情報処理演習室のルータを交換
EI棟3F演習室で、Aruba の WiFi 環境のための Buffalo ルータを使っていたけど、警告メッセージが出始めたので、確認したらルータの管理画面さえ表示できなくなってきた。古いルータだったので寿命と思われる。
かといって、このルータは、4EI教室,5EI教室,2F実験室,3F演習室,4F創成LABを束ねる Aruba WiFi の上流にあたるため、実験室がことごとく使えなくなる。そこで、手持ちのマニアックな Edgerouter-X に入れ替える。
C言語での入出力処理のおさらい
テストのプログラム作成の問題で、入力処理の書き方が適切でないものが多いので、基本とテクニックの解説。
scanf()の使い方
// scanf( "フォーマット" , 引数... ) ; // データの型とフォーマット // int %d (10進数として入力) - Digit // %o (8進数として入力) - Octal digit // %x (16進数として入力) - heXa-decimal digit // - short int %hd - half-size digit // - long int %ld - long-size digit // // float %f // double %lf - long-size float // // char[] %s // char %c // 基本 scanf() はポインタ渡し。文字列(char配列)は配列の先頭アドレスを渡す int x ; scanf( "%d" , &x ) ; // ポインタを渡し、xの場所に書き込んでもらう。 char str[ 10 ] ; scanf( "%s" , str ) ; // strは配列の先頭の場所。 & は不要。
通常のscanfの%d,%sなどは、データ区切りは空白や改行となる。
%s で “tohru saitoh”といった空白の入った文字列を入力するには、一工夫が必要。
printf()の使い方
// printf( "フォーマット" , 引数... ) ; // データの型とフォーマット // 基本は、scanf() と同じ。 // float 型の出力 // %f 固定小数点表示 1.23 のような出力 // %e 指数表示 1.23e+10 のような出力 // %g 固定小数点%fと指数表示%eのどちらか // 桁数指定 // %5d - 必ず5桁で出力 " 123" // %05d - 5桁の空白部は0で埋める "00123" // %5.2f - 全体5桁、小数点以下2桁 " 1.23" // %5s - 文字列を5桁で出力 " abc" // 左寄せ // %-5s - 文字列を左寄せ5桁で出力"abc "
scanf(),printf()は成功した項目数を返す
scanf(),printf() は、返り値を使わないように思うけど、実際は入力に成功した項目件数、出力に成功した項目件数を返す。
int x ; char str[ 10 ] ; int ans ; ans = scanf( "%d%s" , &x , str ) ; printf( "%d¥n" , ans ) ; // 入力に成功すれば2。 ans = printf( "%d%s¥n" , x , str ) ; printf( "%d¥n" , ans ) ; // 出力に成功すれば2。
特に、ファイルからの入力であれば、途中でデータがなくなって、これ以上データが入力できない時には、scanfの返り値を用いる。
char name[ 100 ] ; int age ; while( scanf( "%s%d" , name , &age ) == 2 ) { printf( "%s %d¥n" , name , age ) ; }
Microsoft の scanf_s() は安全な入力関数
C言語の標準関数 scanf() の %s では、バッファオーバーフローを検出できない。Microsoft の Visual Studio の C言語では、こういった危険な scanf(“%s”) は危険なので、scanf_s() を使うようになっている。ただし、他のC言語では使えない場合が多いので要注意。
char name[ 10 ] ; scanf( "%s" , name ) ; // バッファオーバーフロー scanf_s( "%s" , name , sizeof( name ) ) ; // バッファオーバーフローの心配がない
fget()とsscanf()を使った安全な入力
C言語では、1行のデータを読む場合には、gets() 関数がある。しかし、配列サイズを指定できないので、バッファオーバーフローの危険がある。一方、ファイルからの入力関数 fgets() は、入力するデータサイズを指定できるため、fgets を使うべき。
char buff[ 1000 ] ; gets( buff ) ; // バッファオーバーフローの危険性 fgets( buff , sizeof( buff ) , stdin ) ; // 入力に失敗すると NULLを返す
一方、入力した文字列のデータから、scanf() のようにデータを抽出する、sscanf() という関数がある。
