パラレル通信とシリアル通信
パラレル通信
通信速度が上がると、複数の電線の間に溜まる電荷が僅かなコンデンサになり、電気が流れる際の磁界による影響がインダクタンスとなるため、インピーダンスマッチングが重要となる。このため、高速通信のインタフェース両端にはマッチングするための抵抗を設ける必要がある。終端抵抗(ターミネータ)
シリアル通信
パラレル通信では、ケーブルが太くなることから距離が離れると実用的ではない。そこで、数ビットの情報を短い時間に分けて送るシリアル通信が使われる。
1本の信号線で単位時間あたりのデータ通信速度が同じであれば、パラレル通信の方が高速であるが、長い通信路ではノイズ対策が重要でありノイズ対策をきちんとした線が複数本あるとケーブルが太くなることから、長い通信路ではシリアル通信が使われる。少ない信号線に対してノイズ対策をきちんと施すことができるので、長い通信路ではシリアル通信の方が高速となる。
パラレル通信の例:パラレルポート(プリンタ用)IEEE 1284、ハードディスクATA(IDE)、計測器GP-IB
シリアル通信の例:RS-232C、IEEE1394(FireWire)、ハードディスク(SATA)、USB1.1, USB2.0, USB3.0, USB3.1 Gen2, USB3.2 Gen2x2…、有線LAN/Ethernet
有線LAN/Ethernetの種別
- 半二重通信 – 送信/受信を1本の信号線で、送信タイミング/受信タイミングを切り換えながら通信をおこなう。
- 全二重通信 – 送信用の信号線(TX)、受信用の信号線(RX)がそれぞれ別。送信受信を同時にできる。
- 複信 Simplex(一方的な放送), Half Duplex(半二重), Full Duplex(全二重)
- 10BASE/* – 10Mbit/sec
- 10BASE/5 – ケーブルに針を刺して増設 – 半二重通信/ターミネータが必要
- 10BASE/2 – T型BNCケーブルで延長 – 半二重通信/ターミネータが必要
- 10BASE/T – HUBで分配(終端抵抗などの問題はHUBが解決してくれる) – 全二重通信
- 100BASE-T – 100Mbit/sec / CAT5
- 信号線のノイズ対策は、シールドで覆う、信号線を“より線”(ツイストペア)にするなどの対策が重要
- シールドや”より線”の方式でカテゴリー CAT5,CAT6,CAT7 などで分類される
- 信号線のノイズ対策は、シールドで覆う、信号線を“より線”(ツイストペア)にするなどの対策が重要
- 1000BASE-T ギガビット – 1000Mbit/sec = 1Gbit/sec / CAT6
- 10000BASE , 10GBase – 10Gbit/sec / CAT7
![]() 同軸ケーブル |
![]() ツイストペアケーブル |
理解確認
- ネットワークにおける共有と分散について例をあげて説明せよ。
- TSSのような通信によるコンピュータと、TCP/IPによる通信網を比べ何がどう良いのか?
- シリアル通信とパラレル通信、それぞれの利点欠点は?
- 10BASE/5,10BASE/2,10BASE/Tのそれぞれの問題点は?
- CD1枚のデータを1000BASE-Tのネットワークで転送するのに何秒かかる?
- サンプリングレート44.1kHz,16bit,ステレオ2ch,74分
Ethernet と通信速度
10BASE 5/2/-T といった 10BASE は、通信速度の上限が 10Mbps (bit per second) を意味する。100BASE-T といった 100BASE は、100Mbps を意味する。最近では、1000BASE-T は、1000 Mbps = 1Gbps の通信速度となる。最近では、10G BASE-T といった記載であれば、10Gbps を意味する。
バス接続(LAN)と転送速度
基本的な Ethernet の接続では、1本の通信路を共有するバス型接続のため、1本の信号線をパケット単位の通信の短い時間に区切って、送信を交代しながら行う時分割多重方式で行い通信を行う。パケット(イーサネットフレーム)とは、通信データを送る単位で最大1500byteとなっている。(MTU値:Maximum Transmission Unit)
例えば、10BASE のネットワークでつながった4台のパソコンで、A-B間、C-D間で同時に通信を行おうとすると、A-Bの通信中は、通信路が使用中のため、C-D間の通信はできない。このため、A-B間、C-D間の通信をパケットを送る毎に交代しながら通信路を利用する。これにより、見かけ上は A-B, C-D 間が同時に通信しているようにみえる。
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- 10BASE/5の PC-AとPC-Bの間で、音楽CD1枚のデータ(700MB)を送る場合、通信時間はどの位かかるか?
- →答え:
700M[byte] = 5.6G[bit] なので、10M[bit/sec]で送ると、560[sec]
- →答え:
- 同じく、A-B間、C-D間で同時に送る場合は、通信時間はどのくらいかかるか?
- →答え:
短時間的には同時に通信ができないので、通信路を切り替えながら送るため、倍の時間がかかる。よって、1120[sec]
- →答え:
- 10BASE/5の PC-AとPC-Bの間で、音楽CD1枚のデータ(700MB)を送る場合、通信時間はどの位かかるか?
10BASE/T, 100BASE-T, *BASE-T では、HUBの内部構造に注意が必要。基本的には、見かけ上は木構造のように分配しているように見えるけど、内部はバス型の通信路に変わりはない。10BASE/5/2と異なり、データの送信用,受信用の2つの信号のペアとなっている。10BASE/T を利用している頃は、HUBは高価であり単純なバス型接続のHUB(Dumb HUB)であれば、短時間的にみればC-D間通信中はE-F間通信ができない。(前述のようにパケットに小分けして通信するので見かけ上は並行して通信しているように見える)
しかしこれでは、通信速度が無駄になるので、最近はスイッチングHUBが利用される。このHUBは、通信相手に応じてHUB内部の通信路を切り分けるので、A-B間通信中でも、C-D間通信が可能となる。送り先を区別するためには通信機器ごとに固有値が割り振られているMACアドレスを使う。
理解確認
- 前述の2つのカスケード接続されたDumb HUBで、A,B,C,D,E,Fのコンピュータが繋がっている時、A-C間、B-D間で音楽CD700MBのデータを送る場合、通信時間はどうなる? また、Swiching HUB ならば通信時間はどうなる?