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2023年11月
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AVL木と2分ヒープ

2分探索木へのデータ追加と不均一な木の成長

先週の講義で説明していた、entry() では、データを追加すべき末端を探し、追加する処理であった。

しかし、前回のプログラムで、以下のような順序でデータを与えたら、どのような木が出来上がるであろうか?

  • 86, 53, 11 – 降順のデータ
  • 12, 24, 42 – 昇順のデータ

この順序でデータが与えられると、以下のような木が出来上がってしまう。このような木では、データを探しても1回の比較でもデータ件数が1つ減るだけで、O(N)となってしまう。通常のデタラメな順序でデータが与えられれば、木はほぼ左右均等に成長するはずである。

AVL木

このような、不均一な木が出来上がっても、ポインタの繋ぎ変えで検索回数を改善できる。例えば、以下のような木では、赤の左側に偏っている。

このような場合でも、最初、青の状態であっても、不均一な部分で赤のようなポインタの繋ぎ変えを行えば、木の段数を均一に近づけることができる。この例では、11,65,92の木が、右回転して 11 の木の位置が上がっている。(右回転)

この様に、左右の枝の大きさが不均一な場所を見つけ、右回転や左回転を行う処理を繰り返すことで、段数が均一な2分探索木に修正ができる。この様な処理でバランスの良い木に修正された木は、AVL木と呼ばれる。

理解確認

  • 木の根からの段数を求める関数 tree_depth() を作成せよ。
    例えば、上のAVL木の説明の図であれば、4段なので4を返すこと。
// 木の段数を数える関数
_____ tree_depth( _______________ p ) {
   if ( p == NULL ) {
      return _____ ;
   } else {
      int d_L = ______________ ;
      int d_R = ______________ ;
      if ( d_L > d_R )
         return _____ ;
      else
         return _____ :
   }
}

// pをつなぎ替え上部を返り値で返す。
struct Tree*rot_right( struct Tree* p ) {
   struct Tree* pl = p->left ;
   struct Tree* pr = pl->right ;
   pl->right = p ;
   p->left = = pr ;
   return pl ;
}
int main() {
   printf( "%d¥n" , tree_depth( top ) ) ;
   top = rot_right( top ) ;
   return 0 ;
}

2分ヒープ(binary heap)

2分探索木では、1つのノードにつき2つのポインタを持ち、データ1件あたりのメモリの使用量が多い。通常の「配列の先頭から昇順にデータを並べる2分探索法」では、途中にデータを挿入する場合、データを後ろにずらす必要があるため、O(N)の処理時間を要する。

これらの問題の解決法の1つとして、2分ヒープがある。左右に均一に成長している2分探索木で、上から番号を以下の様に振ると、i番目のデータの左の枝2×i+1 番目、右の枝2×i+2 番目であることが判る。

このような順序で配列にデータを保存する方法が2分ヒープである。この方式ならアルゴリズムの説明は省略するが、O(log(N))で挿入が可能となる。

int a[ 7 ] = { 53 , 11 , 86 , 10 , 22 , 65 , 92 } ;

// 2分ヒープを表示
void print_heap( int array[] , int idx , int size ) {
   if ( idx < size ) {
      // 左の枝を表示
      print_heap( array , 2*idx + 1 , size ) ;
      // 真ん中の枝を表示
      printf( "%d " , array[ idx ] ) ;
      // 右の枝を表示
      print_heap( array , 2*idx + 2 , size ) ;
   }
}

// 2分ヒープから key を検索
int find_heap( int array[] , int idx , int size , int key ) {
   while( idx < size ) {
      if ( array[ idx ] == key )
         return idx ; // 見つかったら配列の番号を返す
      else if ( array[ idx ] _____ key )  // 何が入るか考えよう
         idx = ________________ ;
      else
         idx = ________________ ;
   }
   return -1 ; // 見つからなかったら、-1 を返す
}
int main() {
   print_heap( a , 0 , 7 ) ;
   if ( find_heap( a , 0 , 7 , 65 ) >= 0 )
      printf( "Find!!¥n" ) ;
   return 0 ;
} 

レポート課題

以下のようなデータを扱う2分探索木のプログラムを作成せよ。以下の箇条書き番号の中から、(出席番号 % 3+1)のデータについてプログラムを作ること。

  1. 名前(name)と電話番号(phone)
  2. 名前(name)と誕生日(year,mon,day)
  3. 名前(name)とメールアドレス(mail)

プログラムは以下の機能を持つこと。

  • 1行1件でデータを入力し、2分木に追加できること。
  • 全データを昇順(or降順)で表示できること。
  • 検索条件を入力し、目的のデータを探せること。

レポートでは、(a)プログラムリスト,(b)その説明,(c)動作検証結果,(d)考察 を記載すること。