char string[] = "123 tohru 1.23" ; int x ; char str[ 10 ] ; double y ; sscanf( string , "%d%s%lf" , &x , str , &y ) ; // x = 123 , str = "tohru" , y = 1.23 // scanfと同様に成功した項目数3が返る。
これらを踏まえ、1行に名前と年齢のデータが記録されていて、データが入力できるだけ繰り返す処理を fgets + sscanf で書くと以下のようになる。
char buff[ 1000 ] ; char name[ 1000 ] ; int age ; while( fgets( buff , sizeof( buff ) , stdin ) != NULL ) { if ( sscanf( buff , "%s%d" , name , &age ) == 2 ) { // buffには必ず1000文字以下なので、nameが1000文字を超えることはない printf( "%s %d¥n" , name , age ) ; } }
なお、このプログラムを動かす場合、これ以上データがない場合には、Windowsであれば “Ctrl-Z” を入力。unixやmacOSであれば”Ctrl-D”を入力すること。
その他の気づいた点
文末の「;」を忘れないで
JavaScript では、単純式の末尾の「;」は、忘れてもそれなりに正しく動く。しかし、C言語では「;」を忘れると、文法エラーになるので要注意。
1: struct A { 2: : 3: } ; ←この行のセミコロンを忘れると、5行目で文法エラーの表示となる。 4: 5: for( ... ) { ←この行を見ても文法エラーの原因はわからない。3行目が原因。 6: : 7: }
局所変数やヒープメモリにはゴミデータが入っている
void foo() { int sum ; ←初期化忘れ int array[ 3 ] = { 11 , 22 , 33 } ; for( int i = 0 ; i < 3 ; i++ ) { sum += array[ i ] ; } }
局所変数やヒープメモリは、関数に入って確保やmallocで確保されるメモリ領域だけど、このメモリ領域には以前の処理で使われていたデータが残っている場合がある。こういった初期化されていないメモリ領域は、悪意を持ったプログラムがデータを盗むために使われる場合もある。必要に応じてちゃんと初期化が必要。
また、大域変数(グローバル変数)は、C言語では 0 で初期化される。(ポインタなら NULL が入っている。)
多重継承の問題
派生や継承について、一通りの説明が終わったので、最後に特殊な継承の問題を説明し、2回目のレポート課題を示す。
動物・鳥類・哺乳類クラス
派生や継承を使うと、親子関係のあるデータ構造をうまく表現できることを、ここまでの授業で示してきた。
しかしながら、以下に述べるような例では、問題が発生する。
// 動物クラス class Animal { private: char name[ 10 ] ; public: Animal( const char s[] ) { strcpy( name , s ) ; } const char* get_name() const { return name ; } virtual void move() = 0 ; virtual void birth() = 0 ; } ; // 鳥類クラス class Bird : public Animal { public: Bird( const char s[] ) : Animal( s ) {} virtual void move() { printf( "%s fry.\n" , get_name() ) ; } virtual void birth() { printf( "%s lay egg.\n" , get_name() ) ; } } ; // 哺乳類クラス class Mammal : public Animal { public: Mammal( const char s[] ) : Animal( s ) {} virtual void move() { printf( "%s walk.\n" , get_name() ) ; } virtual void birth() { printf( "%s lay baby.\n" , get_name() ) ; } } ; int main() { Bird chiken( "piyo" ) ; chiken.move() ; chiken.birth() ; Mammal cat( "tama" ) ; cat.move() ; cat.birth() ; return 0 ; }
ここで、カモノハシを作るのであれば、どうすれば良いだろうか?
鳥類・哺乳類とは別にカモノハシを作る
class SeaBream : public Animal { public: Mammal( const char s[] ) : Animal( s ) {} virtual void move() { printf( "%s walk.\n" , get_name() ) ; } virtual void birth() { printf( "%s lay egg.\n" , get_name() ) ; } } ;
この例では、簡単な処理だが、move() の中身が複雑であれば、改めて move() を宣言するのではなく、継承するだけの書き方ができないだろうか?
