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オブジェクト指向/2020/ガイダンス

専攻科2年のオブジェクト指向プログラミングの授業の1回目。コロナ対策でこのページを見て簡単な初回課題を提示。

シラバスは、ここに示すように、最近のプログラミングの基本となっているオブジェクト指向について、その機能についてC++言語を用いて説明し、後半では対象(オブジェクト)をモデル化して設計するための考え方(UML)について説明する。

評価は、3つの課題と最終テストを各25%づつで評価を行う。ただし、今回の感染予防の休み期間のレポート課題を別途含める。

オブジェクト指向プログラミングの歴史

最初のプログラム言語のFortran(科学技術計算向け)の頃は、処理を記述するだけだったけど、 COBOL(商用計算向け)ができた頃には、データをひとまとめで扱う「構造体」(C言語ならstruct …}の考えができた。(データの構造化)

// C言語の構造体
struct Person { // 1人分のデータ構造をPersonとする
   char name[ 20 ] ;             // 名前
   int  b_year, b_month, b_day ; // 誕生日
} ;

一方、初期のFortranでは、プログラムの処理順序は、繰り返し処理も if 文と goto 文で記載し、処理がわかりにくかった。その後のALGOLの頃には、処理をブロック化して扱うスタイル(C言語なら{ 文 … }の複文で 記述する方法ができてきた。(処理の構造化)

      // ブロックの考えがない時代の雰囲気をC言語で表すと
      int i = 0 ;
LOOP: if ( i >= 10 ) goto EXIT ;
         if ( i % 2 != 0 ) goto NEXT ;
            printf( "%d " , i ) ;
NEXT:    i++ ;
      goto LOOP ;
EXIT:
      // C 言語で書けば
      int i ;
      for( i = 0 ; i < 10 ; i++ ) {
         if ( i % 2 == 0 ) {
            printf( "%d¥n" , i ) ;
         }
      }

このデータの構造化・処理の構造化により、プログラムの分かりやすさは向上し、このデータと処理をブロック化した書き方は「構造化プログラミング(Structured Programming)」 と呼ばれる。

この後、様々なプログラム言語が開発され、C言語などもできてきた。 一方で、シミュレーションのプログラム開発(例simula)では、 シミュレーション対象(object)に対して、命令するスタイルの書き方が生まれ、 データに対して命令するという点で、擬人法のようなイメージで直感的にも分かりやすかった。 これがオブジェクト指向プログラミング(Object Oriented Programming)の始まりとなる。略記するときは OOP などと書くことが多い。

この考え方を導入した言語の1つが Smalltalk であり、この環境では、プログラムのエディタも Smalltalk で記述したりして、オブジェクト指向がGUIのプログラムと親和性が良いことから、この考え方は多くのプログラム言語へと取り入れられていく。

C言語にこのオブジェクト指向を取り入れ、C++が開発される。さらに、この文法をベースとした、 Javaなどが開発されている。最近の新しい言語では、どれもオブジェクト指向の考えが使われている。

構造体の導入

C++でのオブジェクト指向は、C言語の構造体の表記がベースになっているので、まずは構造体の説明。詳細な配布資料を以下に示す。

// 構造体の宣言
struct Person {      // Personが構造体につけた名前
   char name[ 20 ] ; // 要素1
   int  phone ;      // 要素2
} ;                  // 構造体定義とデータ構造宣言を
                     // 別に書く時は「;」の書き忘れに注意
// 構造体変数の宣言
struct Person saitoh ;
struct Person data[ 10 ] ;
// 実際にデータを参照 構造体変数.要素名
strcpy( saitoh.name , "t-saitoh" ) ;
saitoh.phone = 272925 ;
for( int i = 0 ; i < 10 ; i++ ) {
   scanf( "%d%s" , data[ i ].name , &(data[ i ].phone) ) ;
}

感染予防による休講期間中の課題

以下の3つについてレポートにまとめ、ここに示すURLのファイル共有に提出せよ。Office365の接続がうまくいかない場合は、メールにてレポートを提出でも良い。

  1. 今まで、プログラムを作成する際に、わかりやすいプログラムを作成するために、自分自身がどのような考え方をとっていたか(工夫していたか)、考え方を10行程度に考えをまとめること。
  2. オブジェクト指向の歴史に関連する以下のワードの中から、2つを選んでインターネットをつかって調べ、自分なりの言葉でまとめ、簡単に説明せよ。
    • Fortran90, ALGOL, Smalltalk80, 入れ子とインデント, Dijkstraのgoto文有害論, プログラミングパラダイム
  3. 以下に、C言語の構造体を使った基本的なプログラムを示す。このプログラムでは、国語,算数,理科の3科目と名前の5人分のデータより、各人の平均点を計算している。このプログラムを動かし、以下の機能を追加せよ。レポートには プログラムリストと動作結果の分かる結果を付けること。
    • 国語の最低点の人を探し、名前を表示する処理。
    • 算数の平均点を求める処理。
#include <stdio.h>

struct Student {
  char name[ 20 ] ;
  int  kokugo ;
  int  sansu ;
  int  rika ;
} ;

struct Student table[5] = {
  // name ,      kokugo , sansu , rika                                          
  { "Aoyama" ,   56 ,     95 ,    83 } ,
  { "Kondoh" ,   78 ,     80 ,    64 } ,
  { "Saitoh" ,   42 ,     78 ,    88 } ,
  { "Sakamoto" , 85 ,     90 ,    36 } ,
  { "Yamagoshi",100 ,     72 ,    65 } ,
} ;

int main() {
  int i = 0 ;
  for( i = 0 ; i < 5 ; i++ ) {
    double sum = table[i].kokugo + table[i].sansu + table[i].rika ;
    printf( "%-10.10s %3d %3d %3d %6.2lf\n" ,
            table[i].name , table[i].kokugo , table[i].sansu , table[i].rika ,
            sum / 3.0 ) ;
  }
  return 0 ;
}

