要がある。
一般的には、容量を減らす観点であれば、PCTFREEはなるべく小さく、PCTUSEDはなるべく大きい方が望ましいが、データの更新で追加・削除・修正が頻発するのであれば、PCTFREEはある程度大きく、PCTUSEDはある程度小さい方がよい。このため、PCTFREE+PCTUSED < 100 となるようにチューニングすることが多い。
また、実際のデータとは別に、データを高速に検索するためのインデックスファイルが作られるので、この容量も別途考慮が必要となる。
補足:残り予定:トランザクション処理, 内部構造, テスト前レポート課題
ハッシュ法(導入)
前半は中間試験の返却と解説を行う。後半は次のテーマのハッシュ法の導入話。
ここまでの授業では、配列(データ検索は、登録順保存ならO(N)、2分探索ならO(log N)となる、2分探索ができるのは配列がランダムアクセスができるからこそ)、単純リスト(データ検索(シーケンシャルアクセスしかできないのでO(N)となる)、2分探索木( O(log N) ) といった手法を説明してきた。しかし、もっと高速なデータ検索はできないのであろうか?
究極のシンプルなやり方(メモリの無駄)
最も簡単なアルゴリズムは、電話番号から名前を求めるようなデータベースであれば、電話番号自身を配列添え字番号とする方法がある。しかしながら、この方法は大量のメモリを必要とする。
// メモリ無駄遣いな超高速方法 struct PhoneName { int phone ; char name[ 20 ] ; } ; // 電話番号は6桁とする。 struct PhoneName table[ 1000000 ] ; // 携帯電話番号ならどーなる!?!? // 配列に電話番号と名前を保存 void entry( int phone , char* name ) { table[ phone ].phone = phone ; strcpy( table[ phone ].name , name ) ; } // 電話番号から名前を調べる char* search( int phone ) { return table[ phone ].name ; }
しかし、50人程度のデータであれば、電話番号の末尾2桁を取り出した場合、同じ数値の人がいることは少ないであろう。であれば、電話番号の末尾2桁の値を配列の添え字番号として、データを保存すれば、配列サイズは100件となり、メモリの無駄を減らすことができる。
ハッシュ法
先に述べたように、データの一部を取り出して、それを配列の添え字番号として保存することで、高速にデータを読み書きできるようにするアルゴリズムはハッシュ法と呼ばれる。データを格納する表をハッシュ表、データの一部を取り出した添え字番号はハッシュ値、ハッシュ値を得るための関数がハッシュ関数と呼ばれる。
// ハッシュ衝突を考えないハッシュ法 #define HASH_SIZE 100 ; struct PhoneName table[ HASH_SIZE ] ; // ハッシュ関数 int hash_func( int phone ) { return phone % HASH_SIZE ; } // 配列に電話番号と名前を保存 void entry( int phone , name ) { int idx = hash_func( phone ) ; table[ idx ].phone = phone ; strcpy( table[ idx ].name , name ) ; } // 電話番号から名前を調べる char* search( int phone ) { int idx = hash_func( phone ) ; return table[ idx ].name ; }
ただし、上記のプログラムでは、電話番号の末尾2桁が偶然他の人と同じになることを考慮していない。
例えば、データ件数が100件あれば、同じ値の人も出てくるであろう。このように、異なるデータなのに同じハッシュ値が求まることを、ハッシュ衝突と呼ぶ。
たとえ話で言うなら、100個の椅子が連番付きで並んでいて、自分の電話番号末尾2桁の場所に座ろうとしたら、先に座っている人がいるような状態である。このような状態で、あなたなら何処に座るだろうか?