多重継承
C++ には、複数のクラスから、派生する多重継承という機能がある。であれば、鳥類と哺乳類から進化したのだから、以下のように書きたい。
class SeaBream : public Bird , Mammal { } ;
しかし、カモノハシに move() を呼び出すと、鳥類の move() と哺乳類の move() のどちらを動かすか曖昧になる。また、派生クラスは親クラスのデータ領域と、派生クラスのデータ領域を持つため、鳥類の name[] と、哺乳類の name[] を二つ持つことになる。
足と羽のクラスを作る場合
class Animal { private: char name[ 10 ] ; public: Animal( const char s[] ) { strcpy( name , s ) ; } const char* get_name() const { return name ; } virtual void move() = 0 ; } ; // 羽 class Wing { public: const char* move_method() { return "fly" ; } } ; // class Leg { public: const char* move_method() { return "walk" ; } } ; class Bird : public Animal , Wind { public: Bird( const char s[] ) : Animal( s ) {} virtual void move() { printf( "%s %s.\n" , get_name() , move_method() ) ; } } ; class Mammal : public Animal , Leg { public: Mammal( const char s[] ) : Animal( s ) {} virtual void move() { printf( "%s %s.\n" , get_name() , move_method() ) ; } } ;
C++では、以下のような方法で、ダイヤモンド型の継承問題を解決できる。
class Animal { private: char name[ 10 ] ; public: Animal( const char s[] ) { strcpy( name , s ) ; } const char* get_name() const { return name ; } virtual void move() = 0 ; virtual void birth() = 0 ; } ; // 鳥類クラス class Bird : public virtual Animal { public: Bird( const char s[] ) : Animal( s ) {} virtual void move() { printf( "%s fry.\n" , get_name() ) ; } virtual void birth() { printf( "%s lay egg.\n" , get_name() ) ; } } ; // 哺乳類クラス class Mammal : public virtual Animal { public: Mammal( const char s[] ) : Animal( s ) {} virtual void move() { printf( "%s walk.\n" , get_name() ) ; } virtual void birth() { printf( "%s lay baby.\n" , get_name() ) ; } } ; class SeaBream : public virtual Bird , virtual Mammal { public: SeaBream( const char s[] ) : Animal( s ) {} void move() { Mammal::move() ; } void birth() { Bird::birth() ; } } ;
ただし、多重継承は親クラスの情報と、メソッドを継承する。この場合、通常だと name[] を二つ持つことになるので、問題が発生する。そこで、親クラスの継承に virtual を指定することで、ダイヤモンド型継承の 2つの属性をうまく処理してくれるようになる。
しかし、多重継承は処理の曖昧さや効率の悪さもあることから、採用されていないオブジェクト指向言語も多い。特に Java は、多重継承を使えない。その代わりに interface という機能が使えるようになっている。
様々な2次元配列
#include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <string.h> int main() { int i3x4[ 3 ][ 4 ] = { { 11 , 12 , 13 , 14 } , { 21 , 22 , 23 , 24 } , { 31 , 32 , 33 , 34 } , } ; int i12[ 12 ] = { 11 , 12 , 13 , 14 , 21 , 22 , 23 , 24 , 31 , 32 , 33 , 34 , } ; int *pi[ 3 ] ; pi[ 0 ] = (int*)malloc( sizeof( int ) * 4 ) ; memcpy( pi[ 0 ] , i3x4[ 0 ] , sizeof( int ) * 4 ) ; pi[ 1 ] = (int*)malloc( sizeof( int ) * 4 ) ; memcpy( pi[ 1 ] , i3x4[ 1 ] , sizeof( int ) * 4 ) ; pi[ 2 ] = (int*)malloc( sizeof( int ) * 4 ) ; memcpy( pi[ 2 ] , i3x4[ 2 ] , sizeof( int ) * 4 ) ; for( int y = 0 ; y < 3 ; y++ ) { for( int x = 0 ; x < 4 ; x++ ) printf( "%d " , i3x4[ y ][ x ] ) ; printf( "\n" ) ; } for( int y = 0 ; y < 3 ; y++ ) { for( int x = 0 ; x < 4 ; x++ ) printf( "%d " , i12[ y*4 + x ] ) ; printf( "\n" ) ; } for( int y = 0 ; y < 3 ; y++ ) { for( int x = 0 ; x < 4 ; x++ ) printf( "%d " , pi[ y ][ x ] ) ; printf( "\n" ) ; } return 0 ; }
