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高専生の毒舌な妹bot より引用

移動平均のプログラム

移動平均のプログラム(ダサっ)

#include <stdio.h>
#define WIDTH 5
double xt[1000] ; // 元波形データ
double yt[1000] ; // 移動平均処理後のデータ
int main() {
    int    i ; 
    double t , x ;
    // 全データを読み込む(入力はコンマ区切りの2データ)
    for( i = 0 ; scanf( "%lf,%lf" , &t , &x ) == 2 ; i++ )
        xt[ i ] = x ;
    // データ xt[*] の移動平均を yt[*] に求める。
    for( i = WIDTH ; i < 1000 - WIDTH ; i++ ) {
        int j ;
        double s = 0.0 ; // 合計
        // 前後の値の合計を求める
        for( j = -WIDTH ; j <= WIDTH ; j++ )
            s = s + xt[ i + j ] ;
        // 合計をデータ数で割る
        yt[ i ] = s / (WIDTH * 2 + 1) ;
    }
    // 処理結果を出力する。
    for( i = 0 ; i < 1000 ; i++ )
        printf( "%d,%lf,%lf\n" , i , xt[i] , yt[i] ) ;
    return 0 ;
}

でも、このプログラムは、以下の点で問題がある。

  1. 範囲のデータを加算しているけど、加算の繰り返しが多い。
  2. 配列にデータを最初に全て読み込んでいるけど、長時間のデータならば大量のメモリが必要。
  3. 測定しながら移動平均を計算する場合、データはどうする?

移動平均のプログラム(ちょっと改良)

全部のデータを覚えるのはメモリの無駄なので、移動平均する直近のデータだけを覚えるように改良する。
しかし、データを保存する度に、配列をずらす処理も無駄なので、データを保存する場所(以下の例ではbp)を保存したら次の場所を示すように記述してみる。

#include <stdio.h>

#define WIDTH 10
double buff[ WIDTH ] ; // 直近のWIDTH個だけ保存
int    bp = 0 ;        // 最新データの場所
double bs = 0.0 ;      // 直近のWIDTH個の合計

int main() {
    int i ;
    double t , x ;
    for( i = 0 ; scanf( "%lf,%lf" , &t , &x ) == 2 ; i++ ) {
        // WIDTH個前のデータを捨てるために合計から引く
        bs = bs - buff[ bp ] ;

        buff[ bp ] = x ;      // 最新データを保存
        bs = bs + x ;         // 最新のデータで合計
        // 直近のデータを覚える場所を移動
        bp++ ;
        if ( bp >= WIDTH )
            bp = 0 ;
        // 移動平均を出力
        printf( "%d %lf\n" , i , bs / WIDTH ) ;
    }
    return 0 ;
}

仮想関数

仮想関数

前回の派生したプログラムで継承の説明をしたが、以下のようなプログラムでは、Student 型が混在した family[] の配列でも、Person へのポインタに「格下げ」されて保存されているため、
family[i]->print() では、Student 型でも Person型で表示処理が行われる。

class Student : public Person {
   :
   void print() {
      Person::print() ;                    // 名前と年齢を表示
      printf( " %s %d¥n" , dep , grade ) ; // 所属と学年を表示
   }
} ;
void main() {
   Person saitoh( "t-saitoh" , 53 ) ;
   saitoh.print() ; // t-saitoh 53

   Student mitsu( "mitsuki" , 18 , "E" , 4 ) ;
   Student ayuka( "ayuka" , 16 , "EI" , 2 ) ;
   mitsu.print() ; // mitsuki 18 / E 4   名前,年齢,所属,学年を表示
   ayuka.print() ; // ayuka 16 / EI 2    名前,年齢,所属,学年を表示

   Person* family[] = {
      &saitoh , &mitsu , &ayuka ,  // 配列の中に、Personへのポインタと
   } ;                             // Studentへのポインタが混在している
                                   // 派生クラスのポインタは、
                                   // 基底クラスのポインタとしても扱える
   for( int i = 0 ; i < 3 ; i++ )
      family[ i ]->print() ;       // t-saitoh 53/mitsuki 18/ayuka 16
}                                  //  が表示される。

しかし、Student型とPerson型の機能を活かせないだろうか?