ハッシュ関数に求められる特性
ハッシュ関数は、できる限り同じような値が求まるものは、ハッシュ衝突が多発するので、避けなければならない。例えば、6桁の電話番号の先頭2桁であれば、電話番号の局番であり、同じ学校の人でデータを覚えたら、同じ地域の人でハッシュ衝突が発生してしまう。また、ハッシュ値を計算するのに、配列の空き場所を一つ一つ探すような方式では、データ件数に比例した時間がかかり、高速なアルゴリズムでなくなってしまう。このことから、ハッシュ関数には以下のような特徴が必要となる。
- 同じハッシュ値が発生しづらい(一見してデタラメのように見える値)
- 簡単な計算で求まること。
- 同じデータに対し常に、同じハッシュ値が求まること。
理解度確認・小テスト
11/23は前回未消化ネタの説明とテスト対策
11/23の授業は、前回の「トランスポート層・TCPとUDP」の未消化分の説明と、過去の試験問題の自主勉強時間。
データべースの設計と正規形
データベースの設計において、重要な正規形についての説明
正規形
データベースにおいて、様々な不整合を防ぐために正しい設計が必要であることを 改めて説明し、それには正規形としての条件を満たしている必要があることを説明する。
第一正規形は、すべての要素が原子値である条件を満たせばいい。 要素の中が複数の項目であったり表形式のデータがあると、 表構造のリレーショナルデータベースにはできない。
- 中央省庁のデータ表記を統一:河野太郎行政・規制改革担当相のTweet
データベースと直接関係しないけど、データは原子値じゃないと困るというお話。
キーの説明:超キー(スーパーキー)とは、データベースで1つのデータを 選び出すために必要なデータ項目であり、複数の項目で1データを指定 できる場合もある。
候補キーとは、必要最小限の項目となっているものを指す。 1項目が抜けても選別できなくなるようであれば、候補キーとは言わない。 主キーとは、候補キーのなかで管理の都合上便利なもの。
データ項目の値が決まると、他のデータ項目が自動的に決まるものは、 従属関係があるという。
![]() |
![]() |
第1正規化 | 第2正規化 |
第二正規形は、部分従属がなく、すべての非キーデータ項目が、候補キーに 完全従属する場合をいう。
- 完全従属とは、候補キーを構成する全てのデータ項目に、非キーデータ項目が従属していること。
- 部分従属とは、候補キーを構成するデータ項目の一部のデータ項目に、非キー項目が従属していること。
この例において、単価は商品が決まれば自動的に求まる情報。 (単価が日々変化することはないという条件で…) これは、部分従属となる。他に部分従属となっている属性は何か?
- 推移従属性とは、データ項目でA→B→Cと、次々と値が求められる関係を指す。
第三正規形とは、 候補キー以外の非キーデータ項目は、候補キーに完全従属し、 かつどの候補キーにも推移従属しない関係をいう。
![]() |
第3正規化 |
上記の例では、単価と個数が決まれば、金額が求まる推移従属の関係が含まれている。
おまけ:BC正規形,第4,5正規形
この他にも、 さらに非キーからキーに関数従属性がある場合にそれを取り除く、 ボイスコッド正規形(BC正規化)。 「対称性のある多値従属性(キーを決めると複数データが該当)」を分解して得られる第4正規形や、 「元になるテーブルの結合従属性を維持して分解することにより得られる第5正規形などがある。
トップダウン設計・ボトムアップ設計
データベースの設計にあたって、実際の設計手順の説明を行う。
トップダウン設計では、対象業務を記述し、その中から名詞となっている実体を抽出する。 さらに動詞や形容詞のように記載されている関連を抽出する。 抽出した実体・関連では、あいまいであったり冗長であったりするので、整理したうえで、 その実体・関連をER図に表す。
ボトムアップ設計では、対象業務で実際に使われている入力帳票や結果の出力などを 見ながら、第1正規形を満たすように表を作っていく作業からおこなう。
トップダウン設計やボトムアップ設計で、 ER図や第一正規形を満たすような表が出来上がったら、 その属性の中で従属性を確認しながら、第2正規形・第3正規形へと整理していく。
2分木による構文木とデータベースとB木
2項演算と構文木
演算子を含む式が与えられたとして、古いコンパイラではそれを逆ポーランド変換して計算命令を生成していた。しかし最近の複雑な言語では、計算式や命令を処理する場合、その式(または文)の構造を表す2分木(構文木)を生成する。。
+ / \ 1 * / \ 2 3
演算子の木のノードで、末端は数値であることに注目し、右枝・左枝がNULLなら数値(data部にはその数値)、それ以外は演算子(data部には演算子の文字コード)として扱うとして、上記の構文木のデータを作る処理と、その構文木の値を計算するプログラムを示す。