様々なデータの覚え方のレポート課題
前回の malloc() + free() の資料で、補足で説明したC++のnew, delete を含め、様々なデータ構造の覚え方の例やメモリイメージを説明し、前期中間のレポート課題を示す。
malloc+freeの振り返り
// 文字列(可変長)の保存 char str[] = "ABCDE" ; char* pc ; pc = (char*)malloc( strlen( str ) + 1 ) ; if ( pc != NULL ) { // ↑正確に書くと sizeof( char ) * (strlen(str)+1) strcpy( pc , str ) ; //////////////////// // pcを使った処理 //////////////////// free( pc ) ; } // // 可変長の配列の保存 int data[] = { 11 , 22 , 33 } ; int* pi ; pi = (int*)malloc( sizeof( int ) * 3 ) ; if ( pi != NULL ) { for( int i = 0 ; i < 3 ; i++ ) pi[ i ] = data[ i ] ; //////////////////// // piを使った処理 //////////////////// free( pi ) ; } // // 1件の構造体の保存 struct Person { char name[ 10 ] ; int age ; } ; struct Person* pPsn ; pPsn = (struct Person*)malloc( sizeof( struct Person ) ) ; if ( pPsn != NULL ) { strcpy( pPsn->name , "t-saitoh" ) ; pPsn->age = 55 ; //////////////////// // pPsnを使った処理 //////////////////// free( pPsn ) ; }
(おまけ)C++の場合
malloc+freeでのプログラミングは、mallocの結果を型キャストしたりするので、間違ったコーディングの可能性がある。このため、C++ では、new 演算子, delete 演算子というものが導入されている。
// 同じ処理をC++で書いたら // 文字列の保存 char str[] = "ABCDE" ; char* pc = new char[ strlen( str ) + 1 ] ; strcpy( pc , str ) ; // pcを使った処理 delete[] pc ; // new型[]を使ったらdelete[] // int配列の保存 int data[] = { 11 , 22 , 33 } ; int* pi ; pi = new int[ 3 ] ; for( int i = 0 ; i < 3 ; i++ ) pi[ i ] = data[ i ] ; // piを使った処理 delete[] pi ; // 構造体の保存 struct Person { char name[ 10 ] ; int age ; } ; Person* pPsn ; pPsn = new Person ; strcpy( pPsn->name , "t-saitoh" ) ; pPsn->age = 55 ; // pPsnを使った処理 delete pPsn ; // new型ならdelete注意すべき点は、malloc+freeとの違いは、mallocがメモリ確保に失敗した時の処理の書き方。返り値のNULLをチェックする方法は、呼び出し側ですべてでNULLの場合を想定した書き方が必要になり、処理が煩雑となる。C++の new 演算子は、メモリ確保に失敗すると、例外 bad_alloc を投げてくるので、try-catch 文で処理を書く。(上記例はtry-catchは省略)
安全な1行1件のデータ入力
C言語では、scanf などの関数は、バッファオーバーフローなどの危険性があるため、以下のような処理を使うことが多い。fgets は、指定されたファイルから1行分のデータを読み込む。sscanf は、文字列のなかから、scanf() と同じようなフォーマット指定でデータを読み込む。
fgets は、これ以上の入力データが無い場合には、NULL を返す。
(Windowsであれば、キー入力でCtrl+Z を入力、macOSやLinuxであれば、Ctrl+Dを入力)
sscanf() は、読み込めたデータ件数を返す。
int main() { char buff[ 1024 ] ; for( int i = 0 ; i < 3 ; i++ ) { if ( fgets( buff , sizeof( buff ) , stdin ) != NULL ) { char name[ 1024 ] ; int age ; if ( sscanf( buff , "%s%d" , name , &age ) == 2 ) { // 名前と年齢の2つのデータが正しく読み込めたとき ... } } } return 0 ; }
様々なデータの覚え方
