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ドメイン名とDNS

ドメイン名とDNS

インターネットでの通信では、IPプロトコルでコンピュータを指定するが、IPアドレスは無機質で覚えるのが大変であり、コンピュータに名前をつけて利用する。この際に、コンピュータの所属などが分かるようにしたものをドメイン名と呼ぶ。

例えば、電子情報工学科のドメイン名 www.ei.fukui-nct.ac.jp は、ピリオド部分で区切られ、以下のような意味を持つ。

  • .jp – 国ドメイン(.uk イギリス,.ch 中国,アメリカは無し)
  • .ac – 種別ドメイン(.co.jp,.com:会社,.ne.jp,net:ネットワーク系)
  • fukui-nct – 組織ドメイン
  • .ei. – サブドメイン(組織内が細分化されている場合)
  • www. – ホスト名

このような省略されていない、対象となるコンピュータを指定するためのドメイン名は、FQDN(Fully Qualified Domain Name)と呼ばれる。FQDNでの名前を ホスト名 と呼ぶことも多い。

ただしアメリカでは、国ドメインを一般的に使わない。また最近では、世界的な企業では国ドメインが意味をなさないので、アメリカ以外でも .com や .net といった、汎用トップレベルドメイン(gTLD)が使われる。様々なサービスを展開している企業では、組織種別が意味をなさないため、toyota.jp といった種別ドメインがないドメイン名も増えてきた。高専機構のドメイン名 kosen-ac.jp も、”kosen-ac” が高専機構の組織ドメイン名なので注意。

以下に、主要な組織ドメイン・国ドメインをあげる。

国ドメイン 国名
.jp 日本
.us アメリカ
.uk イギリス
.fr フランス
.de ドイツ
.cn 中国
.to トンガ
.tv ツバル
.gl グリーンランド
種別ドメイン(日本) 種別ドメイン 国名
.ac.jp .edu 教育機関
.go.jp .gov 政府機関
.co.jp .com 企業
.ne.jp .net ネットワーク組織
.or.jp .org 公益法人
.biz ビジネス用途
.info 情報関係用途
.name 名前

はgTLD

 

DNSのしくみ

DNSは、Domain Name Service であり、コンピュータ名(ドメイン名)から、IPアドレスを調べるサービスで、ポート番号53,UDPを使っている。

インターネットに接続する際には、最も身近なDNSの情報が与えられ、ユーザがコンピュータ名を問い合わせると、身近なDNSがコンピュータのIPアドレスを返してくれる。この際に、検索結果はキャッシュとして一定期間保存される。身近なDNSがそのコンピュータ名を知らない場合は、上位のDNSに問い合わせを行い、DNSルートサーバもコンピュータ名をキャッシュしていない場合は、管理元の組織のDNSに問い合わせが行われる。このようにすることで特定のDNSサーバに問い合わせが集中しないようになっている(負荷分散)。 DNSサーバの情報は DHCP サーバからIPアドレスなどと一緒に取得することができる。


DNSと正引きと逆引き

DNSの使い方としては、一般的な使い方は、ドメイン名からIPアドレスを調べる正引きが多い。ブラウザは http://www.fukui-nct.ac.jp/ というURLが与えられたら、DNSに www.fukui-nct.ac.jp を問い合わせ、104.215.53.205 の結果が得られることで、http://104.215.53.205/ のコンピュータに接続を試みる。

これとは逆に、サーバ側では接続してきた相手のコンピュータが信頼できる相手か調べたい時がある。この時には IPアドレスからドメイン名を調べる逆引きを行う。これにより、IP アドレスをきちんと管理している組織であれば、ドメイン名が分かるのでどの組織から接続されているのか確認ができる。

DNSの情報を調べるためのコマンドは、nslookup を用いる。(詳細は以前の講義資料で確認)

DNSと様々な情報

DNS では、様々な情報が取得できる。IPアドレス以外にも、メールを送ってもらうサーバのIPアドレス(MXレコード)なども取得できる。

((( 正引きの例 )))
$ nslookup www.google.com
Server:         172.31.208.1
Address:        172.31.208.1#53

Non-authoritative answer:
Name:   www.google.com
Address: 142.250.206.228                                          # 調べる度に異なる値が返ってくるかも
Name:   www.google.com
Address: 2404:6800:400a:804::2004

((( 逆引きの例 )))
$ nslookup 142.250.206.228
228.206.250.142.in-addr.arpa    name = kix06s10-in-f4.1e100.net.  # 正引きと逆引きが一致していない例

Authoritative answers can be found from:

((( MX レコードを調べる例 )))
$ nslookup -query=MX fukui-nct.ac.jp   # MXレコード = そのドメイン宛のメールはどのコンピュータに送ればいい?
Non-authoritative answer:
fukui-nct.ac.jp mail exchanger = 10 fukuinct-ac-jp01c.mail.protection.outlook.com.

((( AAAA レコードを調べる例 )))
$ nslookup -query=AAAA www.google.com  # AAAAレコード = IPv6アドレスを指定した正引き
Non-authoritative answer:
Name:   www.google.com
Address: 2404:6800:400a:813::2004

DNSとセキュリティ

DNSは、コンピュータ名とIPアドレスを対応付けるものであり、これには正引き(コンピュータ名からIPアドレスを求める)と、逆引き(IPアドレスからコンピュータ名を求める)がある。セキュリティ対策が厳しい場所では、

  • 正引きを使うことで、特定の組織のドメイン名を持つコンピュータからのアクセスを許可/禁止する。(例:国ドメイン.xxからは接続拒否)
  • 正引きで、コンピュータ名が登録されている所からのみ許可する。(例:組織ドメイン.fukui-nct.ac.jpからは接続許可)
  • IPアドレスから逆引きして求めたコンピュータ名をさらに正引きして同じIPアドレスが求まるかを確認

といった対策を行う。

  • DNSのドメイン名は、当初は最初に申請した人に割り当てられる。このため、nintendo.com といったドメイン名を、関係ない人が取得するといったトラブルがあった。(サイバースクワッティング)
  • DNSを用いたクラッキングでは、ウィルスに感染させたパソコンに偽物のIPアドレスを教えることで、偽装した別コンピュータに誘導し個人情報を盗む手口がある。(DNSポイズニング)
  • 他にもウィルスに感染させた大量のパソコンから、同時にルートサーバに大量のDNSの問合せを送ることで、処理能力を低下させると、インターネット全体でDNS参照ができなくなる攻撃もある。(DNSルートサーバへの分散DoSアタック)
  • DNSは、他のコンピュータに接続するための重要な情報だが、独裁国家などでは国にとって不都合な情報が得られるドメイン名のIPアドレスを改ざんしアクセスできないようにすることもある。このため、Google 社では 覚えやすい 8.8.8.8 という IPアドレスの DNS サーバを提供している。この 8.8.8.8 は、DNS の返答速度も速いことから、ブラウザの表示速度を高速化するために自分のPCに設定する人も多い。