struct Tree { int data ; struct Tree* left ; struct Tree* right ; } ; struct Tree* tree_int( int x ) // 数値のノード { struct Tree* n ; n = (struct Tree*)malloc( sizeof( struct Tree ) ) ; if ( n != NULL ) { n->data = x ; n->left = n->right = NULL ; } return n ; } struct Tree* tree_op( int op , // 演算子のノード struct Tree* l , struct Tree* r ) { struct Tree* n ; n = (struct Tree*)malloc( sizeof( struct Tree ) ) ; if ( n != NULL ) { // ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(D) n->data = op ; n->left = l ; n->right = r ; } return n ; } // 与えられた演算子の木を計算する関数 int eval( struct Tree* p ) { if ( p->left == NULL && p->right == NULL ) { // 数値のノードは値を返す return p->data ; } else { // 演算子のノードは、左辺値,右辺値を求め // その計算結果を返す switch( p->data ) { case '+' : return eval( p->left ) + eval( p->right ) ; case '*' : return eval( p->left ) * eval( p->right ) ; } // ~~~~~~~~~~~~~~~(E) ~~~~~~~~(F) } } void main() { struct Tree* exp = // 1+(2*3) の構文木を生成 tree_op( '+' , tree_int( 1 ) , tree_op( '*' , tree_int( 2 ) , tree_int( 3 ) ) ) ; printf( "%d¥n" , eval( exp ) ) ; }
理解度確認
- 上記プログラム中の(A)~(F)の型を答えよ。
2分探索木の考え方を拡張したものでB木があり、データベースシステムではB木を基本としたデータ構造が活用されている。
B木の構造
2分木では、データの増減で木の組換えの発生頻度が高い。そこで、1つのノード内に複数のデータを一定数覚える方法をとる。B木では、位数=Nに対し、最大2N個のデータ d0, … , d2N-1 と、2N+1本のポインタ p0, … , p2N から構成される。pi の先には、di-1< x < di を満たすデータが入った B木のノードを配置する。ただし、データの充填率を下げないようにするため、データは最小でもN個、最大で2N個を保存する。下図は位数2のB木の例を示す。
B木からデータの検索
データを探す場合は、ノード内のデータ di の中から探し、見つからない場合は、ポインタの先のデータを探す。位数がある程度大きい場合、ノード内の検索は2分探索法が使用できる。また、1つのノード内の検索が終われば、探索するデータ件数は、1/N〜1/2Nとなることから、指数的に対象件数が減っていく。よって、検索時間のオーダは、O( log N ) となる。
B木へのデータの追加
B木にデータを追加する場合は、ノード内に空きがあれば、単純にデータの追加を行う。ノード内のデータが2N個を越える場合は、以下のような処理を行う。
ノード内のデータと追加データを並べ、その中央値を選ぶ。この中央値より大きいデータは、新たにつくられたノードに移す。中央値のデータは上のノードに追加処理を行う。このような方法を取ることで、2分木のような木の偏りが作られにくい構造となるようにする。
データを削除する場合も同様に、データ件数がN個を下回る場合は、隣接するノードからデータを取ってくることで、N個を下回らないようにする。
B木とデータベース
このB木の構造は、一般的にデータベースのデータを保存するために広く利用されている。
データベースシステムでは、データを効率よく保存するだけでなく、データの一貫性が保たれるように作られている。
例えば、データベースのシステムが途中でクラッシュした場合でも、データ更新履歴の情報を元にデータを元に戻し、データを再投入して復旧できなければならない。データを複数の所からアクセスした場合に、その順序から変な値にならないように、排他制御も行ってくれる。
データベースで最も使われているシステムは、データすべてを表形式で扱うリレーショナル・データベースである。
