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MySQLでトラブル対応
仕事で動かしているサーバが動いていないとの連絡が入り、システムが動いていない。
他の方との共同のネタなので、サーバーの更新は慎重に行っているけど、今回は MySQL が落ちているのが原因。サーバーの定期的な更新作業後あたりから動かなくなっているので、最近更新されたパッケージを確認し、MySQL が含まれていたのでパッケージを一つ前のバージョンに落とそうと対応を行った。
しかしダウングレードでパッケージの不整合が出る中、無理やりダウングレードをおこなって MySQL を起動させようとするが、”mysqld got signal 11 ; This could be because you hit a bug.” といったメッセージで起動しない。
四苦八苦するも原因がつかめず、以前の状態に戻そうとバックアップ時に作成しておいたパッケージのバージョン情報を確認すると、パッケージが更新されて動かなくなったのではなく、パッケージが消されていたことが判明。原因を誤解していた。
OSの更新作業の中で、MySQL のメジャー更新で使っていたバージョンが標準パッケージから外されたみたい。メジャー更新すればいいのだろうけど、運用不安もあるので、MySQL の本家で公開しているパッケージを入れて、無事復旧。
長期運用とはいえ、更新は慎重に作業せねば。
差分とフィードバック制御
情報制御基礎の授業を通して、入力値を制御するため、コンピュータを使う場合の数値処理の基礎的な話として、信号の平滑化を説明してきたので、最後に差分について説明をする。また、実際には、入力値を制御に利用する一般的な構成のフィードバック制御について説明する。
変化の検出
例えば、以下のような若干のノイズが混ざった入力信号が与えられたとする。この波形で「大きな山が何ヶ所ありますか?」と聞かれたら、いくつと答えるべきであろうか?山の判断方法は色々あるが、4カ所という答えは、1つの見方であろう。では、この4カ所という判断はどうすればいいだろうか?
こういった山の数を数えるのであれば、一定値より高いか低いか…という判断方法もあるだろう。この絵であれば、15ステップ目、32ステップ目付近は、100を越えていることで、2つの山と判断できるだろう。
こういった予め決めておいた値より「上か?/下か?」で判断するときの基準値は、しきい値(閾値)と呼ぶ。
しかし、この閾値では、40ステップ目から50ステップ目も100を越えており、以下のようなプログラムを書いたら、40ステップ目~50ステップ目すべてをカウントしてしまう。
#define THRESHOLD 100 int x[ 100 ] = { // 波形のデータが入っているとする。 } ; int count = 0 ; for( int i = 0 ; i < 100 ; i++ ) { if ( x[i] >= THRESHOLD ) count++ ; }
また、65ステップ目の小さな山も1個とカウントしてしまう。
この問題を避けるために、閾値を130にすると、今度は最初の2つの山をカウントできない。どうすれば、山の数をうまくカウントできるのだろうか?
差分を求める
前述のような問題で山の数を数える方法を考えていたが、数学で山を見つける時には、何をするだろうか?
数学なら、山や谷の頂点を求めるのならば、微分して変化量が0となる場所を求めることで、極大値・極小値を求めるだろう。そこで、山を見つけるために入力値の変化量を求めてみよう。
表計算ソフトで差分を計算するのであれば、セルに図のような式を入力すればいいであろう。このようなデータ点で前の値との差を差分と呼ぶ。数学であれば、微分に相当する。
このグラフを見ると、波形が大きく増加する部分で、差分が大きな正の値となる。さらに波形が大きく減少する部分で差分が負の大きな値となる。特にこのデータの場合、山と判断したい部分は差分が20以上の値の部分と定義することも考えられる。
#define TH_DIFF 20 int x[ 100 ] = { // 波形のデータが入っているとする。 } ; int count = 0 ; for( int i = 0 ; i < 100 ; i++ ) { if ( x[i] - x[i-1] >= TH_DIFF && x[i+1] - x[i] <= -TH_DIFF ) count++ ; }
しかし、このプログラムでは、山の数をうまくカウントしてくれない。うまく、山の数を数えるためには、差分の値を山と判断するための閾値(この場合は20)を調整することになるだろう。
制御工学の概要
以下に、制御工学ではどのようなことを行うのか、概要を述べる。
ここで紹介する制御理論は、古典制御理論と呼ばれる。
制御工学では、入力値と、何らかの処理を施し出力値
が得られるシステムで、どのように制御するかを考える。
例えば、電気ポットの温度制御をする場合、設定温度の値を入力値とし、何らかの処理を行い、出力となるヒーターの電流を制御し、最終的には温度
が測定される。ヒーターは、設定温度
と温度計の値
の差
に応じて電流量を変化させる。このように一般的な制御では、最終的な温度が入力に戻っている。このように目標値に近づけるために、目標値との差に応じて制御することをフィードバック制御という。