配列サイズ固定・名前が固定長
例えば、このデータ構造であれば、table1[] の場合、長い名前にある程度対応できるように nameの配列を100byteにしたりすると、データ件数が少ない場合には、メモリの無駄も多い。
そこで、実際に入力された存在するデータだけをポインタで覚える方法 table2[] という保存方法も考えられる。
// 固定長データのプログラム #define SIZE 50 // 名前(固定長)と年齢の構造体 struct NameAge { char name[ 32 ] ; int age ; } ; struct NameAge table1[ SIZE ] ; int size1 = 0 ; void entry1( char s[] , int a ) { strcpy( table1[ size1 ].name , s ) ; table1[ size1 ].age = a ; size1++ ; } // ポインタで覚える場合 struct NameAge* table2[ SIZE ] ; int size2 = 0 ; void entry2( char s[] , int a ) { table2[size2] = (struct NameAge*)malloc( sizeof( struct NameAge ) ) ; if ( table2[size2] != NULL ) { // なぜ != NULL のチェックを行うのか、説明せよ strcpy( table2[size2]->name , s ) ; table2[size2]->age = a ; size2++ ; } } // データ出力 void print_NA( struct NameAge* p ) { printf( "%s %d¥n" , p->name , p->age ) ; } int main() { // table1に保存 entry1( "t-saitoh" , 55 ) ; entry1( "tomoko" , 44 ) ; print_NA( &table1[0] ) ; print_NA( &table1[1] ) ; // table2に保存 entry2( "t-saitoh" , 55 ) ; entry2( "tomoko" , 44 ) ; print_NA( _________________ ) ; // table2の中身を表示せよ print_NA( _________________ ) ; return 0 ; }
配列サイズ固定・名前が可変長
しかしながら、前回の授業で説明したように、際限なく長い名前があるのであれば、以下の様に名前は、ポインタで保存し、データを保存する時に strdup(…) を使って保存する方法もあるだろう。
// 名前が可変長のプログラム // 名前(固定長)と年齢の構造体 struct NamePAge { char* name ; // ポインタで保存 int age ; } ; struct NamePAge table3[ SIZE ] ; int size3 = 0 ; void entry3( char s[] , int a ) { table3[ size3 ].name = strdup( s ) ; // ★★★★ table3[ size3 ].age = a ; size3++ ; } // ポインタで覚える場合 struct NamePAge* table4[ SIZE ] ; int size4 = 0 ; void entry4( char s[] , int a ) { table4[size4] = (struct NamePAge*)malloc( ____________________ ) ; if ( table4[size4] != NULL ) { // ↑適切に穴埋めせよ table4[size4]->name = strdup( s ) ; // ★★★★ _________________________________ ; // ←適切に穴埋めせよ size4++ ; } } // データ出力 void print_NPA( struct NameAge* p ) { printf( "%s %d¥n" , ____________ , ____________ ) ; } // ↑適切に穴埋めせよ int main() { // table3に保存 entry3( "t-saitoh" , 55 ) ; entry3( "jyugemu jyugemu ..." , 44 ) ; print_NPA( _________________ ) ; // table3[] の中身を表示せよ。 print_NPA( _________________ ) ; // table4に保存 entry4( "t-saitoh" , 55 ) ; entry4( "jyugemu jyugemu ..." , 44 ) ; print_NPA( table4[0] ) ; print_NPA( table4[1] ) ; return 0 ; }
データ件数が可変長ならば
前述のプログラムでは、データ件数全体は、SIZE という固定サイズを想定していた。しかしながら、データ件数自体も数十件かもしれないし、数万件かもしれないのなら、配列のサイズを可変長にする必要がある。
struct NamePAge* table5 ; int size5 = 0 ; void entry5( char s[] , int a ) { strcpy( table5[ size5 ].name , s ) ; table5[ size5 ].age = a ; size5++ ; } int main() { // table5に保存 table5 = (struct NameAge*)malloc( sizeof( struct NameAge ) * 2 ) ; if ( table5 != NULL ) { entry5( "t-saitoh" , 55 ) ; entry5( "tomoko" , 44 ) ; } return 0 ; }
