情報スキルとして欲しいもの
slashdot にて、「Word/Excel が使えない若者7割にも上る?」 という記事が盛り上がっている。電子情報の学生であれば、レポート作成もあれば、 Word/Excelはあるいみ当たり前。 あえて言うなら、Microsoft 製品は高いし、OpenOfficeでいいけどね。 キー入力さえできれば、後は直感でそれなりに使いこなす人がほとんどだろう。 だから、「7割使えない」と書いてあれば、信じられない…という感想。 丁度、専攻科の実験の学生さんとの雑談もあったし、あえてネタを広げてみよう。
個人的には、卒研の発表などで絵を貼り付けてある時に、 Paint で描いてドットのギザギザが目立つ絵を見ると、 もう少しキレイにパソコン使えよ…と思ってしまう。 だから、お絵かき=Paintだけ…という人を見ると、『使えないヤツ』フラグが立ってしまう。 PowerPointでも図の挿入とかは使いこなして欲しい。 んで、図の機能を使っていても、 グリッドずれまくりの絵も見苦しい!!
プログラミングでも、インデントずれまくりだったり、コーディングルールが無いものは、 瞬間で「こいつのプログラムはあてにならん」と判断するし、その直感はあまりはずれない。 やっぱりきちんとプログラムを書けるヤツのコードは、1mさがって見てもなんかキレイ…。
あと、自分の場合ドキュメントが手抜きだったりする反動で、コメントはそれなりに書く。 だからこそ、テキストだけのプログラムの中でも、 図や表を交えて説明すべきときもあるから、コメントでアスキーアートも駆使する。 ということで、コメント書き方の上手さも「使えるヤツ」の判定フラグだったりする。
以前、OBが遊びにきて、コーディングルールについて語り合った。 企業経験の短い自分としては、下層コーダに合わせたコーディングルールは、 「クソ食らえ」ではあったりするが、だからといって『自分のコーディングルール』を 理由込みで語れないヤツも寂しいと思う。
プログラム応用テスト返却
テスト返却を行い、問題の解説を行った。 平均点が昨年よりも落ちているが、クラス差か?今回の出題で記述式が多かったせいか? 原因究明が必要かも。
出題の最後で、LEDディスプレィの構造に絡む出題で、授業後に"有機EL"って何?と聞かれる。 しかしながら、うまい説明ができなかったし、調べて記載しておこう。
最近のテレビ技術
最近、TVCMでは、シャープの"LED AQUOS"なるものが…画素1つひとつが"LED"なのかと思ったが、 メーカーのページを見ると、液晶バックライトがLEDで画面全体の明暗を細かく制御できる技術みたい。
有機ELは、 発光層が有機化合物による発光LEDのディスプレィ。 画素自体が光るためバックライトなどが不要であり、 液晶よりも薄型の物が作れる。
学級閉鎖期間中の学生実験対応
インフルエンザによる3EIの学級閉鎖の対応がまだ残ってた…。 再び感染者が増えてさらなる学級閉鎖も懸念されるため、 未消化の学生実験の年度末への日程シフトは避けたい。 実験担当の前川先生に相談したら、金曜午後は卒研&実験室が空いているとの アドバイスで、本来の金曜午後の授業の先生を別日に振り替え、 金曜日午後を実験とすることになりそう…。
当初、3EIがテスト前に学級閉鎖になったときは、学生からのブーイングも多かったけど、 他のクラスがテスト期間中に学級閉鎖で今週来週と追試のクラスもあり、 学生からは「逆にテスト前で、まだマシだった…」という感想も聞こえてきた。
どちらにしろ、担任主導で緊急対応のネタ調整で、のんびり採点といっていられない… 明日が3EIテスト返却だけど、現時点で採点半分。ひと踏ん張り!!!!