制御の仕方には様々な方法があるが、 がとある時間で0からYに変化した場合を考える。入力と出力で制御された波形の例を示す。
この波形では、黒のように入力値が変化した場合、それに追いつこうと出力が変化する。(1)理想的には、速やかに追いつく赤のように変化したい。しかし、(2)慎重に制御をする人なら、変化への制動が大きい過制動(青点線)となり、目標値に追いつくまでに時間がかかる。(3)一方、すこしでもずれたら直そうとする人なら、時間的には速い反応ができるかもしれないが、目標値を追い越したり、増えすぎ分を減らしすぎたりして脈動する過制御(赤点線)となるかもしれない。
PID制御
目標値、出力
、ずれ(偏差)
、制御量
とした時、基本的なフィードバック制御として偏差の使い方によってP動作,I動作,D動作がある。参考 Wikipedia PID制御
比例制御(P制御)
偏差に比例した制御を行う方式(を比例ゲインと呼ぶ)
積分制御(I制御)
偏差のある状態が長い時間続く場合、入力値の変化を大きくすることで目標値に近づけるための制御。(は積分ゲイン)
微分制御(D制御)
急激な出力値の変化が起こった場合、その変化の大きさに応じて妨げようとする制御。(は微分ゲイン)
PID制御
上記のI制御やD制御だけでは、安定させることが難しいので、これらを組み合わせたPID制御を行う。
この中で、の値は、制御が最も安定するように調整を行うものであり、数値シミュレーションや、ステップ応答を与えた時の時間的変化を測定して調整を行う。
UML課題
期末試験も近いので、今後の日程の確認。
7/12 UMLレポート課題作成, 7/19 オブジェクト指向のソフトウェア工学, 7/26 課題作成
オブジェクト指向プログラミングの第3回レポート課題は、以下の通り。
特別研究や関連の内容でUMLを記述
専攻科の自分自身の特別研究での自身のプログラムをUMLで表現せよ。もしプログラム作成でない場合は、特別研究で行なっている実験方法とそのデータを UML で表現せよ。
- UMLとして表現する対象の説明として、レポートとして表現する部分の特別研究の内容を説明
- 扱うデータ構造などについて、UMLの構造図のうちの1つを選んでその構造図を示せ。またその構造図で表現した理由がわかるような説明をすること(is-a,has-aなど)
- その処理などについて、UMLの振る舞い図のうちの1つを選んで、その振る舞いを図で説明せよ。同じくその図について説明せよ
リストへの追加処理
前期期末試験までの授業予定( 7/10 リスト追加+課題, 7/17 stackとque+課題 7/24 リストで集合計算 )
最初のリスト生成の説明では、補助関数 cons を用いて、直接リストを生成していた。
しかし、実際にはデータを入力しながらの処理となるであろう。
最も単純なリスト挿入
struct List* top = NULL ; int main() { int x ; while( scanf( "%d" , &x ) == 1 ) { top = cons( x , top ) ; } print( top ) ; // 前回示したリスト全要素表示 return 0 ; }
ここで示したコードは、新しい要素を先頭に挿入していく処理となる。このため、作られたリストは、与えられた要素順とは逆順となる。この方法は、リストを管理するポインタが1つで分かりやすい。
要素を末尾に追加
前に示した方法は、逆順になるので、与えられた要素が末尾に追加する方法を示す。
struct List* top = NULL ; struct List** tail = &top ; int main() { int x ; while( scanf( "%d" , &x ) == 1 ) { *tail = cons( x , NULL ) ; tail = &((*tail)->next) ; } print( top ) ; // 前回示したリスト全要素表示 return 0 ; }
この方法は、次回にデータを追加する場所(末尾だからNULLが入っている)を覚える方式である。ただし、リストへのポインタのポインタを使う方法なので、少しプログラムがわかりづらいかもしれない。
理解の確認のために、末尾のポインタを動かす部分の式を、型で解説すると以下のようになる。
途中でデータ挿入・データ削除
リスト構造の特徴は、途中にデータを入れたり、途中のデータを抜くのが簡単にできる所。そのプログラムは以下のようになるだろう。
void insert( struct List*p , int data ) { // あえて、補助関数consを使わずに書いてみる struct List* n ; n = (struct List*)malloc( sizeof( struct List ) ) ; ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(A) if ( n != NULL ) { n->data = data ; ~~~~(B) n->next = p->next ; ~~~~~~~(C) p->next = n ; } // consを使って書けば、簡単 // p->next = cons( data , p->next ) ; }