仮想関数

このような場合、オブジェクト指向では、仮想関数の機能が便利である。

class Person {
   :
   virtual void print() {
      printf( "%s %d\n" , name , age ) ;
   }
} ;
class Student : public Person {
   :
   virtual void print() {
      Person::print() ;                    // 名前と年齢を表示
      printf( " %s %d¥n" , dep , grade ) ; // 所属と学年を表示
   }
} ;
void main() {
   Person saitoh( "t-saitoh" , 53 ) ;
   saitoh.print() ; // t-saitoh 53

   Student mitsu( "mitsuki" , 18 , "E" , 4 ) ;
   Student ayuka( "ayuka" , 16 , "EI" , 2 ) ;
   mitsu.print() ; // mitsuki 18 / E 4   名前,年齢,所属,学年を表示
   ayuka.print() ; // ayuka 16 / EI 2    名前,年齢,所属,学年を表示

   Person* family[] = {
      &saitoh , &mitsu , &ayuka ,
   } ;
   for( int i = 0 ; i < 3 ; i++ )
      family[ i ]->print() ;       // t-saitoh 53/mitsuki 18,E 4/ayuka 16,EI 2
}

仮想関数が宣言されると、基底クラスの中に「型情報(PersonなのかStudentなのか)」が自動的に埋め込まれる。仮想関数を呼び出すと、型情報を使って、Person::print()を呼び出すか、Student::print()を呼び出すか、を選んでくれる。

仮想関数が生まれた背景

仮想関数は、GUI のプログラム記述に向いていた。例えば、GUIシステムでは、画面にデータを表示するための基本型として、座標と幅,高さの情報を持つ Window 型がある。

また、画面のアイコンは、Window型に、表示する絵の画像を追加した派生クラス WindowIcon 型、画面のテキストは、Windows型に、表示するテキストやフォント情報を持った、WindowText といった型のようなものとする。そうなると仮想関数の概念が無いと、display() を呼び出すためには、派生型の種類が大量ならばデータの型に応じた if 文を大量に書き並べないといけないし、データ型を区別するための情報(下記の例ならばtype)に、型毎に異なるマジックナンバーを埋め込む処理を自分で書かないといけない。

class Window {  // 概念を説明するための例にすぎない
private:
    int x , y , w , h ;
    int type ; // 型を区別するための情報
public:
    void display() {
        // 表示する処理
    }
} ;
class WindowIcon : public Window {
private:
    Image  img ;
public:
    void display() {
        // 画像を表示する処理
    }
} ;
class WindowText : public Window {
private:
    Font  font ;
    char* text ;
public:
    void display() {
        // テキストを表示する処理
    }
} ;
void main() {
    WindowIcon wi( アイコンのコンストラクタ ) ;
    WindowText wt( テキストのコンストラクタ ) ;
    Window* wins[] = {
        &wi , &wt , ...
    } ;
    for( int i = 0 ; i < 配列すべて ; i++ ) {
        if ( wins[i]->type が アイコンならば )
            wins[i]->display() ; // アイコンを表示する
        else if ( wins[ i ]->type が テキストならば )
            wins[i]->display() ; // テキストを表示する。
        else if ....
        :
    }
}

関数ポインタ

では、仮想関数はどのようなテクニックを用いて実装されているのだろうか?

これには、関数ポインタが用いられる。

int add( int x , int y ) {
    return x + y ;
}
int mul( int x , int y ) {
    return x * y ;
}
int main() {
    int (*func)( int , int ) ;
    func = add ; // add() ではない
    printf( "%d¥n" , (*func)( 3 , 4 ) ) ; // 7
    func = mul ;
    printf( "%d¥n" , (*func)( 3 , 4 ) ) ; // 12
    return 0 ;
}

仮想関数を用いると、基底クラスにはクラス毎の仮想関数への「関数ポインタ」などの型情報を保存する場所が自動的に作られ、基底クラス・派生クラスが使われると、そのオブジェクト毎に型情報を初期化する処理が行われる。仮想関数が呼び出されると、関数ポインタにより、各型毎のメソッドが呼び出されるため、大量の if 文は不要となる。