16万人の「大学は出たけれど」
日経ビジネスの記事に、『16万人の「大学は出たけれど」』という記事が出ている。 来春大学の卒業予定者で16万人の人が就職が決まっていないらしい。 この記事の中では、最近の傾向で、求人倍率は高いものの、内定率が落ちている状況を 解説している。これは、「質」による選別が厳しく、優秀な人材しか採らないという状況だそうな。
追記(2009/12/08): 同じ記事の2chニュー速クオリティで反応のまとめ。
# 生々しくって、気が滅入る…
データベースの中間テスト
現在、後期中間試験期間中。 新型インフルエンザによる欠席などで、追試の人も多い状態。 この中で、今年から担当しているデータベースの講義のテストを実施した。
SQLの理解を確認するための出題で、学生の名前のテーブル、科目のテーブル、 科目と点数のテーブルで、結果を求めたり目的のSQLを記述してもらう問題を出した。 しかしながら、このテスト監督中に回答例を書いていたら、 テーブル名称が学生情報・科目情報とかしておいたら、"学生情報.学籍番号 = 履修情報.学籍番号 AND 科目情報.科目コード = 履修情報.科目コード"みたいなWHERE句が必要で、 漢字書き取りテストかよ…って感じの回答だった。授業に使っている教科書みたいに、 テーブル名は英字1,2文字にしときゃ良かった…
ググるな危険と人間オンラインマニュアル
OBが来校してくれて、学生さんのプログラミングについて議論&雑談をしていた。 コーディングスタイルの問題やらの雑談を交えながら、 学生さんor新人プログラマーが新しい概念を勉強するために、 どういう状況を作るべきなのかを話し合った。
クラブ活動で遊びにきている学生さんにしてみれば、ゲームみたいなプログラムを作るためのテクニックを知りたがっている。 一方で教員サイドの視点では、プロコンの競技部門などでパズル系のプログラムに 興味を持ってほしくて、再帰を必要とするコーディングに興味を持ってほしい。 そういう点で、ズレがあるけど、ある意味しかたがない。 だけど、パズル的コーディングができるようになるには、「考えてみる」時間も重要。 ただ、今の時代「Webで探せば何らかの答えがすぐにみつかるから考える習慣が身に付かない」そういうフラストレーションを議論をしていたら、 ググるな危険といった文章を教えてくれた。
ググるな危険
新人に勉強させる時に、ググって見つけた情報の方向性がずれたままになるぐらいなら、 ググらせずに質問させる時間をつくることで、自分で考える習慣をつくりムダな時間を 減らそうとの論点みたい。 そのOBさん曰く、『私らの時代はまだインターネットも無かったし、質問は斉藤さんに聞けば、色々勉強になった…斉藤さんも、その頃のように演習室に入り浸り状態に戻って学生にもっとアドバイスしませんか?』と言われた。 たしかに、10年前に比べれば、自分の部屋にいる時間が長くなっている事を反省する。 ただ、あえて別の一言も…。 そのOBさんのいる頃によく愚痴った言葉で覚えているのは、 「私に質問ばかりするな! 自分で考えよう! 私は人間オンラインマニュアルじゃねぇ!!」であった。
ということで、方向性のずれた勉強になりがちな場合は人に聞く、 方向性が分っている場合はWebに聞く、という違いはあれ、どちらも重要。 だけど必要に応じて自分で考える時間ももっと重要なのだ。
FD(ソフトウェア著作権と授業アンケート)
テスト期間中もあって、様々な会議などが開かれている。
ソフトウェアと著作権
ACCSより講師を招いて、ソフトウェア著作権の講演があった。 最近は、企業などでも不正インストールされたソフトなどの利用などで、 訴えられる事例などを交えながら、インストールされているソフト数より 取得しているライセンスが多いように、ソフトウェア台帳を作って…という 話を聞いた。電子情報工学科では、積極的にライセンスフリーのソフトを利用するなどの 取り組みで、対応をしている。 それでも、OpenOfficeだとMS-Officeとの互換性がなくって不便という声もあり、 必要最小限のライセンス購入に済ませている。