オブジェクト指向と演習

データ構造を扱うプログラムの書き方を説明してきたので、それらを便利に書くためのオブジェクト指向の入り口を紹介する。

データ指向のプログラム記述

名前と年齢のデータを扱うプログラムを書く時、私なら以下のようなプログラムを作成する。

このプログラムの書き方では、saitohというデータにset_NameAge() , print_NameAge() を呼び出していて、データに対して処理を加えるという雰囲気がでている。このようにプログラムを書くと、saitoh というデータに対して命令するイメージとなり、擬人化してset,printしろ…って命令しているように見える。

// 名前と年齢の構造体 
struct NameAge {
   char name[ 20 ] ;
   int  age ;
} ;

// NameAgeを初期化する関数
void set_NameAge( struct NameAge* p , char s[] , int a ) {
   strcpy( p->name , s ) ;
   p->age = a ;
}

// NameAgeを表示する関数
void print_NameAge( struct NameAge* p ) {
   printf( "%s %d¥n" , p->name , p->age ) ;
}

void main() {
   struct NameAge saitoh ;

   set_NameAge( &saitoh, "t-saitoh" , 53 ) ;
   print_NameAge( &saitoh ) ;

   // NameAge の中身を知らなくても、
   // set_NameAge(),print_NameAge() の中身を見なくても、
   // saitoh を set して print する....という雰囲気は伝わるよね!!  
}

このプログラムでは、例えば、データに誕生日も覚えたいという改良を加えるとしても、main の前のデータ構造と関数の部分は色々と書き換えることになるだろうけど、main の内部はあまり変わらないだろう。こういう状態なので、プログラムを作成するときには、データ構造とそれを扱う関数を記述する人と、データ構造を使う人(main内部を書く人)と、分業ができるようになる。

隠蔽化

このような記述では、データ構造の中身を知らなくても、main で、setしてprintして…という処理の雰囲気は分かる。さらに、set_NameAge()とか、print_NameAge() の処理の中身を知らなくても、設定するとか表示するとか…は予想できる。

これは、NameAge というデータをブラックボックス化して捉えていると見れる。データ構造の中身を知らなくてもプログラムを理解できることは、データ構造の隠蔽化という。また、関数の中身を知らなくても理解できることは、手続きの隠蔽化という。

オブジェクト指向プログラミング

前述のように、プログラムを書く時には、データ構造とそのデータを扱う関数を一緒に開発するのが一般的である。オブジェクト指向プログラミングでは、データ構造その関数(メソッドと呼ぶ)をまとめてクラスと呼ぶ。

class NameAge {
private:
   // データ構造の宣言
   char name[ 20 ] ;
   int  age ;

public:
   // メソッドの定義
   void set( char s[] , int a ) { // 初期化関数
      strcpy( name , s ) ;
      age = a ;
   }
   void print() {                 // 表示関数
      printf( "%s %d¥n" , name , age ) ;
   }
} ;

void main() {
   NameAge saitoh ;
   saitoh.set( "t-saitoh" , 53 ) ;
   saitoh.print() ;
}

このプログラムでは、saitoh というデータ(具体的なデータオブジェクトと呼ぶ)に対して、set() , print() を呼び出している。

オブジェクト指向では、データに対して private を指定すると、クラス以外でその要素を扱うことができなくなる。これにより、クラスを設計する人と、クラスを使う人を明確に分けることができ、クラスを使う人が、クラス内部の変数を勝手に触ることを禁止できる。

プログラムを記述する時には、データ件数を数える時に、カウンタの初期化を忘れて動かないといった、初期化忘れも問題となる。オブジェクト指向のプログラム言語では、こういうミスを減らすために、データ初期化専用の関数(コンストラクタ)を定義することで、初期化忘れを防ぐことができる。

// コンストラクタを使う例
class NameAge {
   // 略
public:
   NameAge( char s[] , int a ) { // データ初期化専用の関数
      strcpy( name , s ) ;       //  コンストラクタと呼ぶ
      age = a ;
   }
   // 略
} ;
void main() {
   NameAge saitoh( "t-saitoh" , 53 ) ; // オブジェクトの宣言と初期化をまとめて記述できる。
   saitoh.print() ;
}

演習(ハッシュ法)

ハッシュ法のプログラム(オープンアドレス法もしくはチェイン法)を用いて、
(1)名前と電話番号,(2)名前と住所,(3)名前と誕生日について、名前をキーとして検索するプログラムを作成せよ。

原則として「出席番号 % 3 + 1」の番号のテーマに取り組むこと。

レポートを作成する際には、ハッシュ関数を変更してどういった変化があるか確認せよ。
ハッシュサイズは、10〜20件程度で良い。