純粋仮想基底クラス

// 純粋仮想基底クラス
class Object {
public:
   virtual void print() = 0 ; // 中身の無い純粋基底クラスを記述しない時の書き方。
} ;
// 整数データの派生クラス
class IntObject : public Object {
private:
   int data ;
public:
   IntObject( int x ) {
      data = x ;
   }
   virtual void print() {
      printf( "%d\n" , data ) ;
   }
} ;
// 文字列の派生クラス
class StringObject : public Object {
private:
   char data[ 100 ] ;
public:
   StringObject( const char* s ) {
      strcpy( data , s ) ;
   }
   virtual void print() {
      printf( "%s\n" , data ) ;
   }
} ;
// 実数の派生クラス
class DoubleObject : public Object {
private:
   double data ;
public:
   DoubleObject( double x ) {
      data = x ;
   }
   virtual void print() {
      printf( "%lf\n" , data ) ;
   }
} ;
// 動作確認
int main() {
   Object* data[3] = {
      new IntObject( 123 ) ,
      new StringObject( "abc" ) ,
      new DoubleObject( 1.23 ) ,
   } ;
   for( int i = 0 ; i < 3 ; i++ ) {
      data[i]->print() ;
   }
   return 0 ;
} ;

この書き方では、data[]には、整数、文字列、実数という異なるデータが入っているが、 Objectという純粋仮想基底クラスを通して、共通な型のように扱えるようになる。 そして、data[i]->print() では、各型の仮想関数が呼び出されるため、 「123 abc 1.23」 が表示される。

ここで、Object の様な一見すると中身が何もないクラスを宣言し、 このクラスから様々な派生クラスを用いるプログラムテクニックは、 広く利用され、Objectのような基底クラスは、純粋仮想基底クラスなどと呼ばれる。

移動平均の処理

前回の授業で説明したようなA/D変換した数値データを読み取った場合、どのようなことが発生するか考える。

例えば、以下に示すような測定値があったとする。

このデータの一部をグラフ化してみると、次のような波形であった。

この波形をみると、大きく見ればsinカーブだが、細かい点を見るとデータにブレがある。

誤差の原因

このような測定結果が得られた場合、本来コンピュータで処理したいデータは何であろうか?

原因は様々なものが考えられるが、
(1) 回路のノイズ対策が不十分で、外部の電気的な影響が混入してしまうこともある。
(2) 一方で、D/A 変換を行う場合には、量子化誤差もある。

青線:元波形、赤線:4段階で量子化

この例は、-1〜1の範囲を、4段階に量子化することで、本来の波形とは異なった値になっている。

例えば、最初の波形が、加速度センサーの値であったとして、船の上で揺れているために、大きな周期で加速度が変化しているかもしれない。一方で、船自体がエンジンによる揺れで加速度が変化しているかもしれない。

船の中で波の揺れと、エンジンの揺れが観測されている加速度センサーの情報で、船の揺れの大きさ・揺れの周期を知りたい場合、どうすればいいだろうか?単純なsinカーブの波形であれば、波形の最大値・最小値・0との交点の場所を探せば、振幅や周期が求めることができるが、このようなノイズが入った波形では、正しく振幅・周期が求まらない。

移動平均

このデータを見ると、10個のデータまでの間で、波形が上下に変動している。船の揺れとエンジンの揺れが原因であれば、10個ぐらいのデータのゆらぎが、エンジンによる揺れと考えられる。では、この10個ぐらいの範囲で値が上下の影響を減らしたければ、どうすればいいか?一番簡単な方法は、前後10個のデータで平均を取ればいいだろう。まずは、Excel で前後データの平均をとってみよう。

Excelで前後11点の平均を求める式をセルに入れる

青線:元波形データ(B列)、赤線:前後11点の平均(C列)

このように、データの前後の決められた範囲の平均を平均する処理は、移動平均(単純移動平均)と呼ぶ。

時間tにおけるデータをとした場合、前後5点の移動平均は、以下のような式で表せるだろう。

自宅学習の課題(レポート提出は不要)

表計算ソフトで、移動平均を計算させてみよう。  

  • 元波形
  • 前後5点で移動平均
  • 前後11点で移動平均
  • 前後51点で移動平均

をとるような表計算の式を書き込んで、その結果の波形がどんなグラフになるのか確認しておくこと。

移動平均の応用

例えば、以下のような心電図のデータがあったとする。心電図では、波の高さで心臓が正常か判断するが、この青のグラフでは、大きな周期の変動が含まれるため、波の高さを正確に測れない。この波形から診断するときに、移動平均が使えないだろうか?