追記(2009/12/01): ちょっとタイムリーだけど News にて、 ファイル共有ソフトShareの利用者の一斉摘発が始まり、11人の逮捕者 が出たらしい。 ファイル共有ソフトだと、自分がダウンロードするだけのつもりでも、他の人のダウンロードに 協力してしまうため、注意が必要。 2010年1月からの改正著作権法では、 違法ファイルのダウンロード自体が摘発対象になってしまうのでさらに注意!!。
ビデオ会議システムを使って授業アンケートの講演会
f-leccsにて、授業アンケートのFD講演会が行われた。各学校の授業アンケートの 状況を報告しあい、後半は各校の問題点などを話し合った。 一方、この会議はf-leccsの加入校のビデオ会議システムを用いて開催され、 本校からも4人の先生がビデオ会議で参加した。しかしながら、ビデオ会議システムの 利用に慣れていないのと、機器のトラブルなどの確認もあり、導入メーカさんより 2名の方にも同席してもらった。前回のビデオ会議では、10分ほど使うと他校の ビデオが届かなくなったりするトラブルが起こっていたけど、 こういうトラブルの確認と思う時に限って、何も問題が起こらない… 業者の方、遠路はるばるご協力頂きましたが、ムダ足になってしまいました。
ネットワークとセキュリティ
専攻科対象の計算機システムにおいて、担当の前半の最後ということで、 小テストを実施する。 OSネタ半分、ネットワークネタ半分のテストで、手書き資料の持ち込み可にて、行った。
後半は、ネットワークの範囲で説明のできていない、セキュリティネタを話す。 ウィルスの一般的な拡散方法で、メール添付やダウンロードさせるなどの方法で広める方法での 危険性を説明。拡張子の書き換えやアイコンの書き換えの技があることを紹介し、 「実行ファイルは危険」というだけでなく、他のファイルも時として危険なことを説明し、 対策としてウィルス対策ソフトの重要性を説明する。 また、オフィスファイル(Word,Excel)でも、マクロ実行機能などでウィルスとなる場合も紹介。
ネットワークを介して広まるものとして、絨毯爆撃など手法で適当なIPアドレスに向かって、 ファイル共有などを試す方式での拡散を説明する。 これに伴い、OSのアップデートが重要なことや不用意なネットワーク機能の利用の危険性を説明する。 また、ファイアウォールでは、特定のIPアドレスやポート番号によるパケットを遮断する機能について説明する。
時間切れで、IPアドレスのプライベート空間とグローバル空間の説明ができなかった。 ちょいと心残りだし、リンクだけ貼っておこう。
ネットワークのプロトコル
先週がネットワークのLAN,WANの話だったので、今週はプロトコルを中心に説明する。
CSMA/CD方式
まず最初に、Ethernetの基本的な方法であるCSMA/CD方式について説明する。 基本Ethernetはバス方式なので、だれかが通信していれば、他の人は通信ができなくなる。 見かけ上、複数人数が使うために、パケットに分割して送ることで、Multiple Access が 実現できていることを説明。Ethernetではバス制御の管理者に相当する機器は存在しないため、 通信機器はバスが空いていれば使うのが原則(Carrier Sense)、しかしバス空きの確認と、 バスにデータを出すタイミングは時間差があるので、空いていると思って信号を出しても、 他の機器と競合(衝突)を起こすかもしれない。だからこそ、通信で衝突が発生したか把握する必要がある。(Collision Detect)
Ethernetでは、バスが空いていれば信号を出すという方式から、 1本のバスに大量の機器がつながることはできない。 だからこそサブネットに分割する必要がある。 このため、通信するときには、通信相手を区別するためのIPアドレスが割り振られ、 ネットワーク番号と、ホスト番号の組合せで、サブネット外の通信と、サブネット内の直接通信が 区別できる。
TCP/IP