メモリの管理に十分気を付ける必要があるが、名前の長さも配列全体のサイズも可変長であれば、以下のようなイメージ図のデータを作る必要があるだろう。(JavaScriptやJavaといった言語ではデータのほとんどがこういったポインタで管理されている)
レポート課題
授業での malloc , free を使ったプログラミングを踏まえ、以下のレポートを作成せよ。
以下のデータのどれか1つについて、データを入力し、何らかの処理を行うこと。
課題は、原則として、(自分の出席番号%3)+1 についてチャレンジすること。
- 名前と電話番号
- 名前と生年月日
- 名前と身長・体重
このプログラムを作成するにあたり、以下のことを考慮しmallocを適切に使うこと。
名前は、長い名前の人が混ざっているかもしれない。
保存するデータ件数は、10件かもしれない1000件かもしれない。(データ件数は、処理の最初に入力すること。)
ただし、mallocの理解に自信がない場合は、名前もしくはデータ件数のどちらか一方は固定値でも良い。
レポートには、(a)プログラムリスト, (b)プログラムの説明, (c)正しく動いたことがわかる実行例, (d)考察 を記載すること。
考察には、自分のプログラムが正しく動かない事例はどういう状況でなぜ動かないのか…などを検討したり、プログラムで良くなった点はどういう所かを説明すること。
実数の取り扱い
実数型(float / double)
実数型は、単精度実数(float型)と、倍精度実数(double型)があり、それぞれ32bit,64bitでデータを扱う。
指数表現は、大きい値や小さい値を表現する場合に使われ、物理などで1.2345×10-4といった、仮数×基数指数で表現する方法。数学や物理では基数に10を用いるが、コンピュータの世界では基数を2とすることが多い。
単精度型(float)では、符号1bit,指数部8bit,仮数部23bitで値を覚え、数値としては、以下の値を意味する。(精度が低いので普通のコンピュータではあまり使われることはない)
符号✕ 1.仮数部 ✕ 2(指数数部-127)
符号部は、正の値なら0, 負の値なら1 を用いる。
仮数部が23bitなので、有効桁(正しい桁の幅)は約7桁となる。
例えば、float型で扱える最大数は、以下のようになる。
0,1111,1111,111,1111,1111,1111,1111,1111 = 1.1111…×2128 ≒ 2129 ≒ 1038
倍精度型(double)では、符号1bit,指数部11bit,仮数部52bitで値を覚え、数値としては、以下の意味を持つ。
符号✕ 1.仮数部 ✕ 2(指数部-1023)
これらの実数で計算を行うときには、0.00000001011×210といった値の時に、仮数部に0が並んだ状態を覚えると、計算の精度が低くなるので、1.01100000000×22のように指数部の値を調整して小数点の位置を補正しながら行われる。
double型の場合、52bit=10進数16桁相当の有効桁、最大数で、1.1111…×21024≒10308
倍精度型を使えば、正しく計算できるようになるかもしれないが、実数型はただの加算でも仮数部の小数点の位置を合わせたりする処理が必要で、浮動小数点専用の計算機能を持っていないような、ワンチップコンピュータでは整数型にくらべると10倍以上遅い場合もある。
実数の注意点
C言語でプログラムを作成していて、簡単な数値計算のプログラムでも動かないと悩んだことはないだろうか?解らなくて友達のプログラムを真似したら動いたけど、なぜ自分のプログラムは動かなかったのか深く考えたことはあるだろうか?
単純な合計と平均
整数を入力し、最後に合計と平均を出力するプログラムを以下に示す。
しかし、C言語でこのプログラムを動かすと、10,10,20,-1 と入力すると、合計(sum)40,件数(cnt)3で、平均は13と表示され、13.33333 とはならない。
小数点以下も正しく表示するには、どうすればいいだろうか?
ただし、変数の型宣言を “double data,sum,cnt ;” に変更しないものとする。
// 入力値の合計と平均を求める。 #include <stdio.h> int main() { int data ; int sum = 0 ; int cnt = 0 ; for(;;) { printf( "数字を入力せよ。-1で終了¥n" ) ; scanf( "%d" , &data ) ; if ( data < 0 ) break ; cnt = cnt + 1 ; sum = sum + data ; } printf( "合計 %d¥n" , sum ) ; printf( "平均 %d¥n" , sum / cnt ) ; }
C言語では、int型のsum / int型のcnt の計算は、int 型で計算を行う(小数点以下は切り捨てられる)。このため、割り算だけ実数で行いたい場合は、以下のように書かないといけない。
printf( "平均 %lf¥n" , (double)sum / (double)cnt ) ;
// (double)式 は、sum を一時的に実数型にするための型キャスト
まずは動く例
以下のプログラムは、見れば判るけど、th を 0度〜360度まで5度刻みで変化させながら、y = sin(th) の値を表示するプログラム。
// sin の値を出力 #include <stdio.h> #include <math.h> int main() { double th , y ; for( th = 0.0 ; th <= 360.0 ; th += 5.0 ) { y = sin( th / 180.0 * 3.1415926535 ) ; printf( "%lf %lf¥n" , th , y ) ; } return 0 ; }
動かないプログラム
では、以下のプログラムはどうだろうか?