void remove_after( struct List* p ) { struct List* del = p->next ; p->next = del->next ; free( del ) ; }
理解度確認
上記プログラムinsert() の中の、下線部(A),(B),(C)の型は何か答えよ。
レポート課題
以下に示すようなデータを扱うリスト構造を作り、そのリストを扱うプログラムを作成せよ。
( 出席番号 % 3 ) + 1 の番号の課題に取り組むこと。
- 緯度(latitude)経度(longitude)とその場所の都市名(city)
- 名前(name)と誕生日(month,day)(1つの変数に2月7日を0207のように保存するのは禁止)
- 複素数(re,im)
このようなプログラムを作るのであれば、以下の例を参考に。
struct NameAgeList { char name[ 20 ] ; // 名前 int age ; // 年齢 struct NameAgeList* next ; // 次のデータへのポインタ } ; struct NameAgeList* na_cons( char* nm, int ag, struct NameAgeList*p ) { struct NameAgeList* ans ; ans = (struct NameAgeList*)malloc( sizeof( struct NameAgeList ) ) ; if ( ans != NULL ) { strcpy( ans->name , nm ) ; ans->age = ag ; ans->next = p ; } return ans ; }
様々な移動平均
波形処理をハードウェアで行うかソフトウェアで行うか
組込み用の小型コンピュータが普及する以前は、このような波形に対する処理を行う場合には、電子回路的に波形のフィルタリングを行っていた。しかし電子回路的な方法では、回路の特性が変化してうまく処理ができなくなった場合に、回路の組み換えが発生するかもしれない。ただし回路の変更は基板の作り直しが必要であったりすることから、コストがかかる。
一方、A/D変換機能を内蔵した組込み用小型コンピュータも極めて安価になってきた。
こういったコンピュータの普及で、最近ではアナログ値をコンピュータに取り込んでデジタルの数値的な処理で余計な情報を取り除く。この方法であれば、プログラムを変更するだけなので、安価に変更が可能となる。ただし、アナログ値をA/D変換するのには時間がかかることから、周波数の高い信号には不向きである。
単純移動平均
前回説明を行った単純移動平均は、時刻tの平均を、その前後のデータで平均を求めた。この方式は、実際には与えられた波形のデータを全部記録した跡に、単純移動平均をとる場合に有効である。
しかし、時々刻々変化する測定値の平均をその都度使うことを考えると、上記の方法は、未来の測定値
を使っていることから、現実的ではない。
#define NS 3 int x[ SIZE ] ; // 入力値 int y[ SIZE ] ; // 出力値 for( int t = NS ; t < SIZE-NS ; t++ ) { int s = 0 ; for( int i = -NS ; i <= +NS ; i++ ) // 2*NS+1回の繰り返し s += x[t+i] ; y[t] = s / (2*NS + 1) ; }
過去の値だけを使った移動平均
そこで、過去の値だけで移動平均をとることも考えられる。
この、単純移動平均と、過去の値だけを使う単純移動平均を、適当な測定値に対して適用した場合のグラフの変化を Excel によってシミュレーションした結果を以下に示す。
しかし、このグラフを見ると、波形後半の部分に注目するとよく分かるが、過去の値だけを使った移動平均では、測定値が立ち上がったのを追いかけて値が増えていく。これでは移動平均は時間的な遅れとなってしまう。
for( int t = NS ; t < SIZE ; t++ ) { int s = 0 ; for( int i = 0 ; i <= NS ; i++ ) // NS+1回の繰り返し s += x[t-i] ; y[t] = s / (NS+1) ; }
加重移動平均
過去の値を使った移動平均では遅れが発生する。でも、平均を取る際に、「n回前の値」と「現在の値」を考えた時、「その瞬間の平均値」は「現在の値」の方が近い値のはず。であれば、平均を取る時に、「n回前の値は少なめ」「現在の値は多め」に比重をかけて加算する方法がある。
for( int t = 3 ; t < SIZE ; t++ ) { int s = x[t] * 3 + x[t-1] * 2 + x[t-2] * 1 ; // 数個の移動平均だし、 y[t] = s / (3+2+1) ; // ループを使わずに書いてみる。 }
この様に、過去に遡るにつれ、平均をとる比重を直線的に小さくしながら移動平均をとる方法は、加重移動平均と呼ばれる。以下にその変化をExcelでシミュレーションしたものを示す。
指数移動平均