このような場合には、測定値の波形の移動平均をとり心拍データの変動を取り除き、測定値から移動平均の値を引くことで、心拍データだけを取り出すことが可能となる。

mimetex.cgi は便利

学科のWebサーバには、mimetex.cgi というパッケージを入れてある。これを使えば、img タグの src 部分に、mimetex.cgi を記述し、パラメータのURL部分に、の数式を書くだけ。

(( mimetex.cgi のインストール ))
$ sudo aptitude install mimetex

なので、普通にテキストで書いたら、O(N log N) みたいな式でも、 なんて記述も、 で数式書くのに慣れてれば、楽々。

(( HTML の中で数式画像の img タグを書く ))
<p align="center">
  <img src="/cgi-bin/mimetex.cgi
     ?\int{\frac{1}{\sqrt{a^2-x^2}}dx}
      = \sin^{-1}\frac{x}{a}+C" /><p>

iPadでlinux仕事-Shelly Pro

仕事用の Surface Pro のキーボードがクソで、「T」の反応がダメダメなので、Bluetooth キーボードを購入。以前に、iOS,Windowsといった複数接続に切り替え可能で、接続相手に合わせてキーアサインも変更してくれる小型キーボードを購入していたけど、小さすぎてメールを打ったり、Linux サーバを触るときに、思うように打てずあんまり使わなくなっていた。

今回、Logicool の K380 を購入したけど、Mac のキーボードと同じ配列で複数のBluetooth接続を切り替えられるもの。OSに合わせてキーアサインを切り替える機能はない。

やはり、いつも使っているキーボードと同じなので、手に馴染む。それならばということで、iOS に ssh ターミナルソフト入れたら、Linux 仕事で違和感なく使えるか試したくなった。

日本語が使えるiOS用sshクライアント

以前に、ある程度日本語が使えるということで Termius という無料アプリを使っていたけど、emacs で漢字をつかっていると、文字位置がずれるので今ひとつ。

Shelly - SSH Client

今回、”iOS ssh 日本語”で検索をかけたら、この記事が比較や有料ソフトの値段なども記載してあってわかりやすかった。

最終的に入れたのは、Shelly Pro となりました。

実際に、ベッドで寝ながら複数のサーバ更新作業をやったけど、Ctrl-Caps交換ができないし、iPad は記号が英字キーボードの配置なので、キートップを確認しながらになったけど、まあまあ使える。

K380 には、iOS のキー配置も刻印されているので、便利。

ただし、iPad に入れて、”Pro” にアプリ内課金でバージョンアップ(¥600)したけど、iPhone に 同じく Shelly を入れたら、バージョンアップしようとしたら、¥480 の課金の画面が出てきた。値段も違うし、タブレット版とスマホ版は別物扱いしてるんだろうなぁ。

次の出張では、iPad mini とキーボードだけ…を試そうかな。


高専ライブ:2018年5月27日(第576回)

収録の模様をお送りいたしました。

  • 1年生への質問コーナー
  • サイエンス共和国 第31回「iPhoneで儲ける技術者の話 その4 iPhoneカバーガラスの話」
  • 1年生のゴールデンウィークの話

担当:水島(4C,MC)、西島(4EI,MIX)、吉田(F2)、武村(F3)、馬淵(F5)、中村(教員)

派生と継承

隠ぺい化の次のステップとして、派生・継承を説明する。

派生を使わずに書くと…

元となるデータ構造(例えばPersonが名前と年齢)でプログラムを作っていて、 途中でその特殊パターンとして、所属と学年を加えた学生(Student)という データ構造を作るとする。

// 元となる構造体(Person)
struct Person {
   char name[ 20 ] ; // 名前
   int  age ;        // 年齢
} ;
// 初期化関数
void set_Person( struct Person* p ,
                 char s[] , int x ) {
   strcpy( p->name , s ) ;
   p->age = x ;
}
// 表示関数
void print_Person( struct Person* p ) {
   printf( "%s %d\n" , p->name , p->age ) ;
}
void main() {
   struct Person saitoh ;
   set_Person( &saitoh , "t-saitoh" , 50 ) ;
   print_Person( &saitoh ) ;
}

パターン1(そのまんま…)