((リレーショナル・データベースの例)) STUDENT[] RESULT[] ID | name | grade | course ID | subject | point -----+----------+-------+-------- -----+---------+------- 1001 | t-saitoh | 5 | EI 1001 | math | 83 1002 | sakamoto | 4 | E 1001 | english | 65 1003 | aoyama | 4 | EI 1002 | english | 90 外部キー ((SQLの例 2つの表の串刺し)) -- 60点以上の学生名,科目名,点数を出力 -- select STUDENT.name, RESULT.subject, RESULT.point --射影-- from STUDENT , RESULT --結合-- where STUDENT.ID == RESULT.ID -- 串刺し -- --選択-- and RESULT.point >= 60 ; ((上記SQLをC言語で書いた場合)) for( st = 0 ; st < 3 ; st++ ) // 結合(from) for( re = 0 ; re < 3 ; re++ ) if ( student[ st ].ID == result[ re ].ID // 選択(where) && result[ re ].point >= 60 ) printf( "%s %s %d" , // 射影(select) student[ st ].name , result[ re ].subject , result[ re ].point ) ;が
- 学生と成績(Paiza.ioでSQL)
- sql-mapping.cxx
B+木
データベースの処理では、目的のデータを O(log N) で見つける以外にも、全データに対する処理も重要である。この場合、全てのデータに対する処理では、単純なB木では再帰呼び出しが必要となる。しかし、他の表でも再帰処理を伴うと、プログラムは複雑になってしまう。
そこで、B木のデータを横方向に並べて処理を行う場合に、その処理が簡単になるように B+木が用いられる。
この方法では、末端のノードは、隣接するノードへのポインタを持つ。下図で示すB+木では、青で示す検索用のB木の部分と、赤で示す順次処理を行うためのシーケンスセットの部分から構成される。
トランスポート層・TCPとUDP
サブネット同士をつなぐプロトコルとして IPプロトコル を紹介したが、MACアドレスとIPアドレスの対応付けを行う ARP の説明や、パケットのルーティングを司る RIP の説明が不十分だったので、前回資料を補足説明を行う。
- DHCP(IPアドレスの貸し出し)
- ARP(IPとMACアドレスの対応付け)
- RIP(ルータの経路情報のやりとり)
- IPv4とプライベートアドレス
- NAT と P2P通信
- IPv6アドレス.
データ通信ではノイズなどの影響で通信に失敗することがある。これらを補うためのTCPがある。
TCP
TCP(Transmission Control Protocol/トランスミッションコントロールプロトコル)では、分割されたパケットを元の順序に組み上げたり、パケットが途中で消えた場合の再送などの処理を行う。この機能により確実に相手に送る機能が実現されている。
3way ハンドシェーク
TCPの通信では、最初に相互に通信が可能かを確認するハンドシェークが行われる。パケットには、SYN,ACK,FINといった種別を表すフラグがついており、SYNは接続確立の要求を表す。ACKは了解を表す。FINは切断要求を表す。通信開始の時には、(1)通信OK?、(2)OKだよ,そっちもOK?、(3)OKだよ! といった3つの通信パケットで確認してから通信を行う。この最初のやり取りを3way ハンドシェークという。
- SYN flood攻撃 – 3wayハンドシェークは、今後のパケット並び替えの準備も含めるとコストが高い。通信ルールを無視して相手にSYNパケットだけを大量に送ると相手は他の通信が困難になる場合がある。
SEQ番号,ACK番号
また、通信パケットには、SEQ番号とACK番号という情報がついており、3wayハンドシェーク時には、相手のSEQ番号に1を加えたACK番号をつけてパケットを返送する。これにより、どの通信に対する返事か判るようにしている。さらに、実際のデータを送信する際には、受け取ったデータ長をSEQ番号に加えた値を、ACK番号にして受信に成功したことを相手に伝える。これにより、小分けにされたパケットで次に何を送れば良いのか判別できる。
通信で、パケット分割して送って、その一つ毎の返答を待つと、通信の待ち時間が増えてしまう。このため、相手が受け取り可能であれば、一度に前回の2倍のパケットを返信を待たずに送る。(ウィンドウサイズの拡大)
チェックサムとタイムアウト
通信では、送る途中でデータにノイズが混入したり、パケットが消失することがある。このため、パケットにはパケットのチェックサム(バイトデータを加算した値)を付けて送り、受信時に比較してノイズ混入を確認する。こういった際には、パケットが正しく届かない。パケットが消失したりして、通信相手からの返送が届かないで一定の待ち時間が経過することをタイムアウトと呼ぶ。この時、返信パケットにはデータのSEQ番号とACK番号の情報があるため、受け取りに失敗したパケットが判別できるので、送り側は失敗したパケットを再送する。
受け取り側は、同じくSEQ番号やACK番号を元にパケットの順番を正しく並べ戻すことができる。
TCP FINパケット
通信を切断する場合には、相互に切断して良いか確認する4回の通信で終了する。
UDP
TCPによる通信は、相手側からの受け取った返事を待ちながら通信を行う。このため、通信にかかる時間を要する。また、複数の利用者に一斉にデータをばらまくブロードキャスト通信では、個別のパケット欠落を修復しようとすると、処理が複雑になる。