ここまで説明してきた、単純移動平均や、加重移動平均は、平均をとる範囲の「過去の値」を記憶しておく必要がある。広い時間にわたる移動平均をとる場合は、それに応じてメモリも必要となる。これは、組み込み型の小型コンピュータであれば、メモリが足りず平均処理ができない場合もでてくる。
そこで、荷重移動平均の重みを、は、100%,
は50%,
は25%… というように、過去に遡るにつれ、半分にして平均をとる。
しかし、以降の項で、
を使うと以下のように書き換えることができる。
for( int t = 1 ; t < SIZE ; t++ ) { y[t] = ( x[t] + y[t-1] ) / 2 ; }
この方法であれば、直前の平均値を記録しておくだけで良い。このような移動平均を、指数移動平均と呼ぶ。
ここで示した指数移動平均は、過去を遡るにつれとなっているが、これをさらに一般化した指数移動平均は、以下の式で示される。前述の移動平均は、
とみなすことができる。
#define ALPHA 0.5 for( int t = 1 ; t < SIZE ; t++ ) { y[t] = ALPHA * x[t] + (1.0 - ALPHA) * y[t-1] ; }
以下のプログラムは、うまく動かない。理由を説明せよ。
#define RVA 4 for( int t = 1 ; t < SIZE ; t++ ) { // 以下はy[t]は全部ゼロになる。 y[t] = 1/RVA * x[t] + (1.0 - 1/RVA) * y[t-1] ; // 以下は、整数型演算だけで、正しく動くだろう。 // y[t] = ( x[t] + (RVA-1) * y[t-1] ) / RVA ; }
理解度確認のための小レポート
上記の移動平均の理解のために、以下の資料(講義では印刷資料を配布)の表の中を、電卓などを使って計算せよ。
計算したら、その結果をグラフの中にプロットし、どういった波形となるか確認し、レポートとして提出すること。
UML振る舞い図
参考資料図をもとに振る舞い図の説明を行う。
ユースケース図

ユーザなど外部からの要求に対する、システムの振る舞いを表現するための活用事例を表す図がユースケース図。 システムを構築する際に、最初に記述するUMLであり、システムに対する処理要件の全体像を理解するために記述する。 ユーザや外部のシステムは、アクターとよび人形の絵で示す。楕円でシステムに対する具体的な処理をユースケースとして記述する。 関連する複数のユースケースをまとめて、サブジェクトとして示す場合もある。
アクティビティ図
処理順序を記述するための図にはフローチャートがあるが、上から下に処理順序を記述するため、縦長の図になりやすい。また、四角枠の中に複雑なことを書けないので、UMLではアクティビティ図を用いる。
初期状態から、終了状態までの手順を示すためのがアクティビティ図。 複数の処理を並行処理する場合には、フォークノードで複数の処理を併記し、最終的に1つの処理になる部分をマージノードで示す。 通常の処理は、角丸の長方形で示し、条件分岐はひし形で示す。
ステートチャート図(状態遷移図)
ステートチャート図は、処理内部での状態遷移を示すための図。 1つの状態を長丸長方形で示し、初期状態から終了状態までを結ぶ。 1つの状態から、なんらかの状態で他の状態に遷移する場合は、分岐条件となる契機(タイミング)とその条件、およびその効果(出力)を「契機[条件]/効果」で矢印に併記する。 複数の状態をグループ化して表す場合もある。
シーケンス図
複数のオブジェクトが相互にやり取りをしながら処理が進むようなものを記述するためのものがシーケンス図。 上部の長方形にクラス/オブジェクトを示し、その下に時系列の処理の流れの線(Life Line)を描く。 オブジェクトがアクティブな状態は、縦長の長方形で示し、そのLife Line間を、やり取り(メッセージ)の線で相互に結ぶ。 メッセージは、相手側からの返答を待つような同期メッセージは、黒塗り三角矢印で示す。 返答を待たない非同期メッセージは矢印で示し、返答は破線で示す。
コミュニケーション図
クラスやオブジェクトの間の処理とその応答(相互作用)と関連の両方を表現する図。
その他の構造図
前回の講義で説明した構造図について、クラス図・オブジェクト図以外について説明
構造図の主なものとして、クラス図、オブジェクト図以外に、
- パッケージ図(クラスなどをグループ化したパッケージの関係)
- コンポジット構造図(クラスやコンポーネントの内部構造を示す)
- コンポーネント図(コンポーネントの内部構造とコンポーネント間の依存関係)
- 配置図(システムの物理的な構成)
パッケージ図
パッケージ図は、クラス図をパッケージ毎に分類して記載する図。 パッケージの塊を、フォルダのような図で記載する。

IT専科から引用
コンポーネント図とコンポジット構造図
コンポーネント図は、複数のクラスで構成される処理に、 インタフェースを用意し、あたかも1つのクラスのように扱ったもの。 接続するインタフェースを、提供側を◯───で表し、要求側を⊃──で表す。

IT専科から引用
配置図
配置図は、システムのハードウェア構成や通信経路などを表現するための図。 ハードウェアは直方体の絵で表現し、 デバイスの説明は、”≪device≫”などを示し、実行環境には、”≪executionEnvironment≫” などの目印で表現する。