// case-1 ---- プログラムが止まらない #define PI 3.1415926535 int main() { double th , y ; // 0〜πまで100分割でsinを求める for( th = 0.0 ; th != PI ; th += PI / 100.0 ) { y = sin( th ) ; printf( "%lf %lf¥n" , th , y ) ; } return 0 ; }
// case-2 ---- y の値が全てゼロ int main() { int th ; double y ; for( th = 0 ; th <= 360 ; th += 5 ) { y = sin( th / 180 * 3.1415926535 ) ; printf( "%d %lf¥n" , th , y ) ; } return 0 ; }
どちらも、何気なく読んでいると、動かない理由が判らないと思う。そして、元のプログラムと見比べながら、case-1 では、「!=」を「<=」に書き換えたり、case-2 では、「int th ;」を「double th ;」に書き換えたら動き出す。
では何が悪かったのか…
回答編
数値と誤差
コンピュータで計算すると、計算結果はすべて正しいと勘違いをしている人も多い。ここで、改めて誤差について考える。特に、計器で測定した値であれば、測定値自体に誤差が含まれている。
こういった誤差が含まれる数字を扱う場合注意が必要である。例えば、12.3 と 12.300 では意味が異なる。測定値であやふやな桁を丸めたのであれば、前者は 12.2500〜12.3499 の間の値であり有効数字3桁である。後者は、12.2995〜12.300499 の間の値であり、有効数字5桁である。このため、誤差が含まれる数字の加算・減算・乗算・除算では注意が必要である。
加減乗除算の場合
加減算であれば小数点の位置を揃え、誤差が含まれる桁は有効桁に含めてはいけない。
上記の計算では、0.4567の0.0567の部分は意味がないデータとなる。(情報落ち)
乗除算であれば、有効桁の少ない値と有効桁の多い値の計算では、有効桁の少ない方の誤差が計算結果に出てくるため、通常は、有効桁5桁と2桁の計算であれば、乗除算結果は少ない2桁で書くべきである。
桁落ち
有効桁が大きい結果でも、減算が含まれる場合は注意が必要である。
例えば、以下のような計算では、有効桁7桁どうしでも、計算結果の有効桁は3桁となる。
このような現象は、桁落ちと呼ばれる。
演習問題(4回目)
こちらのフォルダに示す、Excel の表で、有効桁を考えてもらうための演習問題(ランダムに値が作られます)を有効数字を考えながら計算し、答えをレポートにまとめてください。例を以下に示す。
抽象クラスの演習(part2)
前回の講義に引き続き、抽象クラスの演習
malloc()とfree()
前回の授業で説明した、alloca() は、スタック領域にデーターを覚えるので、allocaを実行した関数の終了ともに配列領域が消えてしまう。しかし、関数が終わってもそのデータを使いたいといった場合には、malloc()+free()を使う必要がある。
malloc()とfree()
malloc() は、動的(ヒープ領域)にメモリを確保する命令で、データを保存したい時に malloc() を実行し、不要になった時に free() を実行する。
malloc() では、alloca() と同じように、格納したいデータの byte 数を指定する。また、malloc() は、確保したメモリ領域の先頭を返すが、ヒープメモリが残っていない場合 NULL ポインタを返す。処理が終わってデータ領域をもう使わなくなったら、free() で解放する必要がある。
基本的には、確保したメモリ領域を使い終わった後 free() を実行しないと、再利用できないメモリ領域が残ってしまう。こういう処理を繰り返すと、次第にメモリを食いつぶし、仮想メモリ機能によりハードディスクの読み書きで性能が低下したり、最終的にOSが正しく動けなくなる可能性もある。こういった free() 忘れはメモリーリークと呼ばれ、malloc(),free()に慣れない初心者プログラマーによく見られる。
ただし、ヒープメモリ全体は、プロセスの起動と共に確保され(不足すればOSから追加でメモリを分けてもらうこともできる)、プログラムの終了と同時にOSに返却される。このため、malloc()と処理のあとすぐにプロセスが終了するようなプログラムであれば、free() を忘れても問題はない。授業では、メモリーリークによる重大な問題を理解してもらうため、原則 free() は明記する。
文字列を保存する場合
#include <stdlib.h> char* names[ 10 ] ; char buff[ 1000 ] ; // 名前を10件読み込む void inputs() { for( int i = 0 ; i < 10 ; i++ ) { if ( fgets( buff , sizeof( buff ) , stdin ) != NULL ) { names[ i ] = (char*)malloc( strlen(buff)+1 ) ; if ( names[ i ] != NULL ) strcpy( names[ i ] , buff ) ; } } } // 名前を出力する void prints() { for( int i = 0 ; i < 10 ; i++ ) printf( "%s" , names[ i ] ) ; } void main() { // 文字列の入力&出力 inputs() ; prints() ; // 使い終わったら、free() で解放 for( int i = 0 ; i < 10 ; i++ ) free( names[ i ] ) ; }