上記のPersonに、所属と学年を加えるのであれば、以下の方法がある。 しかし以下パターン1は、要素名がname,ageという共通な部分があるようにみえるが、 プログラム上は、PersonとPersonStudent1は、まるっきり関係のない別の型にすぎない。

このため、元データと共通部分があっても、同じ処理を改めて書き直しになる。

// 元のデータに追加要素(パターン1)
struct PersonStudent1 {
   char name[ 20 ] ; // 名前
   int  age ;        // 年齢
   char dep[ 20 ] ;  // 所属
   int  grade ;      // 学年
} ;
void set_PersonStudent1( struct PersonStudent1* p ,
                         char s[] , int x ,
                         char d[] , int g ) {
   strcpy( p->name , s ) ; // 同じことを書いてる
   p->age = x ;
   strcpy( p->dep , d ) ;  // 追加分はしかたない
   p->grade = g ;
}
// 名前と年齢だけ表示
void print_PersonStudent1( struct PersonStudent1* p ) {
   // また同じ処理を書いてる
   printf( "%s %d\n" , p->name , p->age ) ;
}
void main() {
   struct PersonStudent1 yama1 ;
   set_PersonStudent1( &yama1 ,
                       "yama" , 22 , "PS" , 2 ) ;
   print_PersonStudent1( &yama1 ) ;
}

パターン2(元データの処理を少し使って…)

パターン1では、同じような処理を何度も書くことになり、面倒なので、 元データ用の関数をうまく使うように書いてみる。

// 元のデータに追加要素(パターン2)
struct PersonStudent2 {
   struct Person person ;
   char          dep[ 20 ] ;
   int           grade ;
} ;
void set_PersonStudent2( struct PersonStudent2* p ,
                         char s[] , int x ,
                         char d[] , int g ) {
   // Personの関数を部分的に使う
   set_Person( &(p->person) , s , x ) ;
   // 追加分はしかたない
   strcpy( p->dep , d ) ;
   p->grade = g ;
}
void print_PersonStudent2( struct PersonStudent2* p ) {
   // Personの関数を使う。
   print_Person( &p->person ) ;
}
void main() {
   struct PersonStudent2 yama2 ;
   set_PersonStudent2( &yama2 ,
                       "yama" , 22 , "PS" , 2 ) ;
   print_PersonStudent2( &yama2 ) ;
}

このパターン2であれば、元データ Person の処理をうまく使っているので、 プログラムの記述量を減らすことはできるようになった。

しかし、print_PersonStudent2() のような処理は、元データ構造が同じなのに、 いちいちプログラムを記述するのは面倒ではないか?

そこで、元データの処理を拡張し、処理の流用ができないであろうか?

基底クラスから派生クラスを作る

オブジェクト指向では、元データ(基底クラス)に新たな要素を加えたクラス(派生クラス)を 作ることを「派生」と呼ぶ。派生クラスを定義するときは、クラス名の後ろに、 「:」「public/protected/private」基底クラス名を書く。

// 基底クラス
class Person {
private:
   char name[ 20 ] ;
   int  age ;
public:
   Person( const char s[] , int x ) {
      strcpy( name , s ) ;
      age = x ;
   }
   void print() {
      printf( "%s %d\n" , name , age ) ;
   }
} ;
// 派生クラス
class Student : public Person {
private:
   char dep[ 20 ] ;
   int  grade ;
public:
   Student( const char s[] , int x ,
            const char d[] , int g )
            : Person( s , x ) // 基底クラスのコンストラクタ
   {
      strcpy( dep , d ) ;
      grade = g ;
   }
} ;
void main() {
   Person saitoh( "t-saitoh" , 50 ) ;
   saitoh.print() ;
   Student yama( "yama" , 22 , "PS" , 2 ) ;
   yama.print() ;
}

ここで注目すべき点は、main()の中で、Studentクラス”yama”に対し、yama.print() を呼び出しているが、パターン2であれば、print_PersonStudent2()に相当するプログラムを 記述していない。 しかし、この派生を使うと Person の print() が自動的に流用することができる。 これは、基底クラスのメソッドを「継承」しているから、 このように書け、名前と年齢「yama 22」が表示される。