IT専科から引用
リスト処理
リスト構造
リスト構造は、データと次のデータへのポインタで構成され、必要に応じてメモリを確保することで、配列の上限が制限にならないようにする。また、次のデータへのポインタでつなげているため、途中へのデータ挿入が簡単にできるようにする。
struct List { int data ; struct List* next ; } ; struct List* top ; top = (struct List*)malloc( sizeof( struct List ) ) ; top->data = 111 ; top->next = (struct List*)malloc( sizeof( struct List ) ) ; top->next->data = 222 ; top->next->next = (struct List*)malloc( sizeof( struct List ) ) ; top->next->next->data = 333 ; top->next->next->next = NULL ; // 末尾データの目印 struct List*p ; for( p = top ; p != NULL ; p = p->next ) { printf( "%d¥n" , p->data ) ; }
補助関数
上記のプログラムでは、(struct…)malloc(sizeof(…))を何度も記載し、プログラムが分かりにくいので、以下に示す補助関数を使うと、シンプルに記載できる。
struct List* cons( int x , struct List* n ) { struct List* ans ; ans = (struct List*)malloc( sizeof( struct List ) ) ; if ( ans != NULL ) { ans->data = x ; ans->next = n ; } return ans ; } struct List* top ; top = cons( 111 , cons( 222 , cons( 333 , NULL ) ) ) ;
補助関数の名前の cons は、constructor の略であり、古くから使われている List Processor(LISP) というプログラム言語でのリスト(セル)を生成する関数が cons 。
LISPと関数型プログラミング言語
LISPの歴史は長く、最古のFORTRAN,COBOLに次ぐ3番目ぐらい。最初は、人工知能のプログラム開発のための関数型プログラミング言語として作られた。特徴として、データもプログラムもすべてリスト構造(S式)で表すことができ、プログラムは関数型に基づいて作られる。
関数型プログラミングは、Ruby や Python でも取り入れられている。関数型プログラミングは、処理を関数をベースに記述することで「副作用を最小限にすることができ」、極端な話をすればループも再帰呼出しで書けばいい…。
LISPの処理系は、最近では Scheme などが普通だが、プログラムエディタの Emacs は、内部処理が LISP で記述されている。
簡単なリスト処理の例
先に示したリスト構造について簡単なプログラム作成を通して、プログラミングに慣れてみよう。
// 全要素を表示する関数 void print( struct List* p ) { for( ; p != NULL ; p = p->next ) printf( "%d " , p->data ) ; printf( "¥n" ) ; } // データ数を返す関数 int count( struct List* p ) { int c = 0 ; for( ; p != NULL ; p = p->next ) c++ ; return c ; } void main() { struct List* top = cons( 111 , cons( 444 , cons( 333 , NULL ) ) ) ; print( top ) ; printf( "%d¥n" , count( top ) ) ; }
リスト処理を自分で考えて作成
以下のようなプログラムを作ってみよう。意味がわかって慣れてくれば、配列の部分の for の回し方が変わっただけということに慣れてくるだろう。
// 全要素の合計 int sum( struct List* p ) { // sum( top ) → 888 自分で考えよう } // リストの最大値を返す int max( struct List* p ) { // max( top ) → 444 (データ件数0の場合0を返す) 自分で考えよう } // リストの中から指定した値の場所を返す int find( struct List* p , int key ) { // find( top , 444 ) = 1 (先頭0番目) // 見つからなかったら -1 自分で考えよう }
再帰呼び出しでリスト処理
リスト処理の応用のプログラムを作るなかで、2分木などのプログラミングでは、リスト処理で再帰呼出しを使うことも多いので、先に示したプログラムを再帰呼び出しで書いたらどうなるであろうか?