文字列を保存する場合には、上記の names[i] への代入のような malloc() と strcpy() を組み合わせて使うことが多い。しかし、この一連の処理の関数として、strdup() がある。基本的には、以下のような機能である。
char* strdup( char* s ) { char* p ; if ( (p = (char*)malloc( strlen(s)+1 )) != NULL ) strcpy( p , s ) ; return p ; }また、入力した文字列をポインタで保存する場合、以下のようなプログラムを書いてしまいがちであるが、図に示すような状態になることから、別領域にコピーする必要がある。
char buff[ 1000 ] ; char* name[10] ; for( int i = 0 ; i < 10 ; i++ ) { if ( fgets( buff , sizeof(buff) , stdin ) != NULL ) name = buff ; // ここは、name = strdup( buff ) ; と書くべき。 }
配列に保存する場合
基本的な型の任意サイズの配列を作りたい場合には、malloc() で一括してデータの領域を作成し、その先頭アドレスを用いて配列として扱う。
#include <stdlib.h> void main() { int size ; int* array ; // 処理するデータ件数を入力 scanf( "%d" , &size ) ; // 整数配列を作る if ( (array = (int*)malloc( sizeof(int) * size )) != NULL ) { int i ; for( i = 0 ; i < size ; i++ ) array[i] = i*i ; // あんまり意味がないけど for( i = 0 ; i < size ; i++ ) printf( "%d¥n" , array[i] ) ; // mallocしたら必ずfree free( array ) ; } }
構造体の配列
同じように、任意サイズの構造体(ここではstruct Complex)の配列を作りたいのであれば、mallocの引数のサイズに「sizeof( struct Complex ) * データ件数」を指定すればいい。
後半の array2[] では、ポインタの配列を使った例を示す。この例では、1つの構造体毎に1つのmallocでメモリを確保している。
#include <stdlib.h> struct Complex { double re , im ; } ; // 指定した場所にComplexを読み込む。 int input_Complex( struct Complex* p ) { return scanf( "%lf %lf" , &(p->re) , &(p->re) ) == 2 ; } // 指定したComplexを出力 void print_Complex( struct Complex* p ) { printf( "%lf+j%lf¥n" , p->re , p->im ) ; } void main() { int size ; struct Complex* array ; struct Complex** array2 ; // 処理する件数を入力 scanf( "%d" , &size ) ; // 配列を確保して、データの入力&出力 if ( (array = (struct Complex*)malloc( sizeof(struct Complex) * size )) != NULL ) { int i ; for( i = 0 ; i < size ; i++ ) if ( !input_Complex( &array[i] ) ) break ; for( i = 0 ; i < size ; i++ ) print_Complex( &array[i] ) ; // or printf( "%lf + j%lf\n" , // array[ i ].re , array[ i ].im ) ; // mallocしたら必ずfree free( array ) ; } // ポインタの配列で保存 if ( (array2 = (struct Complex**)malloc( sizeof(struct Complex*) * size)) != NULL ) { int i ; for( i = 0 ; i < size ; i++ ) { // 各データごとにmalloc() array2[ i ] = (struct Complex*)malloc( sizeof( struct Complex ) ) ; if ( array2[ i ] != NULL ) { array2[ i ]->re = (double)i ; array2[ i ]->im = (double)i ; } } // 保存した構造体をすべて表示 for( i = 0 ; i < size ; i++ ) print_Complex( array[ i ] ) ; // 各データごとに free for( i = 0 ; i < size ; i++ ) free( array[ i ] ) ; // ポインタの配列を free free( array2 ) ; } }