さらに、Student の中に、以下のような Student 専用の新しい print()を記述してもよい。

class Student ...略... {
   ...略...
   void print() {
      Person::print() ;
      printf( "%s %d\n" , dep , grade ) ;
   }
} ;
void main() {
   ...略...
   Student yama( "yama" , 22 , "PS" , 2 ) ;
   yama.print() ;
}

この場合は、継承ではなく機能が上書き(オーバーライト)されるので、 「yama 22 / PS 2」が表示される。

派生クラスを作る際の後ろに記述した、public は、他にも protected , private を 記述できる。

public    だれもがアクセス可能。
protected であれば、派生クラスからアクセスが可能。
派生クラスであれば、通常は protected で使うのが一般的。
private   派生クラスでもアクセス不可。

仮想関数への伏線

上記のような派生したプログラムを記述した場合、以下のようなプログラムでは何が起こるであろうか?

class Student ... {
   :
   void print() {
      Person::print() ;                    // 名前と年齢を表示
      printf( " %s %d¥n" , dep , grade ) ; // 所属と学年を表示
   }
} ;
void main() {
   Person saitoh( "t-saitoh" , 53 ) ;
   saitoh.print() ; // t-saitoh 53

   Student mitsu( "mitsuki" , 18 , "E" , 4 ) ;
   Student ayuka( "ayuka" , 16 , "EI" , 2 ) ;
   mitsu.print() ; // mitsuki 18 / E 4   名前,年齢,所属,学年を表示
   ayuka.print() ; // ayuka 16 / EI 2    名前,年齢,所属,学年を表示

   Person* family[] = {
      &saitoh , &mitsu , &ayuka ,  // 配列の中に、Personへのポインタと
   } ;                             // Studentへのポインタが混在している
                                   // 派生クラスのポインタは、
                                   // 基底クラスのポインタとしても扱える
   for( int i = 0 ; i < 3 ; i++ )
      family[ i ]->print() ;       // t-saitoh 53/mitsuki 18/ayuka 16
}                                  //  が表示される。

様々なメモリ確保

前回の授業で説明していたような、必要に応じて確保するメモリは、動的メモリと呼ばれる。

動的メモリも、局所変数やalloca()を用いたスタック領域と、malloc()とfree()を使うヒープメモリ領域に分類される。

strdup

前回の文字列の確保の説明では、malloc()とstrcpy()をあわせて実行していたが、C言語ではこういった処理が多いので、専用の関数 strdup() がある。

char str[] = "abcdefg" ;
char*pc ;
if ( (pc = (char*)malloc( strlen( str ) + 1 )) != NULL ) {
   strcpy( pc , str ) ;
}
// おなじことを strdup では...
pc = strdup( str ) ;

様々なメモリ確保

自分で定義した構造体を、malloc で領域確保しながら使う場合、1次元配列や2次元配列を作る場合、色々な確保の方法がある。

// 複素数を例に
struct Complex {
   double re ;
   double im ;
} ;
// 基本
struct Complex a ;
a.re = 1.0 ;
a.im = 2.0 ;
// ポインタで確保
struct Complex* b ;
b = (struct Complex*)malloc( sizeof( struct Complex ) ) ;
if ( b != NULL ) {
   b->re = 1.0 ;
   b->im = 2.0 ;
}
// 一次元配列
struct Complex c[ 2 ] ;  // 通常の使い方
c[0].re = 2.0 ;
c[0].im = 3.0 ;
c[1].re = 4.0 ;
c[1].im = 5.0 ;
// 一次元配列を動的に確保
struct Complex* d ;      // Complexの配列
d = (struct Complex*)malloc( sizeof( struct Complex ) * 2 ) ;
if ( d != NULL ) {
    d[0].re = 2.0 ; d[0].im = 3.0 ;
    d[1].re = 4.0 ; d[1].im = 5.0 ;
}
// 一次元のポインタ配列
struct Complex* e[ 2 ] ; // Complexのポインタの配列
e[0] = (struct Complex*)malloc( sizeof( struct Complex ) ) ;
if ( e[0] != NULL ) {
    e[0]->re = 2.0 ; e[0]->im = 3.0 ;
}
e[1] = (struct Complex*)malloc( sizeof( struct Complex ) ) ;
if ( e[1] != NULL ) {
    e[1]->re = 4.0 ; e[1]->im = 5.0 ;
}