IPアドレスは、現在IPv4という32bitが主流。IPv6という128bitのアドレス方式も模索されている。 基本、通信は相手IPアドレスと自分のIPアドレスにサブネットマスクを論理積でかけ、 取り出されたネットワーク番号が同じであれば、残りのホスト番号を使って直接通信を行う。 ネットワーク番号が異なれば、ルータに中継を依頼する。(Internet Protocol)
パケットを細切れにしてIPプロトコルでの通信では、途中で一部のパケットが消えたり、パケットの到着順序が混乱してしまう。このため、TCPプロトコルによって、再送やパケットの並べ替えを行うことで、信頼性の高い通信をつくる。このTCPとIPによる通信が基礎となり、一般的にTCP/IPと呼ばれる。
DNSとドメイン名
IPアドレスによる通信相手の指定は、メカニズムは単純だがアドレスを覚えるのは困難。 このため、コンピュータに名前をつけて、アドレスを調べられるようにする。 この名前はドメイン名と呼ばれ、Domain Name Service(DNS)は、この名前とアドレスの番号を 調べたりするサービス。
WWWとメール
サービスを提供するサーバでは、複数の通信プログラムが動いている場合、 その相手を区別する必要があり、ポート番号と呼ばれる。 インターネットの通信では、プロトコルとポート番号が対応付けられており、 WWW(http)では80番、メール(SMTP)では25番といったようになっている。 WWWでは、"http://ドメイン名/ファイル名" のようなURLが使われるが、 先頭のhttp:のスキーマ欄で、ポート番号が80番、ドメイン名をDNSによって調べ、 相手のコンピュータのIPアドレスが判明し、通信が始まる。 HTTPでは、ファイル名にあたる部分を相手サーバに送り、その返事のHTMLファイルを、 ブラウザがそのタグの文法に沿って文字や絵をレイアウトして表示する。
データベースの設計
データベースの設計方法として、正規形の説明を行う。 テスト範囲としては、前週のSQLまでとし、テストはA4用紙1枚の資料持込可とする。
適切でないデータベースを例にしながら、更新不整合が発生することを説明する。 (不整合には、修正不整合・挿入不整合・削除不整合がある。) この不整合が発生しないデータベース(表)を作るためには、どうすべきかを解説。
ERモデル
不整合が起こらないようなデータベースとするには、実体と関連にモデル化を行う。 実体・関連には、属性(attribute)が付随し、実体を長方形、関連をひし形、属性を楕円で表現する ER図を描く。

学生や教員といった実体は、人という汎化した視点であれば、識別番号と名前の属性で 表現できると意味で、共通である。人を学生という視点で特化した先に、学科名や学年といった 属性を持つと考えられる。こういった汎化階層は、オブジェクト指向と同じ。
実体の中には、他の実体と関連を持って初めて意味を持つ実体もある。 関連先の実体が消えれば、存在自体が無意味になってしまう実体は、弱実体と呼ぶ。
正規形
不整合が起こらないデータベースを構築するためには、様々な条件が存在する。 その条件を満たすデータ形式になっていることを、××正規形と呼ぶ。
第一正規形は、全属性が単一の値である原子値であるもの。
データを1つに絞り込めるデータ項目は超キーと呼ぶ。 必要最小限に厳選された超キーは、候補キーと呼ぶ。 候補キーで、管理上都合のいいものは主キーと呼ぶ。 属性の1つが決まると、他の属性も1つに自動的に絞り込まれる場合、 従属関係があるという。 候補キーに、非キー項目が従属する場合、完全従属と呼ぶ。 候補キーの一部が、非キー項目が従属するものは部分従属と呼ぶ。 部分従属がなく、非キー項目が候補キーに完全従属する場合、第二正規形と呼ぶ。
非キーデータ項目A,Bの間に従属性があり、候補キーからAに従属性がある場合、 推移従属性があるという。 非キー・データ項目が、候補キーに完全従属し かつ 推移従属性がない場合、 第三正規形と呼ぶ。
不整合の発生しないデータベースにしたければ、第一正規形となるように、第二、第三と それぞれの正規形の条件を満たすように、ER図を書き換えていく。