// 全データを表示 void print( struct List* p ) { if ( p == NULL ) { printf( "¥n" ) ; } else { printf( "%d " , p->data ) ; print( p->next ) ; // 末尾再帰 } } // データ数を返す関数 int count( struct List* p ) { if ( p == NULL ) return 0 ; else return 1 + count( p->next ) ; // 末尾再帰 } // 全要素の合計 int sum( struct List* p ) { // sum( top ) → 888 自分で考えよう } // リストの最大値を返す int max( struct List* p ) { // max( top ) → 444 (データ件数0の場合0を返す) 自分で考えよう } // リストの中から指定した値を探す。 int find( struct List* p , int key ) { // find( top , 444 ) = 1 // 見つかったら1 , 見つからなかったら 0 自分で考えよう }
理解度確認
上記プログラム中の sum() , max() , find() を再帰呼び出しをつかって記述せよ。
UMLと構造図
UMLの構造図の書き方の説明。 詳しくは、参考ページのUML入門などが、分かりやすい。
雑談
UMLは、プログラムを図によってイメージを説明するために作られたが、プログラムに対する説明はコメントで書くことの方が多いだろう。このプログラムの説明の究極の姿として、
とWEBがある。
は、数式などを意味的に記述したものを数学的な書式で表示するためのツールであり、これを開発したクヌースは、そのドキュメントをEWBによって記載している。WEBは、プログラムの説明を記載したドキュメントであり、この中に説明を交えたプログラムを記載する。このドキュメントをツールにかけることで、綺麗にレイアウトしたドキュメントや、プログラムのソースコードを取り出すことができる。
クラス図
クラス図は、構造図の中の基本的な図で、 枠の中に、上段:クラス名、中段:属性(要素)、下段:メソッド(関数)を記載する。 属性やメソッドの可視性を示す場合は、”-“:private、”+”:public、”#”:protected 可視性に応じて、”+-#”などを記載する。
関連
クラスが他のクラスと関係がある場合には、その関係の意味に応じて、直線や矢印で結ぶ。
(a)関連:単純に関係がある場合、
(b)集約:部品として持つが、弱い結びつき。関係先が消滅しても別に存在可能。
(c)コンポジション:部品として持つが強い結びつき。関係先と一緒に消滅。
(d)依存:依存関係にあるだけ
(e)派生:派生・継承した関係
(f)実現: Javaでのinterfaceによる多重継承
上図の例では、乗り物クラスVehicleから自動車がCarが派生し、 自動車は、エンジン(Engine)を部品として持つ。エンジンは車体と一緒に廃棄なら、コンポジションで実装する。
自動車は、同じく車輪(Wheel)を4つ持つが、自動車を廃棄してもタイヤは別に使うかもしれないので、集約で実装する。 集約で実装する場合は、C++などであれば、ポインタで部品を持ち、部品の廃棄(delete)は、別に行うことになる。
is-a 、has-a の関係
前の課題でのFigureクラスで、Color 情報をどう扱うべきかで、悩んだ場合と同じように、 クラスの設計を行う場合には、部品として持つのか、継承として機能を持つのか悩む場合がある。 この場合には、“is-a”の関係、“has-a”の関係で考えると、部品なのか継承なのか判断しやすい。
たとえば、上の乗り物(Vehicle)クラスと、車(Car)のクラスは、”Car is-a Vehicle” といえるので、is-a の関係。 “Car is-a Engine”と表現すると、おかしいことが判る。 車(Car)とエンジン(Engine)のクラスは、”Car has-a Engine”といえるので、has-a の関係となる。 このことから、CarはVehicleからの派生であり、Carの属性としてEngineを部品として持つ設計となる。
オブジェクト図
クラス図だけで表現すると、複雑なクラス関係では、イメージが分かりづらい場合がでてくる。 この場合、具体的な値を図に書き込んだオブジェクトで表現すると、説明がしやすい場合がある。 このように具体的な値で記述するクラス図は、オブジェクト図と言う。 書き方としては、クラス名の下に下線を引き、中段の属性の所には具体的な値を書き込んで示す。
その他の構成図
その他の構成図としては、コンポーネント図(物理的な構成要素から、システムの構造を表現する図)、 配置図(ハードウェアとアプリケーションの関係を図示したもの)、パッケージ図(パッケージ同士の関係をグループ化した図) なども用いる。