C++での new, delete 演算子

複雑なデータ構造のプログラムを作成する場合には、このような malloc() , free() をよく使うが煩雑であるため、C++ではこれらをすっきりと記述するために、new 演算子、delete 演算子があり、それぞれ malloc(), free() に相当する。

// 単独
Complex* b = new Complex ;
b->re = 1.0 ;
b->im = 2.0 ;
delete b ;
// 配列
Complex* d = new Complex[2] ;
d[0].re = 2.0 ;
d[0].im = 3.0 ;
d[1].re = 4.0 ;
d[1].im = 5.0 ;
delete[] d ;  // 配列のdeleteには[]が必要
// ポインタの配列
Complex* e[2] ;
e[0] = new Complex ;
e[0]->re = 2.0 ;
e[0]->im = 3.0 ;
e[1] = new Complex ;
e[1]->re = 4.0 ;
e[1]->im = 5.0 ;
delete e[0] ;
delete e[1] ;

2次元配列

2次元配列の扱いでも、注意が必要。

int cs = 何らかの値 ; // データ列数
int rs = 何らかの値 ; // データ行数
int a[ rs ][ cs ] ;  // C言語ではエラー
a[ y ][ x ] = 123 ;

// 1次元配列を2次元配列のように使う
int* b ;
b = (int*)malloc( sizeof( int ) * rs * cs ) ;
b[ y * cs + x ] = 123 ;  // b[ y ][ x ] への代入

// 配列へのポインタの配列
int** c ;
c = (int**)malloc( sizeof( int* ) * rs ) ;  // NULLチェック省略
c[0] = (int*)malloc( sizeof( int ) * cs ) ;
c[1] = (int*)malloc( sizeof( int ) * cs ) ;
:
c[ y ][ x ] = 123 ;

レポート課題

メモリの動的確保の理解のために、自分の理解度に応じて以下のプログラムのいずれかを作成せよ。
ただし、プログラム作成時には、配列サイズは未定で、プログラム起動時に配列サイズを入力するものとする。

  • 固定長の名前で、人数が不明。
  • 長い名前かもしれない名前で、人数も不明
  • 複素数のデータで、データ件数が不明。
  • 名前と電話番号のデータで、データ件数が不明。

このような状況で、データを入力し、検索などの処理を通して自分のプログラムが正しく動くことを検証せよ。
レポートには、プログラムリスト、プログラムの説明、動作確認した結果、考察を記載すること。

C++のvectorクラスを使ったら

// C++であればvectorクラスを使えば配列なんて簡単
#include <vector>
int main() {
   // 1次元配列
   std::vector<int> a( 10 ) ;
   for( int i = 0 ; i < 10 ; i++ )
      a[ i ] = i ;
   // 2次元配列
   std::vector< std::vector<int> > b( 9 , std::vector<int>(9) ) ;
   //                           ↑ ここの空白は重要
   for( int i = 0 ; i < 9 ; i++ ) {    // ">>" と書くとシフト演算子
      for( int j = 0 ; j < 9 ; j++ ) { // "> >" と書くと2つの">"
         b[i][j] = (i+1) * (j+1) ;
      }
   }
   return 0 ;
}

高専プロコン2018/校内審査

今年度の高専プロコンの応募時期を控え、4EI前期の創造工学演習で作品づくりや、卒業研究のグループからの参加希望の資料をみて、今年度の学内審査を行いました。

課題部門

サバ×サバ(,指導:村田)

  • 村田研5年からエントリー
  • スマホのカメラ・音楽・SNS情報から好みに応じて旅行コースを作る。

Cloudraw(石井,寺本,兵田,鷲田,指導:斉藤)

  • 見上げた空に仮想的な雲を作り、空にお絵かきする。
  • 提出資料の完成度をあげる必要あり。

自由部門

chair CAM(京藤,玉村,辻野,中村,幅岸,木村,指導:高久)

  • お店の空き情報をLINE botで返答するシステム。
  • 店内に設置するセンサー系の具体性の追記が必要

ポーズでプログラミング(大瀬,奥村,道関,向井,村上,指導:小松)

  • Kinectでポーズを認識させ、そのポーズを並べることでプログラミング
  • プログラミングで動くオブジェクトがもうひと工夫ほしい。

競技部門

(永田,谷川,河野,指導:村田)

  • 具体的な計算方法の説明が不足

システム

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