これらの対応策として、UDP(User Datagram Protocol)がある。これは、TCP通信でのパケット分割や再送処理を行わない極めて単純な送信方法である。このため、相手側に正しくデータが送られる保証はない。確実に相手に送る必要があれば、確認や再送は上位プロトコルの責任となる。
UDP通信は、動画・音声配信などのリアルタイム性のある通信で、正しく通信ができず一時的に動画が止まるなり音声が止まっても、問題が少ないような場合に有効となる。
ICMP/ping
IPプロトコルのプロトコルの1つとして ICMP (Internet Control Message Protocol) がある。このプロトコルは、ネットワーク機器(ノード)の間で、通信の確認をするためのもので、ping コマンドや traceroute コマンドで使われる。
基本的に、パケットを相手コンピュータに送り、返事が返ってくる。ping や traceroute は、その送って返事が返ってくるまでの時間や、パケットを複数送っていくつ返ってきた…などの情報を表示することができ、相手コンピュータまでの通信路が正常かどうかが判断できる。
$ ping www.google.co.jp PING www.google.co.jp (172.217.25.163) 56(84) バイトのデータ 64 バイト応答 送信元 syd09s13-in-f3.1e100.net (172.217.25.163): icmp_seq=1 ttl=115 時間=7.85ミリ秒 64 バイト応答 送信元 syd09s13-in-f3.1e100.net (172.217.25.163): icmp_seq=2 ttl=115 時間=8.02ミリ秒 ^C # 途中で強制終了させるために Ctrl-C で止める ]$ traceroute www.google.co.jp traceroute to www.google.co.jp (172.217.25.163), 30 hops max, 60 byte packets 1 airstation.ei.fukui-nct.ac.jp (192.168.2.1) 0.355 ms 0.529 ms 0.549 ms (略) 9 108.170.243.33 (108.170.243.33) 8.245 ms 108.170.243.65 (108.170.243.65) 6.893 ms 6.936 ms 10 72.14.239.25 (72.14.239.25) 6.899 ms 7.125 ms 72.14.238.23 (72.14.238.23) 7.140 ms 11 syd09s13-in-f163.1e100.net (172.217.25.163) 7.014 ms 7.007 ms 6.961 ms
トランスポート層
OSI参照モデルでは、TCPプロトコルとUDPプロトコルをあわせてトランスポート層と呼び、TCP+UDPとIPプロトコルでの通信が、今日のインターネット通信の基本プロトコルとなっており、総称して TCP/IPとかインターネット・プロトコル・スイート と呼ぶ。
ERモデル
データベースの設計
リレーショナル・データベースでは、データは表形式であればなんでも良い訳ではない。
例えば、学生の成績データが以下のような構造であった場合、
|
- 修正不整合: 授業担当が saitoh → takaku のように変更になったら、複数のテーブルを修正しなければならない。大量のレコード修正は、時間がかかるし、その途中にシステムダウンしたらデータの整合性に問題が発生するかも。
- 挿入不整合: 新しい科目 internet を追加したいけど、受講学生が決まらないとデータを挿入できない。
- 削除不整合: yamada が受講を取りやめたら、科目 media も消えてしまう。
これらを考慮すると、以下のような3つの表で設計するべきである。
学生(実体)
|
受講(関係)
30203を消してもmedia |
科目(実体)
saitoh→takakuに変更したら internetを追加しても問題なし。 |
データベースの設計では、(1)概念設計、(2)論理設計、(3)物理設計が行われる。
- 概念設計:概念スキーマの決定(実体・関係モデルを使う)。上記の受講データベースの設計例
- 論理設計:論理スキーマの決定。関係データベースで実装?ほかのデータベース?
- 物理設計:物理スキーマの決定。データの格納方法や管理方法を決める。
実体関連モデル(ERモデル)
データベース設計では、実体関連モデル(ERモデル:Entity-Relation model)が使われる。 実体とは、モデル化しようとする対象で独立した存在となれるもの。 実体が持つ色々な特性は属性と呼ばれる。 属性の取りうる値の集合を定義域、同一種類の実体の集まりを実体集合と呼ぶ。 関連とは、実体同士の相互関係をモデル化したもの。
実体関連図(ER図)では、実体を長方形、関連をひし形、属性を楕円で表現する。 属性で、キーとなるものには下線をつけて表す。
ER図で調べると、実際にはもっと細かい規定で表現が行われている。 参考:IDEF1X表記とIE表記